【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが

輝石玲

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孤児院での生活

22.爆弾発言はやめてくれ!

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 まさか出会えると思わなかった推しと別れて、みつ兄と二人でガルさんの部屋に行った。ガルさんはテーブルに本を並べていて、それらをじっくりと眺めている。でも俺たちが来た時に耳は動いていたから気付いてはいるんだろう。

「……いつもトロいお前らが時間通りに来るなんてな。もう少し後の時間で伝えても良かったかもれないな」
「初手で皮肉?」

 確かに何かと遅れてる記憶はあるけど…大体みつ兄のせいで俺のせいじゃないんだよな。なんて意味を込めてみつ兄に目線をやると、当の本人は頬を掻いて苦笑いしていた。どうやら自覚はあるらしい。ただ直す気があるのかどうか……。



 とりあえず座って文字を習った。最初はガルさんが俺たちの名前を書いてくれて、それを真似して紙に書いてみた。みつ兄は三文字で、俺は四文字。

「もしかして、一音に一文字?」
「そうだが……それ以外にあるのか?」

 あ、そっか。この世界はアルファベットも漢字も無いから…。ガルさんに頼まれて紙にそれぞれ名前を書いた。

光流これでミツル、光成これでコウセイって読むのか?どっちも二文字じゃねぇか…。しかもこれ、片方の文字は同じか?同じ文字で別の読み方があるのか?」

 分かってはいたが、ガルさんは俺たちの名前を見て驚いている。そりゃそうだよな。この世界の文字を少し教えてもらって、元の世界とは違うパターンだってことは分かった。例えば『つ』は、大きい『つ』と小さい『っ』は大きさが変わるのではなく、形そのものが違った。




 ガルさんの協力のもと、文字を五十音表に並べて紙に書いた。これがあれば少しずつだが読めるようになるだろう。この文字さえ覚えれば、本を漁って元の世界に帰る手段も見つかるはず。

「あ、そうだガルさん」
「なんだ?」
「異世界って知ってるか?」
「イセカイ?なんだそれ」
「いや、何でも無い」

 …………さらっと流れるように確認してみたけどさ、これで分かっちゃったよね。ガルさんが元々あまり本を読まない人だから知らないとかならまだよかったけど、敵に利用されてる時に大きな魔法の知識は教えられているし、本も全く読まないことはないガルさんが知らないとなれば…。俺たち、元の世界に帰れるのか?ガルさんが聞いたこともない、みたいなリアクションするからおとぎ話ですら異世界は存在しないのかもしれない。

「そういえばお前ら、昨夜はお楽しみだったんだろ?」
「ごほっ!げほ、な、急に何を………!」
「ガルさん、こう君はこの手の話題にビックリするからそんなハッキリ言わないでくださいよ」

 いやいや、なんでみつ兄は落ち着いてるんだよ。俺の前では謎に赤面するくせに。そしてガルさんは唐突に何!?

「俺が送ったお節介は足りたか?」
「ま、まぁ。結構使ったけど……」
「いくつ使った?」
「……えっと、ゴムが五つと潤滑剤が二つ」

 ゴムは一箱に12個入っていた。その内の五つを使ったのは使いすぎ?それとも普通?それかあまり使ってない?潤滑剤も同じくらいの数入っていて、残りはまだある。

「お前…それ一人で使ったのか?」
「え?まぁ…」
「はぁ………、この調子じゃあ消費が早くなりそうだな」
「そうですね、僕としてもこれくらいで空っぽになられても困りますし」
「お前はお前でまだ足りてねぇのかよ!」

 た、足りて無かった………。どうしよう、もっと精力を付けた方がいい?ガルさんは頭を掻いて、棚の中から見覚えのある箱を取り出した。

「サイズは問題無かったか?」
「若干大きかったけど外れはしなかったよ」
「ガキにしちゃあデカかったもんな」

 そうなんだ、知らなかった。他人の身体なんかまじまじと見ないし、みつ兄は俺と同じくらいだったし、普通くらいかと思ってた。っていっても歳の割には、なら大人になれば今の大きさで普通ってことだろう。

「とりあえず、持っていけ」
「あ、ありがと……って、二箱?」
「足りないよりは余る方がいいだろ。どうせまたするんだろ?」
「え、ど、どうなんだろ……」
「しないの?こう君」

 みつ兄はやる気満々だ。じゃあ貰っておきますよ、はい………。でも本当にお節介に甘えすぎな気がする。何かお礼でもできないだろうか。

「ん?なんか考え事か?」
「ガルさんにお礼がしたいけど、どうしようって考えてた」
「本人の目の前で正直に言うな、お前。特に見返りは考えてなかったが、何か礼をしたいって言うならお前の体で払え」
「体で……人身売買!?」
「なんでだよ!」

 俺とガルさんのやり取りを聞いていたみつ兄は、声を押し殺して笑っている。なんか変な事言った?

「こう君、ガルさんはたぶん、性的なことをしてって言ってるんだと思うよ」
「え、あぁなるほど……って、えぇ!?」
「兄の方はもう抱いたから、お返しはお前の体でな。まぁ嫌ならお返しなんてしなくていいけどな」

 えっと、つまり俺が抱かれる側になると……ムリムリムリ!みつ兄が尻にあんなモノ入れて気持ちよくなってるだけでビックリしてるのに、俺があんなのを受け入れるなんて全く想像もできない。




 五十音表と箱を持って部屋に戻った。五十音表を別の紙に書き写していると、みつ兄が耳元でボソッと呟いた。

「こう君が十八歳になったら、こう君もお尻で気持ちよくなれるようにシてあげるからね♡」
「………へ?」

 ポカーン…………

 え゛っ ! ?

 みつ兄の爆弾発言に思考が止まった。いや、え、まじで?急に大人に…十八歳になりたくなくなってきた。

 でも、俺も単純なのかもしれない。みつ兄に言われた言葉で昨夜の乱れたみつ兄を思い出した。俺も、みつ兄みたいにあんなに乱れるかもしれないって事……?そう思うと気持ちいいことが好きな俺は、すぐに興味を持ってしまった。
 俺、あんまり性的な事に触れない方が良かったかもしれない……?
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