【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが

輝石玲

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はじめまして見知った異世界!

13.レティの孤児院、到着!

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 ようやく到着した『レティの孤児院』。ガルさんは一度ドアベルを鳴らしてから大きな扉を開いた。
 孤児院に最初に見えた人は、修道服を着た金髪の髪と紫の瞳のお姉さんだった。この人はゲームでも出てきた『リリス』という孤児院の経営者だ。……あれ、ガルさんはたぶん二十過ぎだよね?だとしたらリリスさんは推定三十後半のはず……。大人っぽいけど三十代には見えない。

「ガレアン!貴方がここに来るなんて…私に一言連絡くれれば一緒に行ったのに……」
「そこまで子供じゃねぇよ」
「そう……、ところでそちらの子は?」

 リリスさんは俺たちの方を見ると、柔らかく微笑んだ。この人はガルさんを信用しているのだろうか。ゲーム時点では仲が悪い描写は無かった。でも、ゲーム終了後に何かあったのなら……

 なんて、考える必要も無いか。この人は、リリスさんは公式から親バカ呼ばわりされてる人だ。孤児院の子供たちに冷たく当たるなんてありえない。

「迷子、だそうだ。しばらく面倒を見てやって欲しいんだが……」
「えぇ、承ったわ。貴方たち、名前は?」
「光成です」
「光流です」
「そう、私はリリス。よろしくね」

 あー、知ってます。みつ兄は名前も知らないし完全に初対面…は俺もか、初見で、恭しく「よろしくお願いします」とお辞儀した。それに続けて俺もお辞儀をする。

「とりあえず、ずっと歩いていたみたいだし部屋に案内するわね。急だから二人一緒の部屋になってしまうけど、用意ができれば後から別々に……」
「ずっと一緒でいいですよ」
「あらそう?ならすぐに部屋を準備するわね。今のうちにお風呂に入るといいわ」

 やった!風呂だ!
 ガルさんの家にいた時はお湯とタオルで体を拭くくらいだったし、やっと汗と泥を流せると思うと凄く嬉しい!
 リリスさんの案内で、一行は部屋に向かった。



 孤児院の一番端の部屋。元々は二人部屋じゃないから、二人で過ごすにはこじんまりしてる部屋だ。今はベッドのフレームが一つ置いてあるだけ。後から物が増えていくんだろう。
 それにしても、この部屋は位置的に…主人公の一人が使ってた部屋だ!しかも、主人公の中でも俺が一番好きなキャラの!


 かみつぐ主人公四人のうちの魔法使い『メルト』。クールでおとなしいがドジで天然な癒し要因の少年だ。戦闘シーンでは行動数は少ないものの大迫力の魔法で高火力を出す、ザ・魔法使いといった性能のキャラ。
 魔法を放つムービーでは毎回盛り上がったなぁ…!


 そんなキャラがいた部屋でこれから過ごすのか…。ホームシックのみつ兄には申し訳ないけど、俺的にはとっても楽しい。

「二人とも、着替えを用意したいからサイズ確認だけさせてくれる?」
「「はーい」」
「ふふっ、仲良しさんね。その間にガレアンは部屋の準備を手伝ってちょうだい」
「へーへー」

 ガルさんが何かしてる間に服を合わせた。トップスとズボンとベルト、それから靴と下着。全部目測だから多少のズレはあるだろう。サイズが合わなかったら教えて欲しいと言われた。

「それじゃあお風呂に案内するわ。この時間ならお湯張りも出来てるから、ゆっくりして疲れを癒して来るのよ」
「「はーい」」
「素直ね。ガレアンもこれだけ素直なら手が掛からないのに。ねぇ?」

 そう言ってクスリと笑うリリスさんから何かを感じ取った。あぁ、これは親バカだ……。厄介な子供(ガルさん)に手を焼くのが凄く大変で楽しそう。



 そして、着替えの入ったカゴを持ってリリスさんの案内について行った。そこまで距離があるわけじゃ無く、他の部屋に比べたら結構近い。自分たちの部屋として借りてる部屋を出てすぐの通路をまっすぐ行ったら、男湯と女湯ののれんが見えた。

 男湯ののれんを潜るとそこは誰もいなく、貸切のような状態だ。
 説明のために一時的に入って来たリリスさん。言われた通りに靴と靴下だけ先に脱いで風呂場に入った。そこで設備の使い方だけ教わり、リリスさんは「部屋の準備を進めておくわ」と言って後にした。

 風呂場の形状は温泉や銭湯と同じだ。それでも置かれているものや設備は海外っぽさ?がある。イメージ的には宮殿のお風呂…みたいな?結構広いから豪華に見えるのだろう。

「こう君とお風呂なんて久しぶりだね」
「温泉旅行に行って以来だから、何年ぶりだろ」

 なんて呑気に服を脱いでカゴに入れながら、ふと思った。
 ……今のみつ兄と一緒に入って問題無いのだろうか。
 今朝、性的なことされたばっかで大丈夫だろうか。そんな心配をしながらも、とりあえず全裸になり風呂場に入った。
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