【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが

輝石玲

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はじめまして見知った異世界!

11.兄の考えが読めない ❇︎

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 夜明け前に目が覚め、そっとテントから出た。外ではずっと火を焚いているガルさんがうつらうつらとしている。

「ガルさん、見張り変わるから少し寝たら?」
「あぁ?お前に任せられるか……」

 なんて、不機嫌そうに返されたけど、見るからに寝不足で顔色が悪い。少なくとも俺たちが来てからロクに休めていないのだろう。

「この辺りのモンスターなら俺でも倒せる。頼りっぱなしだって分かってるけど、だからこそ、今ガルさんが倒れたら困るんだ」
「モンスターが大丈夫だとして、盗賊だの密売人だのの人間に襲われたら戦えるのか?」

 そういえば、みつ兄はガルさんに殺しをしたのは自分だと言っていた。だから、本当は俺だって知らない。みつ兄の手は汚れてないことを、逆に俺の手が汚れていることを伝えるべきだろうか。
 ……いや、みつ兄はきっと俺を守ろうと嘘をついた。それを俺が崩していいのだろうか?

「……相手が人間でも追い払うくらいできるよ。俺、そこまで弱くないし」
「ほう…よっぽど自信があるんだな。なら、お言葉に甘えるとしよう」

 ちょうど空が明らみ始め、ガルさんは焚き火の火を消して狼の姿に変わると、丸太に座る俺の足元で眠った。…………えぇ!?な、なにこのサービス!これはモフっていいってこと!?だよね!?そうだよね!?

「………勝手に触ったら森に置いていくからな」
「あ、はい………」

 ダメだった…。デスヨネ、ハイ。大人しくしてます……。



 日が上るまでじっと待っていると、テントからみつ兄が出てきた。こんなに早く起きるなんて、珍しいこともあるものだ。
 俺は口の前に人差し指を立てて「シー…」としてからガルさんを指刺した。ようやく休めたガルさんを起こしたくはないからな。伝わったようで軽く頷くみつ兄は、柔らかく微笑むと俺の手を握って思いっきり引っ張ってきた。そのままされるがまま着いていくと、焚き火跡のガルさんのいる反対側の丸太に来た。どうしたんだろう?

「あのね、こう君。兄さんずっと考えてたんだ」

 丸太に並んで座り、こそっと耳元で小声で呟くみつ兄。近付いた顔は更に近付き、気付けば唇が触れていた。

 ……………え?
 今、俺、みつ兄とキスしてる?なんで?

 驚いてる間に行為はエスカレートしていった。舌を絡められ、口の端から唾液が溢れる。体の距離さえ近付き、みつ兄は俺の手を取るとそのままみつ兄の服の中に入れた。
 兄弟でキスをして、しかも服の中に手を入れて触れるなんて意味が分からない。しかし、少しでも抵抗すればみつ兄の柔肌に傷を付けてしまいそうで動けない。
 それに、俺もなんかおかしい。俺の意思じゃ無いとは言え、触ってるのは俺の方なのに。なのになんで俺、みつ兄に勃ててんだ?
 指先に触れる感触が温かくて生々しくて、滑らかなのに吸い付くようで。運動部で鍛えてる俺と違って柔らかい腹に触れ、そこから少しずつ手を上にずらされている。それ以上はダメだと頭で分かっていても抵抗は出来ず、指先に小さな突起が触れた。

「んっ……」
「ちょ、みつに……!ふっ、ん、んぅ………!……っぷは!」
「はっ……こう君、兄さんでこんなにしちゃったの?」

 妖しく微笑むみつ兄は俺のズボンの盛り上がった場所をそっと撫でた。あ…、ダメだ。そんな気になったらダメなのに…抑えられない。
 俺は指先に触れる突起をそのまま弾いて弱く摘んだ。

「あっ…!こう君の、えっち……♡」

 乳首を虐めるだけで気持ち良さそうにするみつ兄は、そのまま俺のちんこを取り出して指先で先端を弄り始めた。何、このもどかしい感覚。もっとってなるのに、気持ちいいのが止まらない。

「こう君、こっちに来る前は、兄さんと同じ部屋だったから我慢してたんだよね?だったら二人でシちゃえば、我慢する理由無くなるんじゃないかな?」
「いみ、わかんな………っ♡」
「分かんない?そっか。兄さんはこう君がイヤホン付けて動画見てる時とかにこっそりシてたんだけど、こう君はそんなタイミングも無かったでしょ?本当はこんなに気持ちいの大好きなのに、兄さんのこと気遣って我慢してたなんて可哀想だよ」

 確かにそうだけど!
 俺は今まで、家に誰もいない時だけトイレでシてた。おかずも特に無くて、知識も乏しいせいで上手く発散できなかったからだ。苦しいのを我慢して、時間をかけて何とかトイレに吐き出していた。時間が掛からなかったらみつ兄みたいに部屋でこっそり出来たかもしれないけど。

「こう君、こう君の気持ちよくしてあげるから、こう君も兄さんの触って……?」

 そうお願いしてくるみつ兄の股間も盛り上がっていた。
 みつ兄のちんこを出して、恐る恐る扱くと、みつ兄は簡単に声を溢した。声を抑える為だろうか、再びキスをして口を塞ぐと、そのまま俺たちは快楽だけに呑まれて何も考えられなくなった。

「…っにぃ、みつ、にい……!おれ………!」
「っイきそ?兄さんも、もう……!はっ、一緒に、イこ……♡」

 深く深く口付けて、声を押し殺して二人とも絶頂した。服が汚れないように手で押さえ、手はみつ兄の液で熱くてベタベタだ。
 ……いや、だから何をやってるんだ俺たちは………

「はぁ…、こう君、気持ち良かった?」

 ちょっと気不味くなりながらも困ったように頷いた。気持ち良かったのは確かだ。………あれ、そう言えば俺、ファーストキスだったような…。

「兄さん、まだ満足出来てないけど……こんなとこで最後までしたく無いかな。こう君は初めてだもんね。せめて最初はちゃんとベッドでしてあげるからね」
「な、なんの話……?」

 みつ兄は触れるだけのキスをすると、「手を洗いに行こっか」と俺の手を引いて近くの小川に向かった。
 ………あ、ちょっと尿意が…。

「みつ兄先に洗ってて。俺は用を足してくる」
「分かったよ」

 小川の側の木の根に隠れて用を足した。
 ………あぁ、ダメだ。さっきまでみつ兄にこんなとこ触られてたのかなんて余計な事を考える。なんか俺、ムッツリっぽい!……思い出すとダメだ。もう一回抜いてから行こう。




 朝早くから俺は何をしてるんだ、全く……。小川で手を洗いながら俺は色々と考え込んで気怠げにしていた。これが同級生がよくネタで言ってた賢者タイムか。今まで気にして無かったけど、今回ばかりは色々と考え込んでしまう。

 先にテントに戻っているみつ兄のとこに戻ると、起きて完全な人の姿になっているガルさんとみつ兄が何か話していた。

「……お前、自重しろよ」
「余計なお世話です」
「兄弟じゃねぇのか?」
「だから何ですか」

 これは…とても戻りづらい。俺はそのまま聞き耳を立てた。

「確かに僕とこう君は血の繋がった兄弟です。でも、だからこんなに特別で大好きで…愛してるんですよ」
「血が繋がって無けりゃそんな、みたいな言い方だな」
「どうでしょう。血の繋がった兄弟はこう君一人だから分かりません。他にも兄弟はいましたけどその人たちは血は繋がってませんし」

 ………へ?え、それって、やと兄とあき兄は俺たちと血が繋がって無いってこと?確かに、あき兄は分からないけど、やと兄は父さんとも母さんとも似てない。そう、だったんだ。

「僕が弟に下心を持ってる事は否定しません。それに、僕は……………」
「ん?なんだ、盗み聞きか」

 あ、バレた………
 ガルさんが俺の方を見ると、みつ兄も同じように俺を見た。

「こう君、いつから……!」
「えと、血の繋がった兄弟が俺だけってとこから………」
「そっか…。まぁ、そういうことだよ」

 そういうこと……か。ずっとみつ兄の双子だと思っていたやと兄は、それから歳の離れたあき兄は養子ってことだよな。なんだろう、びっくりしてるのに落ち着いてる。

「そっか。分かった」
「あー、なんでもいいが、朝飯食って出発するぞ」

 あれ、そういえばガルさんって俺たちのこと何も聞かないよな。出身とか親とか、それどころか名前すら教えてないから『弟の方』『兄の方』って呼ばれてるし。
 まぁ、聞かれても答えづらいけど。……もしかして、気を遣って聞かないでいてくれてるとか?明らかに変な出会い方してるし、訳ありだってことは気付いてるはず。だから自分から言わないなら聞かない、ってことなのかな。

 とりあえず、変に疲れた朝を過ごして孤児院に向かって出発した。
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