【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが

輝石玲

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はじめまして見知った異世界!

7.目覚めの悪いみつ兄

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 目が覚めると、隣でみつ兄が眠っていた。起こさないようにそっと体を起こすと、目の前の光景で全てを思い出した。

 そういえば、色々あったっけ。

 ゲームの世界に飛ばされて、遭遇したスライムが癒しのスライムだと思ったら微妙に違くて、みつ兄が警備隊に襲われて、俺が癇癪起こしてその場にいた人みんな殺して、気付いたら今いる家?にいて、みつ兄がガルさんに抱かれて、俺はガルさんに性教育されて……
 一言にまとめるなら、『ゲームの世界に来て色々襲われた』になるだろうか。


 そういえばガルさんはどこだろう。今、俺とみつ兄が寝てるベッドしかこの家に寝具は無さそうだし…もしかしてソファで寝させてしまった?
 とりあえず、その確認とこれからについて話そうとガルさんがいると思われる隣の部屋に行こうとベッドから降りた。が、静かにドアまで歩くと、後ろから強く抱きしめられた。振り返らなくても分かる、みつ兄だ。

「あの人のとこに行くの?」
「あの人って、ガルさんのこと……」
「いつの間に名前なんか知ったの?ねぇ」

 寝起きだからだろうか。みつ兄、どこかピリピリしてる?

「あの犬みたいな人…ガルさん?と、何があったの?」
「いや犬って…狼だろ。別に特に何も…」
「無い?本当に?手を出されたりしてない?」

 心配かけたかな。でも手を出されたというか、もう自分から受け入れてたし。発散させてくれただけじゃなくて色々教えてもらった。別に変なことはされて…無いよな。

「な、無いよ!ただちょっと性処理を手伝ってもらったくらいで…」
「触らせたの?」

 一瞬なぜか鳥肌が立った。
 気付けばみつ兄は俺のズボンに手を入れて、下着の上からちんこを優しく撫で始めた。……なんで!?

「ちょ、みつ兄…!」
「まだ子供のこう君が大人に手を出されるって意味、分かってる?」
「それを言うならみつ兄だって今…っ!」

 とうとう下着の中に手を入れられた。昨日、みつ兄をオカズに抜いた罪悪感がまだ残ってるのに、みつ兄は全然当たり前みたいに俺に触ってくる。
 あのぉ…?昨日、いくら変な薬をスライムに入れられてたとは言え、俺の目の前で乱れまくって恥ずかしいとか、そう言うのは無いのか?

 しかも、手つきがいやらしくて簡単に勃ってしまった。まずい…気持ちいい……

「僕達は兄弟でしょ?でも、ガルさんって人は他人どころか初めて会った人だよ」
「みつ兄、だって…、抱かれて、気持ち…良さそう、に、っして……」
「兄さんは大人だよ。自己管理は出来るからいいの。でもまだ未熟なこう君はちゃんと身を守らないと後悔することになるよ」

 それは…そうだろうけど……
 でも、それとこれとは別だ。今みつ兄が俺に性的に触れるのはやっぱり何かおかしい!
 あっ、まずい、このままだと服の中に……!

「おぉい…、洗濯物増やす気か?あぁ?」
「ガルさん!」
「チッ………」

 え、舌打ち?みつ兄が舌打ち?
 とりあえずガルさんの助け舟に乗って、トイレに逃げ込んだ。あ、危なかったー…色々と………



 とりあえず落ち着いて、リビングに戻った。ガルさんは台所に立っていて、みつ兄はソファーの端っこで小さく蹲っている。恐る恐る近付くと、気付いたみつ兄は困ったような顔でこっちを見た。

「ご、ごめんね、こう君……。反省してるから、嫌いにならないで……」

 上目遣いで目を潤ませて謝るみつ兄。あぁ…本当に顔が良い……可愛い………。

「反省してるならいいよ。いつもみつ兄の方が起きるの速いから、寝起きが弱いなんて知らなかったな」
「本当にごめん……」

 確かに、普段から活動的じゃ無いから低血圧も分かる気がする。みつ兄の隣に座って頭をポンポンと撫でると、みつ兄は柔らかく微笑んだ。本当に可愛いなぁ……。
 なんてブラコン全開にしてると、ふわりと花みたいな良い匂いがした。

「朝飯作ってるからこれ飲んでろ」
「これは?」
「ただの紅茶だ。飲みやすいが目が覚めるぞ」

 机に置かれたマグカップを持って、フーフーと覚ましてから一口飲んだ。口に入れた瞬間に花の香りが口いっぱいに広がって、ビックリするほど癒される。
 やっぱガルさん良い人…狼だ。

「うまー♡」
「だね、こう君」
「警戒心のカケラも無ぇのかよ…コイツら……」

 あっ、確かに。でもガルさんって言動の節々から良い人感が醸し出して、今更悪い人なんて言われても信じられる気がしない。流石にそれは気を許しすぎ?
 なんて考えながら紅茶を飲んでると、台所から甘い良い匂いがしてきた。

「ほらよ。仕方ねぇからお前らの分も作ってやったぞ」

 そう言って机に並べられたのはハニートーストだ。ツヤツヤの蜂蜜がふかふかのパンに掛けられて、とてもキラキラしている。甘い匂いの正体は朝食のハニートーストだった。

「食べていいのか!?」
「ダメだったらそこに置いてねぇだろ」
「やったー!」
「こう君、落ち着いて。ちゃんと頂きますして食べよっか」

 キラキラした朝食についつい興奮して、行儀悪くなりそうだったところをみつ兄に注意された。

「「いただきます」」
「…ん?なんだそれ」
「あっ、そっか。ここには無いんだっけ」

 ここ、日本じゃないから食事の前の挨拶とか無いんだった。うーん、文化とか環境とか違うのに慣れるかな……。

「故郷での習慣です。材料や食事を作ってくれた人や、食べ物を食べられる環境に感謝してから食べるんですよ」

 みつ兄ナイス説明!ガルさんは「ふぅん……」とだけ呟くと、ハニートーストをパクパクと食べ進めた。

 それにしたって本当にナイスな説明だったな。馬鹿正直に「異世界からこのゲームの世界に来ました!」なんて言おうものなら良くて冷ややかな目を向けられる、悪くて医者送りだ。

 なんて考えてたら、いつの間にかハニートーストを平らげていた。おかわり…は無いよな、流石に。我慢します。
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