【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

文字の大きさ
上 下
161 / 161
キャラクターエピソード

Episode.ラシル

しおりを挟む
私は上手く笑えません
と言うより、感情が表情に出にくいらしいです
何故かはわかりませんが
ですが、それはなんだかんだ役立ちます
例えば…誰にも悟られずに我が主の眠る神殿に様子見に行くとか
たまに休暇を頂いてはアイリスの元へと行く
10年以上続いていた事です

私は昔から姿と身分を偽りアイリスの側に居ました
公爵婦人からカメリアの耳飾りを預かったのも私です
それをアイリスに着けたのも
全て、分かりにくい表情のお陰で信用を得れていました



ですが、アイリスは…私の感情によく気付いていました
何も言わなくとも察し、適した答えを渡してくれる
思えば、私は彼女のことがずっと好きです
彼女に恋人が出来た今でさえ
それはアイリス本人は気付いていません
自身に対する好意に疎い彼女らしいです



ある日、私の半身であるユグドに聞きました

「グド、お前は自分の主人をどう見てますか?」
「えぇっと…どうって、何が?」
「関係性です」

自身の主であるカメリアに口付けも性的接触もしたことあるなら、私と同じ…なのでしょうか
グドは何故かニヤニヤと笑い出しました
何故?

「ナルホド、ジルってばアイリスのこと好きなんだ?」

……本当に何故?
私の感情に人一倍敏感なアイリスですら気付いていないことですよ?

「俺にとってのカメリアは絶対で唯一。何が何でも側にいる。じゃ無いと気が済まない。じゃ無いと…俺の存在に価値が無い。そんなとこ?」
「重症ですね」

重い……
そんな風に見てたんですか
それ、よくカメリアに気付かれませんね

「ジル、一つ忠告だ。多分お前のそれは恋なんてモンじゃない」
「は?」
「ただ、主という存在に依存してるだけだ。俺達は…最初から主しか眼中に無いからな」

たまに、グドが真っ直ぐな目で見てくる時があります
それはまるで、全てを理解しているような目と言葉
私はその時のグドに逆らえない

「ジル、お前も主に恋人が出来て寂しいんだろ?」
「それは……」


言葉を濁すと、グドは何故か私に口付けを………
あぁ、そうか……私達は…………同じなんですね
私達は2人で一つ
半分だけの1人では空いてしまう

「俺達は2人で一つ。ただの自慰とでも思ってろ」

足りない半分を補い、一瞬だけ満たすだけの行為
ほんの僅かでも寂しさが…苦しさが紛れる
同じ顔に同じ体温
でも、それで良い
元から私達は、1人で存在し続けられるものではありませんから
『主人』の為の空の半分が空いて仕舞えば、私達で満たし合うだけ
なんと虚しい行為
グド、ユグド、もう1人の私
記憶までも共有出来れば…その苦悩を理解してあげられましたか?
きっとこんな行為では、私はお前を満たせない


ユグドラシル
2人で一つ
なら何故…最初から1人にしなかったのでしょうか
常に、寂しいのです
私達は………
しおりを挟む
感想 8

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(8件)

あーる。(Kaname)

完結おめでとうございます🎉
なんと…完結から3ヶ月も過ぎてからのコメントで申し訳無いです😭
最近アルファポリスでお気に入りの作品を片っ端から読み直していまして、また読ませていただきました!パズルのピースがカチッと綺麗にハマったように終わっていて「完結だァァァ」と実感しました(?)(←語彙力皆無…) 本当に良かったです😭✨
他の作品も楽しく読ませていただいてます!これからも応援しております!

解除
あーる。(Kaname)

お久しぶりです(´°v°)/!
2日連続更新ありがとうございます!
これからどうなっていくのか…展開がとても楽しみです!!(*´艸`)
かぢぃさんのペースで頑張ってください( ^ω^)♬.*゚

解除
狐
2023.08.07

とても最高な作品ありがとうございます🥺
とても幸せな気分です…!!!
これからも続き楽しみにしております!!
最近は暑いのでお体に気をつけてくださいね☺️

解除

あなたにおすすめの小説

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。 しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!? でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。 そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。 主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱! だから、…俺は主人公じゃないんだってば!

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

【完結】竜を愛する悪役令嬢と、転生従者の謀りゴト

しゃもじ
BL
貴族の間で婚約破棄が流行し、歪みに歪んだサンドレア王国。 飛竜騎士団率いる悪役令嬢のもとに従者として転生した主人公グレイの目的は、前世で成し遂げられなかったゲームクリア=大陸統治を目指すこと、そして敬愛するメルロロッティ嬢の幸せを成就すること。 前世の記憶『予知』のもと、目的達成のためグレイは奔走するが、メルロロッティ嬢の婚約破棄後、少しずつ歴史は歪曲しグレイの予知からズレはじめる…… *主人公の股緩め、登場キャラ貞操観念低め、性癖尖り目、ピュア成分低めです。苦手な方はご注意ください。 *他サイト様にも投稿している作品です。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。