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キャラクターエピソード
Episode.ハルジオン
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一国の王子、それも長男として産まれた俺には常に責任と義務が付き纏っていた
将来、国を仕切るものとして
自国の民を守る主となる為に
『王とは、人間である前に全ての責任者である』
そんな事を言われたこともあった
それでも…あの子は俺を1人の人間として、友人として接してくれた
「ハル、つかれてる?ぎゅーってしてあげる!」
「だめだよミリー!」
「エリー…だ、だって……」
まだ幼い友人、カメリア
優しくて温かい…俺の心の拠り所
彼に会うと雑念も不安も恐怖も何もかも浄化された
婚約者のアイリスは、とにかく俺からカメリアを遠ざけようと必死だった
欲しい、何としても
でもアイリスが邪魔をしてくる
なら…消して仕舞えばいい
そして消えたのはカメリア
アイリスだけが残った
解せない
何故カメリアでは無く邪魔ばかりしてくるあいつが残った?
父親である国王に何度も懇願した
婚約を破棄して欲しいと
しかし、それは通らなかった
10年ぶりに顔を合わせたあの女は、死んだ目をしていた
この結婚を望まないのはお前だけでは無い
最低限関わらないようにと、適当にあしらっては従うだけの女
……悪評高いのだから、暗殺されてもおかしくは無いだろう
そう思って何度も刺客を送った
しかし、それを守ったのはアズだった
どこまで人を惑わし誑かせば気が済むんだ
なんとか手を尽くし、後少しと言うところであの女は自らの手で刺客を葬った
それも、ユグド騎士団長から貰ったという剣で
少し経って都合の良い女が見つかった
聖女という立場と能力を持つ少女
利用しない手は無い
馬鹿なローズは聞けばなんでも教えてくれる
毒魔法ですら
利用しやすく都合が良い彼女を娶ると言えば、アイリスと離婚出来るかもしれない
聖女に勝る女などいる訳ないのだから
それなりの価値があるのだから多少の粗相は許そう
そんな事ばかり考えていた
その末路がこれだ
愛しいと思っていた人がそばに居たのに気付かず、その価値も知らず、傷付け続けていた
全てを失って当然だ
追放される日、両目を奪われたローズを連れて城を出ようとしていた
最後に会ったのはアイリス
カメリアは突如行方をくらませた
「……なんだ、惨めだと笑いに来たのか?」
「そんな面倒する訳無いだろ。見届け人だ」
「怒っているのか?」
「当たり前だ。ミリーを傷付けたお前も…分かってて守れなかった私にも怒るに決まってる」
そうか…この女は誰より先に気付いていた
非道で汚れ曲がった俺の中身を
俺は、最後までカメリアの気持ちなど考えていなかった
全て自分の為、ただカメリアを物として欲してたに過ぎない
本当に誰かを愛する姿というのは、きっと目の前にいる強く聡い女のような姿なのだろう
盲目のローズを連れて隣国へと向かった
ローズは以前のような傲慢さも明るさも消え、死んだように大人しくなった
見えないのだから何も出来ないのだろう
邪魔になったらどこか適当に捨て………
「私の事、邪魔だと思ったら捨てて良いからね」
……それを、自分で言うか?
しかも、それを告げる時だけ僅かに笑っていた
この少女が自責?
いや、きっとこれは演技で俺に罪悪感を持たせようと…
…………
「そうだな。捨てられたくなければ大人しくしていろ」
「捨てられたく無いとは思ってないわ」
「……とにかく大人しくしていろ」
くそ、どうにも苛立つ
利用価値はあれど鬱陶しい…それだけだったはずだ
価値が無くなったなら捨てればいい
こんな、いつ死ぬかも分からない女を……
なんで、捨てられない?
何故そばに置こうと考える?
変わり果てたローズを哀れに感じたからか?
そうか、ただ、俺が1人に慣れていないからか
ローズは俺に残った最後になってしまった訳だ
仕方が無い、最低限は面倒を見てやろう
せめて…笑えるようになるくらいは
将来、国を仕切るものとして
自国の民を守る主となる為に
『王とは、人間である前に全ての責任者である』
そんな事を言われたこともあった
それでも…あの子は俺を1人の人間として、友人として接してくれた
「ハル、つかれてる?ぎゅーってしてあげる!」
「だめだよミリー!」
「エリー…だ、だって……」
まだ幼い友人、カメリア
優しくて温かい…俺の心の拠り所
彼に会うと雑念も不安も恐怖も何もかも浄化された
婚約者のアイリスは、とにかく俺からカメリアを遠ざけようと必死だった
欲しい、何としても
でもアイリスが邪魔をしてくる
なら…消して仕舞えばいい
そして消えたのはカメリア
アイリスだけが残った
解せない
何故カメリアでは無く邪魔ばかりしてくるあいつが残った?
父親である国王に何度も懇願した
婚約を破棄して欲しいと
しかし、それは通らなかった
10年ぶりに顔を合わせたあの女は、死んだ目をしていた
この結婚を望まないのはお前だけでは無い
最低限関わらないようにと、適当にあしらっては従うだけの女
……悪評高いのだから、暗殺されてもおかしくは無いだろう
そう思って何度も刺客を送った
しかし、それを守ったのはアズだった
どこまで人を惑わし誑かせば気が済むんだ
なんとか手を尽くし、後少しと言うところであの女は自らの手で刺客を葬った
それも、ユグド騎士団長から貰ったという剣で
少し経って都合の良い女が見つかった
聖女という立場と能力を持つ少女
利用しない手は無い
馬鹿なローズは聞けばなんでも教えてくれる
毒魔法ですら
利用しやすく都合が良い彼女を娶ると言えば、アイリスと離婚出来るかもしれない
聖女に勝る女などいる訳ないのだから
それなりの価値があるのだから多少の粗相は許そう
そんな事ばかり考えていた
その末路がこれだ
愛しいと思っていた人がそばに居たのに気付かず、その価値も知らず、傷付け続けていた
全てを失って当然だ
追放される日、両目を奪われたローズを連れて城を出ようとしていた
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カメリアは突如行方をくらませた
「……なんだ、惨めだと笑いに来たのか?」
「そんな面倒する訳無いだろ。見届け人だ」
「怒っているのか?」
「当たり前だ。ミリーを傷付けたお前も…分かってて守れなかった私にも怒るに決まってる」
そうか…この女は誰より先に気付いていた
非道で汚れ曲がった俺の中身を
俺は、最後までカメリアの気持ちなど考えていなかった
全て自分の為、ただカメリアを物として欲してたに過ぎない
本当に誰かを愛する姿というのは、きっと目の前にいる強く聡い女のような姿なのだろう
盲目のローズを連れて隣国へと向かった
ローズは以前のような傲慢さも明るさも消え、死んだように大人しくなった
見えないのだから何も出来ないのだろう
邪魔になったらどこか適当に捨て………
「私の事、邪魔だと思ったら捨てて良いからね」
……それを、自分で言うか?
しかも、それを告げる時だけ僅かに笑っていた
この少女が自責?
いや、きっとこれは演技で俺に罪悪感を持たせようと…
…………
「そうだな。捨てられたくなければ大人しくしていろ」
「捨てられたく無いとは思ってないわ」
「……とにかく大人しくしていろ」
くそ、どうにも苛立つ
利用価値はあれど鬱陶しい…それだけだったはずだ
価値が無くなったなら捨てればいい
こんな、いつ死ぬかも分からない女を……
なんで、捨てられない?
何故そばに置こうと考える?
変わり果てたローズを哀れに感じたからか?
そうか、ただ、俺が1人に慣れていないからか
ローズは俺に残った最後になってしまった訳だ
仕方が無い、最低限は面倒を見てやろう
せめて…笑えるようになるくらいは
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