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キャラクターエピソード

Episode.フリージア・フォー・ラディクス

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ボクには大切な家族がいる
ラディクス王国の国王である父
そしてその王妃である母
それから、3人の兄

第一王子ハルジオン
第二王子アスフォデル
第三王子グラジオラス

みんな、大切で愛しい家族だ
でも……ハル兄様とラジ兄様はもういない


ボクは昔から感情のコントロールが苦手だった
思い付いたら即行動、好きなことには盲目で嫌な事は拒絶
それから周りの人が怖く見えて、それを悟られない様に笑顔で警戒する癖があった
十七になろうとしてる今でさえ、まだ感情の制御は苦手だ
それでも他人と打ち解けられるようにはなった

これは後から知った事
ボクとラジ兄様は呪われてたらしい
それをカメリア様が教えてくれて、アズ兄様が助けてくれた
2人には感謝しても仕切れない
でも、助かったのはボクだけだった


昔から病弱で、寝込むことも多かったラジ兄様
治療を受けても悪くなる一方で、ボクも兄様の元気な姿を思い出せない
そんなラジ兄様は…死んだ
ずっと悪化してきたんだ、いつかこうなるって分かってた
……はずだった
ラジ兄様が死んだのは呪いのせいだった
それを、死んでから何年か経ってようやく知った
ひとつ違いのラジ兄様とは、家族の中で1番一緒にいたと思う
出歩けない兄様のために外から色んな物を持ってきて、それを見せては使用人に怒られてた
確かに花壇の花を折ったのはやり過ぎだったよね
そんなラジ兄様がいなくなって、どこか空っぽになった


そんな時だった
新しい家族が増えたのは

ハル兄様のお嫁さん
新しい姉様
男兄弟しかいなかったボクにとって、それは新鮮だった
とっても綺麗な人
悪い噂が飛び交う様な人
仲良くなれなさそうだと思っていた
でも、姉様と仲良くなった
噂なんて当てにならないと思うほどに優しい人だった
優しくて、強くて…悲しい人だった


今にも天気が荒れそうな時、アズ兄様は大慌てで何処かに向かっていた
あんなに慌てる兄様は珍しいと、ただの興味本位でついて行った
そして知った
姉様は…男性だった
双子の姉の身代わり
それを知った時、心がモヤッとした

一瞬、脳裏をよぎった思想

(カメリア様は、ハル兄様のものじゃない)

そう思って、ボクは嬉しくなっていた
でもそれと同時に悔しかった
そっか…姉様は男性なんだ……

そして分かった
これは、気付いた瞬間に敗れてしまった初恋だったのだと



その後にカメリア様とアズ兄様が付き合い始めて後悔した
ボクも、カメリア様が男だからって諦めなければチャンスはあったのかなって
……いや、そんな事ないよね
きっとカメリア様もアズ兄様だから結ばれた
ボクがどれだけ想っても届かない人だから

だから、この気持ちはずっと『憧れ』でいいんだ
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