【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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ただいま

134話 状況説明

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ひとまず泣き止んでから、何があったのかをディンに説明した
アズの協力の下で組織を壊滅させた事
グドが死んだことと、新しい体で戻ってくるのを待っている事
ディンはゆっくりと理解した

「そうか、大体は把握した…が。ミリー、お前は大丈夫だったのか?いくら戦闘特化の神子とは言え、最下層にいる兵器は尋常じゃない数だぞ」
「僕は大丈夫だよ。力を使い過ぎた反動はあったけど、アズ様がすぐに城に転移してくれたおかげで僕もディンも助かった」

そう、結局ディンを…僕たちを助けたのはアズだ
何が『神子』だ
あんなにも無力だった
でも、戦う力があっただけ良かったのだろう

「カメリア様、お兄ちゃん、2人に何があったのか僕にも簡単に教えて欲しい」
「それは俺もだぞ、エル。お前が無事で良かったが何がどうなってるのかさっぱりだ」


「へぇ、なら私も会話に参加していい?」

エリー!
いつの間に……
ノックもしたらしいけど全然気付かなかった

「私も弟に何があったのか知りたいし、シードに関しては私もいた方が分かりやすい。そう思ったんだけど」
「お前が神子アイリスか。……なんと言うか、この双子は男女入れ替わって見えるな」

まぁ確かに
僕は髪が長いし、気が弱い
エリーは髪が短くて、大胆で…男前って感じがする

「とりあえず、ミリー達の方から聞くか」

「えっと、僕が森で雨の中落ちてたディンを拾って…」
「落ちてたって言い方はねぇだろ……」
「事実でしょ。それで素性を隠して治療と看病をしてたんだけど、ディンが治った頃に町に買い物に行ったら偶然アズ様に出会でくわしたんだよね」
「んで、そのまま第二王子が森にある家まで追いかけてきてたから俺が追い出した……が、そこでミリーが俺の暗殺のターゲットだって発覚した。ただ、俺はミリーに惚れてたから殺す気が全く無くてな、だから暗殺失敗なら処分されるだろうなって思いながら組織に帰ったって訳だ」

あ、そう言えば僕、ディンに抱かれたっけ
………本当に冷静じゃ無かったんだな、あの時の僕
後悔はしてないけど思うとこはある
こんなの、エリー達に教えられない……

「ふーん、なるほどな」
「僕達兄妹は2人揃ってターゲットを好きになったみたいだね」
「ん?ってことはエルも同じ理由で失敗したのか?」

エリーは椅子に座るエルシードを後ろから抱きしめた
まさか………

「私たち、既に付き合ってるんだ」
「ちょ、アイリス!僕が心の準備出来てないのにサラッと言わないでよ……!」
「だと思った」

攻略してる上にバッドエンド回避……
エリーには敵わないな
流石は行動力の塊

「驚いたな……まぁ、エルがいいならいいか」
「エリーが相手なら心配すること無いと思うよ、ディン」
「「シスコン……」」

っていうか、本当にエリー達は何があったんだ
円満解決し過ぎじゃない?

「ちなみに、私達の方はシードがシソーラスの王子様として来たってとこから始まったんだ。けど、シード自身が組織に使い捨てられてることを知らなくて、私が助けた」
「そうだ、エル。その……お前が出立した後に発覚した事なんだが、抑制剤を回収されてたみたいだが大丈夫か?」

抑制剤?

後から聞いた話だと、エルシードは兵器改造された時に殺人衝動が起こる様になったらしい
その衝動を一時的に抑える為の薬を組織が回収した
もし城で殺人衝動が起きて無差別に虐殺をしたら彼女は間違いなく殺される
だから使い捨て、ということだ
きっと、ディンが寝ぼけて僕を妹と見間違えた時に言った『助ける』は、そういうことだったんだろう

「僕はもう暴走したりしないよ。アイリスが僕の体の主になって、抑制力になってくれてるから」
「エリーはそこら辺やっぱり脳筋なんだね」
「うっ……。でも、静める以外に支配はしないから問題無いって!」

まぁ、結果的に助けられてるならいいか
本当に互いに信用し合ってるように見える
………一度助けることを諦めてしまった僕がディンの想いに応えることなんて出来ない
ごめんね、ディン
どう転んでも僕達は2人みたいにはなれない
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