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ただいま
132話 優しい怒り
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目が覚めて1週間で、なんとか壁伝いに歩けるようになった
既に体調は良くなってる
それでも動きづらいのは、僕の体そのものが駄目になったからだろう
きっと、簡単には元通りに動けるようにはなれないと思う
リハビリをして、普通に生活できるようになったら体づくりから始めないとだろうな
魔力も上手く取り込めない
アズに何度か流し込んで貰ったけど、体感では魔力が入って来る感じは無かった
体が拒絶をしているのかもしれない
僕の中には循環させる程の魔力すら無いから
魔力の検査を受けたら、魔力機関が壊れていると言われた
きっとこれが後遺症だろう
魔力機関は魔力を取り込み貯蔵する体内機関
臓器のような目に見えない体の一部で、本来であれば壊れたら命に関わる
殺人兵器の死亡リスクが高い理由だ
殺人兵器の薬は魔力機関の改造薬
壊して作り直すが上手くいかないと、壊れたままになって衰弱するか死ぬ
僕が衰弱程度で収まったのは奇跡かもしれない
でも、二度と魔力を使えないだろう
しばらくは杖をついて歩くことになる
部屋の中で少しでも歩いて、日常生活が送れるくらいにはなりたい
そう思いながら部屋をゆっくりと歩いてると、ドアが開いた
「ミリー!」
「エリー…ってわぁ!?」
エリーは僕に勢いよく抱きついてきた
そのまま地面に倒れ込んだけど、エリーが僕を抱きしめる手の力は強いままだ
「本っ当に…どれだけ周りを心配させれば気が住むんだ……!」
「ごめんなさい……」
エリーは震えていた
震えて、これ以上は何も言わなかった
何も言わない代わりにエリーは……
「エリー、泣いてる?」
「……もう、私たちは不死身じゃないし転生もしない。もう二度と会うことは無いんじゃないかって、怖くなるに決まってる」
気丈で強いミリーがこんなに泣くなんて思わなかった
姉が泣く姿は、前世を含んでも滅多に見たことが無い
僕は、彼女が泣くほどのことをしたんだ
「ごめんなさい、姉さん」
僕は、両手を地面についていないと後ろに倒れるだろう
その手を離してエリーを抱きしめ返すことも今はできない
それ程までに僕は無力化してしまった
……でも、それで良かったのかもしれない
もう、僕が誰かを直接傷つけることは無い
余計なこともできない
ある意味不自由になる事が一番の救いだったのかもしれない
「なんで…何も言わずに離れたんだよ………」
「……僕のせいでみんなを危険な目に合わせると思ったから。僕の目の前で色んな人が死んだり苦痛を味わってきた。みんなも同じようになるかも知れないって思ったら、怖くて離れるのが1番いいと思ったんだ。それに………」
言葉にすると自分勝手だ
でも、もっと自分勝手な理由だってある
「それに……僕はもう、ここにいたら駄目だって思ったんだ」
「なんで?ダメな理由なんて無いだろ」
「エリーは……僕が怖くないの?」
使用人達は僕を見て怯えていた
その理由はすぐに分かった
『最恐の神子』
罪人を裁いた時についた僕の二つ名らしい
それ程までに僕は恐れられている
でも、それは簡単に予想できていた
「僕は、僕がした事が周りから見て狂ってることは知ってた。みんなは僕を守ろうとしてくれたり、何かのために戦ってたのに、僕は自分勝手に虐殺した。恐れられて当然なんだよ?」
「ミリーの……ミリーのアホ!」
「!?」
え、エリーにアホって言われた…
それも力一杯
エリーの目には涙は既に無く、怒りで怖い顔になってる
「私が!お前を怖がる理由がどこにある!私だけじゃない、何人が心配したと思ってる!」
「ぇ、え…でも……」
「お前を恐れるのはお前を大して知らない奴だけだ!自分がどれだけ信頼されてるのか、愛されてるのかなんで分からない!?」
怒ったエリーには…姉さんにはいつも逆らえない
気圧されて言い返す事も出来ない
でも、荒い言葉とは裏腹に言っていることは優しい
……ありがとう、姉さん
真っ直ぐにぶつけられた言葉に、僕は少し気が楽になった
既に体調は良くなってる
それでも動きづらいのは、僕の体そのものが駄目になったからだろう
きっと、簡単には元通りに動けるようにはなれないと思う
リハビリをして、普通に生活できるようになったら体づくりから始めないとだろうな
魔力も上手く取り込めない
アズに何度か流し込んで貰ったけど、体感では魔力が入って来る感じは無かった
体が拒絶をしているのかもしれない
僕の中には循環させる程の魔力すら無いから
魔力の検査を受けたら、魔力機関が壊れていると言われた
きっとこれが後遺症だろう
魔力機関は魔力を取り込み貯蔵する体内機関
臓器のような目に見えない体の一部で、本来であれば壊れたら命に関わる
殺人兵器の死亡リスクが高い理由だ
殺人兵器の薬は魔力機関の改造薬
壊して作り直すが上手くいかないと、壊れたままになって衰弱するか死ぬ
僕が衰弱程度で収まったのは奇跡かもしれない
でも、二度と魔力を使えないだろう
しばらくは杖をついて歩くことになる
部屋の中で少しでも歩いて、日常生活が送れるくらいにはなりたい
そう思いながら部屋をゆっくりと歩いてると、ドアが開いた
「ミリー!」
「エリー…ってわぁ!?」
エリーは僕に勢いよく抱きついてきた
そのまま地面に倒れ込んだけど、エリーが僕を抱きしめる手の力は強いままだ
「本っ当に…どれだけ周りを心配させれば気が住むんだ……!」
「ごめんなさい……」
エリーは震えていた
震えて、これ以上は何も言わなかった
何も言わない代わりにエリーは……
「エリー、泣いてる?」
「……もう、私たちは不死身じゃないし転生もしない。もう二度と会うことは無いんじゃないかって、怖くなるに決まってる」
気丈で強いミリーがこんなに泣くなんて思わなかった
姉が泣く姿は、前世を含んでも滅多に見たことが無い
僕は、彼女が泣くほどのことをしたんだ
「ごめんなさい、姉さん」
僕は、両手を地面についていないと後ろに倒れるだろう
その手を離してエリーを抱きしめ返すことも今はできない
それ程までに僕は無力化してしまった
……でも、それで良かったのかもしれない
もう、僕が誰かを直接傷つけることは無い
余計なこともできない
ある意味不自由になる事が一番の救いだったのかもしれない
「なんで…何も言わずに離れたんだよ………」
「……僕のせいでみんなを危険な目に合わせると思ったから。僕の目の前で色んな人が死んだり苦痛を味わってきた。みんなも同じようになるかも知れないって思ったら、怖くて離れるのが1番いいと思ったんだ。それに………」
言葉にすると自分勝手だ
でも、もっと自分勝手な理由だってある
「それに……僕はもう、ここにいたら駄目だって思ったんだ」
「なんで?ダメな理由なんて無いだろ」
「エリーは……僕が怖くないの?」
使用人達は僕を見て怯えていた
その理由はすぐに分かった
『最恐の神子』
罪人を裁いた時についた僕の二つ名らしい
それ程までに僕は恐れられている
でも、それは簡単に予想できていた
「僕は、僕がした事が周りから見て狂ってることは知ってた。みんなは僕を守ろうとしてくれたり、何かのために戦ってたのに、僕は自分勝手に虐殺した。恐れられて当然なんだよ?」
「ミリーの……ミリーのアホ!」
「!?」
え、エリーにアホって言われた…
それも力一杯
エリーの目には涙は既に無く、怒りで怖い顔になってる
「私が!お前を怖がる理由がどこにある!私だけじゃない、何人が心配したと思ってる!」
「ぇ、え…でも……」
「お前を恐れるのはお前を大して知らない奴だけだ!自分がどれだけ信頼されてるのか、愛されてるのかなんで分からない!?」
怒ったエリーには…姉さんにはいつも逆らえない
気圧されて言い返す事も出来ない
でも、荒い言葉とは裏腹に言っていることは優しい
……ありがとう、姉さん
真っ直ぐにぶつけられた言葉に、僕は少し気が楽になった
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