【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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新しい生活

128話 作戦開始

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グドが乗り込んだ小屋から反応があった
今がタイミングだ
僕はアズを置いて正面から堂々と見張りを襲った
確かに普通の兵士とかに比べれば強いけど、僕とグドなら難なく倒せた
それにしても、なんだかんだグドが真剣を使う姿を見るのは初めてだ
僕の赤い剣とは色違いの青い剣
普段は悪戯っぽくふざけてるのに、戦う姿は別人みたいだ

「なーに見惚れてんの?」
「……うん、グドはグドだよね」
「どゆこと、え、なんか詰られた?」

詰ってはいないけど…現実に戻されたみたいな感覚だ
とりあえず待機しているアズを呼んで、小屋の奥の部屋にある地下階段を降った


中はヒンヤリとしている
そして…思っていた以上の規模だ
それなりに綺麗だし、広さも下級貴族の屋敷くらいはあると思う
地下によくこんな建造物を造れたものだ

「侵入者だ!」

……早速バレたけど、正面から潰しに来たから支障は無い
とりあえず向かってきた人を全員斬った
一人一人の力はそれなりで、数も結構いるから大変だ
それでも遠隔からアズが防御と魔力の補充をしてくれてるから全然動ける
地下一階は人の気配が無くなった
まぁ、対人間ならこうなるよね
でも問題は殺人兵器…
ディンと同じような人がいてもおかしくは無い
それがさっきの人数いたら流石に苦しいだろう

そのまま階段を降って地下二階に来た
また向かってきた人全員斬ったけど、どうやらこのフロアは他にも人がいるらしい
本当は無視してもいいけど、後衛のアズの安全のためにも潰しておきたい
このフロアにいたのはおそらく事務職の人だろう
僕達を見るなり拳銃を向けてきたが、みんなわかりやすく敵意があったから引き金を引かれる前に殺した

下の階も同じような感じだった
おそらく居住フロア
殺風景だけど生活感があった

最後に来たのが最下層の四階
そこは上階に比べて異質だった
鉄の匂いか血の匂いかの判別もつかない悪臭
薄暗い鉄格子の向こうから聞こえる呻き声
ガシャンと音が聞こえた方を向いた
階段のすぐ横にある重そうな扉
そこに乗り込むと、血だらけの剣を杖のようについた顔半分に火傷痕のある中年がいた
その男は銃を構えていたが、銃口が向いているのはこちらでは無く……

「ディン!」

剣で切られたのだろう
体中から血を流し倒れるディンに、男は銃を向けていた

「ネズミが入り込んだか。まったく…やはりただの人間など役に立たんか。貴殿らは…あぁ、最恐の神子と隣国の第二王子か。それとおそらく人ならざる者まで」
「お前がここのボスか……。お前を殺してディンを連れて行かせてもらう」

ディンは既に大量の血液を失っている
虫の息のディンを助ける為、アズには僕達のサポートでは無くディンの治療と保護を頼んだ

「ちょうどいい。殺人兵器が神子や人ならざる者を超える力を持つのか、今ここで検証してみようか」

そう言って男は何かのレバーを動かした
それと同時に大きな音と不協和音の金属音が鳴り響く
部屋の外を見てみると、さっきまで閉まっていた牢の格子扉が開いていた

そこから出てきたのは……
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