【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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役目を終えて

107話 最恐の罰

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ハルとローズに今できることは全てやった
後は一人だけ
実父であるプラント元公爵
奴に与える罰は考えるまでもない
慈悲も無い

「久しぶり、父様」
「貴様らか。ふん、今の気分はさぞ愉快だろうな」
「不愉快極まりないけど。まぁいい、エリー、悪いけど部屋に戻っていてくれる?いい思いはしないだろうから」
「え、あ、わかった……」


エリーを強制的に払った
ハルやローズに下したかった罰は、たった一人こいつにしか出来ない
近くにいた兵士を呼び、鍵を開けてもらった
牢の鍵が開いたところで、手足は拘束されていて外には出れない

「ありがとう。それと、これを借りるよ」

鍵を開けた兵士から剣を拝借した
許可は取らずに勝手に取ったけど、今はそんな余裕も無い

「殺す気か?実父を?」
「あぁ、まさか殺されないと思っていた訳じゃ無いだろうな?」
「貴様に親殺しの責に耐え得る精神があるとは思わんがな」

耐える?
冗談にしては笑えない
エリーにはさせたく無いし、他の誰でも無い僕が殺したいんだ
僕はあまりにも愚かな目の前の男に嗤うしか無い

「僕を誰だと思ってる。お前の息子なんだ、この程度に抵抗なんて微塵も無い」
「そうか?それでも私は実の子を手にかけられんが?」
「冗談キツイな。もうその煩い口を閉じてもらおうか」


僕は目の前にいる父だった男の両足を斬った
この程度は致命傷にもならないだろう
それにしても…この程度で態度が変わりすぎだ
痛みに全く慣れていないのだろう
……この程度で悲鳴を上げるなんて

「どうした?この程度でみっともない」
「貴様ッ…!何がこの程度だ!」
「まぁ、確かに鞭打ちされた方が痛くは無いよな。でもお前には僕以上の苦痛を与える。じゃ無いと僕の気が済まない」

次に右肩を刺した
その次は左肩
そして手のひら、足の甲を串刺しに
それ以上は何も考えずに斬りつけていた



数分で満身創痍の男は既に精神崩壊していた
何度も繰り返し「殺してくれ」と呟いている
まだ、まだ殺さない
肩にある傷を足蹴にして、既に焦点の合わない目を見た

「今、どんな気分?」
「殺してくれ……」
「答えてよ、どんな気分?痛い?苦しい?」
「殺してくれ……」

ダメだ
もう会話も出来ない
ならいいや
僕はポケットから小さな箱を出した
中から小瓶を取り出して男に見せた

「これ、何かわかる?お前が僕に渡した毒薬。アズから少し貰っておいたんだよね。使い道は教えて無いんだけどさ」
「っ……!それ、だけは…やめろ……!やめてくれ………!」

反応を見る限りやっぱり相当危険な毒だったんだ
ちなみに遅効性って聞いてたけどそれはどうも嘘らしい
アズが調べた時に即効性だってことはわかってる
でも、どれほどの物かは知らない
だから実験台になってもらおう

「ほら、飲んで」
「やめ……やめろ!」
「ほら」

小瓶の中身を無理矢理押し付けて飲ませた
すると男は乾いた悲鳴をあげた
全ての傷が焼け爛れ、あっという間に灰になり、その場には骨と灰と衣服が残った
こんな物が戦争に使われていたらなんて考えるとゾッとする
ドライアドが全然可愛く見えるレベルだ

刃についた血を拭って剣を返した
そして僕には二つ名がついた

『最恐の神子』と















周りに誰もいない事を確認した後
僕はグドに告げた

「今すぐここを発とう」
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