【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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役目を終えて

106話 罪人ローズ (エリー)

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ミリーに言われた通りにローズを連れて行った
……拷問部屋に
拘束具が付いた椅子や台座に山のような拷問具
器具の鉄の匂いと血液の匂いが混ざって気持ち悪い
なんだか複雑な気分になる
そういえば私は、誰かを殺したことってあったっけ?
そうだ、私は誰かを直接手にかけたことは無い
全部あの子に押し付けてる形になってるんだ

「……さて、目的地についたけど…抵抗はしないことだな」
「抵抗なんてしない。好きにすればいいわ」
「自暴自棄になるくらいあの妖精が大切だったのか。まったく…自業自得としか言えないな」

ドライアドの目的は知らない
でも、世界を敵に回さなければ私達のターゲットになることも無かったろうに

「……アイリス、私はどこで間違えたの?私は…なんで、私じゃ全部だめなんだろう……」
「さぁ?私はローズのことは少ししか知らない。でも、お前は加害者である前に被害者だったと思う。ドライアドに連れてこられた…つまりは巻き込まれたってことだからな」

そういえば、ミリーが彼女はプレイヤーで憑依者だって言ってた
それも、前世で翼樹を追いやった同級生
同性愛に対して当たり良く無いみたいだけど、なんでだろう

「…少し話変わるけどさ、ローズって元プレイヤーでミリー…翼樹の元同級生なんだよな?」
「…そう。アイリスも転生?」
「あぁ、私は翼樹にゲームを教えた張本人で翼樹の双子の姉だ」

それを聞いたローズは顔を顰めた
まぁ、身内なら高校を中退した理由も知ってるからな
……責められるとでも思ったんだろう
若干身構えている


「ローズ、お前のことは弟から少しは聞いてる。同性愛を嫌ってるらしいけど、それはなんで?」

私も前世から同性愛者だ
ただ理解されないならわかる
それは私が異性愛を理解できないのと同じだろうから
でも嫌う理由はわからない

「だって…同性ってだけで、すぐに触ってくるじゃない。気持ち悪いわ………」
「それって…いや、なんでもない」

ローズの様子を見て察した
実際に、彼女が体験したことなんだろう
でも全員がそうな訳じゃ無い

「そんな人がいるんだ。私も同性愛者だけど全然理解できないな」
「え、あなた達二人揃ってそうなの?」
「……そ。他人に理解され難い悩みを持ってる同士だから余計にお互い離れられないんだけどさ。でもさっきの話、同性だから触ってくるって、私には到底できない」

私は中学で噂になった
だから、女子達に変に気を遣わせたりしないよう男友達を作った
結果的に性格に少年らしさがついたけど、気の弱い弟を守るにはちょうど良かった

「私は、同性愛者だからこそ触れられない。そりゃあ好きな人以外に変な気を起こしたりしないけど、でもそんなのって相手からすれば関係ないだろ?だから、私はこれがバレてからは人と距離を置くようになった」
「だから、私をここに連れてくる時も引っ張っていかなかったの?」

……そうだ
今もまだ触れられない
ジルは私のものだから別として、他の人は今でも触れることが怖い
例え知られてなくたって、触れてはいけないんだと体が覚えてしまった

「理解してくれなんて言わない。でも、同性愛は性犯罪だなんて思わないで欲しい。異性愛者だってそんなことするやつはするだろ?良く無いけど」
「そう…ね。私のやってることの方がよっぽど悪いわ。…だって私がカメリアを悪女なんて呼ばれるようにしたんだから」

え…それって……
あの子の護衛騎士が死んだ時のこと?

「最低よね。ゲーム通りにならなくって、無理矢理合わせる為に騎士を操ったの。私はとっくに人殺しよ」

人を自害させる程の力とは思わなかった
そんなに青い瞳は絶対的なものだったんだ
ミリーがローズから回収しようとするのも頷ける

「もうお話はやめましょう?私は…これから罰を受けるんだから、もう『助かりたい』なんて思いたく無い」
「アイリス、二人が来ましたよ」


いいタイミングでミリー達は来た



私は、冷たい目をしたミリーがローズの瞳を抉り取るところをずっと見ていた
見ているだけでも怖いのに、実際に行動してるミリーはどんな気持ちなのだろうか
……部分麻酔だけで目を取られるローズはどんな気持ちなのだろうか
悲鳴と泣き声がしばらく響いていた
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