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役目を終えて
104話 罰を下す
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ついに、罪人達に罰を受ける時が来た
ハルとローズ、それから驚くことにプラント元公爵まで裁けるそうだ
僕達双子と妖精は、薄暗い地下牢の奥にいる
ハルとローズは壁を一枚挟んだ隣に捕らえられている
「……ちゃんと話すのは久しぶりだね。ハル、ローズ」
「カメリア……本物、なんだな。それとアイリスも」
「なんで来たの?…殺しに、来たの?」
見るからに痩せて顔色が悪いふたり
それを見たエリーは、
「辛気臭すぎる」
って言ってるけど、罪人が明るくてもそれは狂気な気がする
「二人への罰は僕が決めることになった。一切の異論は認めない」
ハルは弱々しく、苦しそうな顔で「分かった」と呟いた
ローズは…虚ろな目をして黙り込んでいる
僕が決めた二人への罰
それを知ってるのは僕とグドだけだ
「二人を国外追放とする。今後、この国に入ることは許されない」
「それだけ、か?」
殺されるとでも思っていたのだろうか
ハルは驚き、情けない声で答えた
でもそれだけな訳が無い
僕は首を横に振った
「加えて、ハルジオンは王家の名から除外する。今後は王太子としての権力は全て使えなくなるだろう。そしてローズは……」
ハルジオンへの罰は然るべきもの
でも、ローズへの罰はハルに無関係では無い
何故なら、ローズは今後一人で生きていけなくなるのだから
「ローズはその青い瞳を二度と使えないよう、両目を回収する。これで全てだ」
これで、ローズは失明する
『愛されることがどれだけ幸せなことか教える』?
なら、何より先に失う痛みを教えなければならない
自由を奪えば嫌でも助けられることのありがたみを知るだろう
もっとも、ローズが誰かに助けられるような運と人柄が有れば、の話だけど
「さて、早速実行としようか。エリー、ローズを連れて行ってくれる?僕はハルと話したいことがある」
「はいよ。ってことで…着いてきてもらおうか」
ローズは何も言わずにエリーについて行った
これから自分が受ける罰を聞いておいて、あそこまで無反応なのは自暴自棄になっているからだろう
それだけローズにとってドライアドは大きな存在だったということ
ドライアドを殺したことは微塵も後悔していない
ローズを憐みもしない
むしろいい様だと思っているくらいだ
でも、自分で決めたことには従うつもりだ
盲目にして放置して、あの状態のまま放置したらただ野垂れ死ぬだけだ
だから……ハルを利用する
僕が助ける義理もないのだから、罰としてハルを使えばいい
今、この場にいるのはハルと僕とグドの3人だけ
「話したいこと、とはなんだ?」
「それはすぐに話すけど、その前に……グド」
ずっと僕の後ろにいたグドはハルの前に立った
金髪の人間……ユグド元騎士団長の姿で
それを見たハルは絶句していた
かつてアイリスを殺す為に利用し殺した相手が目の前にいるのだから、当たり前の反応だ
そしてハルは何となく勘づいたようだ
「お前は……ユグドか?なんで、人間じゃ無かったのか…?」
「そうだよ。俺はカメリアの妖精だ。まさかこの俺が、ただ死ぬだけだと思ったか?悪いなハルジオン。俺は…俺の主が刺客程度に負けないって最初から分かってたんだよ」
「グドは、身分を変えて僕の元に来る為に死んだんだって。狂ってるでしょ?でも……ハルより全然いい奴だよ」
僕の大切な人を傷つけるお前よりも
……もっと罪悪感を感じろ
お前が殺した人間が何だったのかを理解しろ
一生後悔し続けろ
これも、僕がお前に与える罰だ
ハルとローズ、それから驚くことにプラント元公爵まで裁けるそうだ
僕達双子と妖精は、薄暗い地下牢の奥にいる
ハルとローズは壁を一枚挟んだ隣に捕らえられている
「……ちゃんと話すのは久しぶりだね。ハル、ローズ」
「カメリア……本物、なんだな。それとアイリスも」
「なんで来たの?…殺しに、来たの?」
見るからに痩せて顔色が悪いふたり
それを見たエリーは、
「辛気臭すぎる」
って言ってるけど、罪人が明るくてもそれは狂気な気がする
「二人への罰は僕が決めることになった。一切の異論は認めない」
ハルは弱々しく、苦しそうな顔で「分かった」と呟いた
ローズは…虚ろな目をして黙り込んでいる
僕が決めた二人への罰
それを知ってるのは僕とグドだけだ
「二人を国外追放とする。今後、この国に入ることは許されない」
「それだけ、か?」
殺されるとでも思っていたのだろうか
ハルは驚き、情けない声で答えた
でもそれだけな訳が無い
僕は首を横に振った
「加えて、ハルジオンは王家の名から除外する。今後は王太子としての権力は全て使えなくなるだろう。そしてローズは……」
ハルジオンへの罰は然るべきもの
でも、ローズへの罰はハルに無関係では無い
何故なら、ローズは今後一人で生きていけなくなるのだから
「ローズはその青い瞳を二度と使えないよう、両目を回収する。これで全てだ」
これで、ローズは失明する
『愛されることがどれだけ幸せなことか教える』?
なら、何より先に失う痛みを教えなければならない
自由を奪えば嫌でも助けられることのありがたみを知るだろう
もっとも、ローズが誰かに助けられるような運と人柄が有れば、の話だけど
「さて、早速実行としようか。エリー、ローズを連れて行ってくれる?僕はハルと話したいことがある」
「はいよ。ってことで…着いてきてもらおうか」
ローズは何も言わずにエリーについて行った
これから自分が受ける罰を聞いておいて、あそこまで無反応なのは自暴自棄になっているからだろう
それだけローズにとってドライアドは大きな存在だったということ
ドライアドを殺したことは微塵も後悔していない
ローズを憐みもしない
むしろいい様だと思っているくらいだ
でも、自分で決めたことには従うつもりだ
盲目にして放置して、あの状態のまま放置したらただ野垂れ死ぬだけだ
だから……ハルを利用する
僕が助ける義理もないのだから、罰としてハルを使えばいい
今、この場にいるのはハルと僕とグドの3人だけ
「話したいこと、とはなんだ?」
「それはすぐに話すけど、その前に……グド」
ずっと僕の後ろにいたグドはハルの前に立った
金髪の人間……ユグド元騎士団長の姿で
それを見たハルは絶句していた
かつてアイリスを殺す為に利用し殺した相手が目の前にいるのだから、当たり前の反応だ
そしてハルは何となく勘づいたようだ
「お前は……ユグドか?なんで、人間じゃ無かったのか…?」
「そうだよ。俺はカメリアの妖精だ。まさかこの俺が、ただ死ぬだけだと思ったか?悪いなハルジオン。俺は…俺の主が刺客程度に負けないって最初から分かってたんだよ」
「グドは、身分を変えて僕の元に来る為に死んだんだって。狂ってるでしょ?でも……ハルより全然いい奴だよ」
僕の大切な人を傷つけるお前よりも
……もっと罪悪感を感じろ
お前が殺した人間が何だったのかを理解しろ
一生後悔し続けろ
これも、僕がお前に与える罰だ
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