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役目を終えて

102話 揺るがぬ決心

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アズの元から離れると決心した後、色々なことを聞いた
リージュは僕が初めて人を殺した時に僕の正体を知ったこと
騎士団長の葬儀後にリージュが姿を見せなくなったのは、神殿との関係を切る手続きと王位継承権の移行手続きをしていたからということ
ガーベラとリンドーは僕が男だと気付いていたこと
……ロックだけが知らなかったみたい
そして、アズとジルは協力していたらしい
ジルも裏からプラント公爵家の機密を持ち出していたようだ
ただ、エリーが生きてることと僕達が神子である事は後から知ったらしい


僕は、僕の周りのことをちゃんと知れていなかった
まだまだ詰めが甘いな


「……グド」
「呼んだぁ?」
「流石だね、エリーの部屋からこんな離れてるのに」

今僕がいるのは、僕が今まで使っていた部屋
ずっと来ていなかった間も、物はそのままに綺麗に掃除されていた
僕が今も過ごしている部屋だ

呟くように名前を呼んだだけでグドは僕の元まで来た
数センチだけ浮きながら、背後から僕の肩に腕を回している

「少し、秘密の話がしたいんだ。だから………」
“仕方ないなぁ、これでいいか?”

グドは姿はそのままに妖精の時の念話に切り替えた
そんな事も出来たんだ
僕はグドの事も知らない事ばかりだ

(ねぇグド、やることが終わったら、一緒に遠くに行こう)
“それでいいのか?”
(うん、それがいいと思ったんだ)
“なんで…もう名前も姿も偽らなくていいんだぞ?ここには大切な人だっている。それに、アイリス達はどうするんだ?”

グドの疑問もその通りだ
でも、僕の考えをグドはちゃんと分かっているはず
それでも聞くのは、きっと僕が悩むことなく本心をハッキリさせる為の確認だろう

(……みんなと、お別れするよ。エリーともね。って言っても、きっと居場所は探されたら見つかるだろうけど。エリーのとこにはジルだっているし)


いつの間にか周りを巻き込んでると気付いた以上、これからも迷惑をかけない確証は無い
僕は僕の知らない一面…どころか、何面も知った
誰かの為にがむしゃらに動けば心配させてばかりなら、僕が勝手に消えることでそれを最後の迷惑にする
無責任とも言えるかも知れないけど、僕がここにいることで起こる迷惑もそれなりにあるだろう
だから、僕の為に生まれたグドだけを連れて遠くに行くと決めた
アズやエリーと離れるのは僕も心苦しいし寂しいけど、2人とも大切だからこそ自由に生きて欲しい
僕に縛られることなく

“あーあ、どうやら変える気は全く無いみたいだ…。なら仕方ない!俺はお前と共にある事が最大の望みだからな、どこまでもオトモするぜっ!”
(うん、ありがとう)



そうして、たった2人でここを出る作戦を練ることにした
もちろん、エリーやジルにも内緒で
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