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役目を果たす時
98話 最高神ケイリクス
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気がつけば、真っ白な空間だった
転生するときにも来た場所
そこには、最高神ケイリクスが立っていた
“よくぞ、役目を果たしてくれた。感謝する”
「感謝よりもどう言うことか説明して欲しいんだけど」
“………我が愚妹の事か。確かに彼女の発言に嘘は無いだろう。”
「そうじゃない。僕が聞きたいのは、お前がどうしてそんな事をしたのか、だ」
最高神にお前とか言っちゃったけど、それはわざと
だって、やっぱり僕には片割れを傷付けたり信用しないなんて事はあり得ないことだから
僕が相当なブラコンだってことは分かってる
でも、だから兄弟を…それも双子を殺す判断をしたことが理解できない
“なるほど、詰まるところ、其方は最高神では無くケイリクス個人として話を聞きたいと?”
「当たり前だ!」
“そう……我は…………いや、ボクはね、ただ、守りたかっただけなんです”
………これが、最高神の本性?
姿や声はそのままでも、さっきまでと比べ物にならない程に弱々しい
“ライアの言葉は全部聞こえてました。まさか、そんな風に思ってたなんて、思いもしなかった。ずっと、嫌われてるのはボクの方だと思ってましたから…。ボクはただ、どんな手を使ってでもあの子を神にしたくなかったのです。神は…それも最高神となれば一切の自由がありませんから。それこそ、思考すらも。だから、最高神の力を奪ったライアを、ボクは裁くしか無かった。神とは、誰かを愛することさえ許されない、人間と世界の為だけの道具なのです”
まさか、最高神もドライアドが好きだった?
つまりはすれ違いってこと?
………報われないな
“まだ意識だけの枝だった頃、妖精として出来損ないだったボクにライアは何度も優しい言葉をかけてくれました。ボクは、妖精でありながら「道具になりたくない」と思っていましたから。それは、世界に尽くす為に生まれる妖精としては出来損ないの部類なのです”
確かに、グドは自分から僕に尽くそうとする
それも盲目的に
それが妖精
世界と人間の為の道具
………でも、道具になりたくないって思うのってそんなにおかしいのだろうか
そこが人間と妖精の違いなのだろう
なら、ケイリクスはドライアドを道具にしない為に自分を犠牲にして最高神になったってこと?
“ボクは、ずっと勘違いをしていたのだと、気付いたのは最高神になってからでした。ボクは妖精として出来損ないなんかじゃ無い。ボクはただ、ライアの為だけに生きていたかったのだと。ボクはちゃんと道具だったんです。それを、ライアを閉じ込めてから気付くなんて、遅すぎました。あの子を神にしないよう閉じ込める事。最高神になる直前の最後の願いは…手遅れになってから間違いだと気付きました”
「道具がどうのって言うのは人間の僕には理解出来ないけど…じゃあ、ドライアドを嫌ってた訳じゃなくてむしろ溺愛してた…と?」
“そうですね。確か、人間だと兄弟間の恋愛は認められていませんでしたよね。……ボクはライアを、妹だという実感がありながらそれ以上に愛してしまった”
………これが、神様?
自分の気持ちを全部押し殺して、世界の為だけにしか存在出来ない
それが…妖精?
僕は呼吸も忘れて震えていた
「水を差すようで悪いけど、この場にいるべき人が足りてなくない?」
そう言ったのはグド
たしかにエリーとジルがいないけど、エリーは今死んでるし、回復中に無理は………
「ラシルの気配を俺が見つけられないなんて、おかしい話もあるもんだなぁ。……なぁ、二人はどこ?」
そう言ったグドは、涙を堪えていた
まさか、ジルが死んだ?
でも、妖精は主人が死ぬまで死なない
………そういえば、神子の不死って『役目を果たすまで』
その役目は『裏切り者のドライアドの始末とローズの処分』
もし、既にローズが知らないどこかで死んでいたら?
あるいは、『処分』が本当は殺さなくても成り立つとしたら
嘘、だよね……………?
転生するときにも来た場所
そこには、最高神ケイリクスが立っていた
“よくぞ、役目を果たしてくれた。感謝する”
「感謝よりもどう言うことか説明して欲しいんだけど」
“………我が愚妹の事か。確かに彼女の発言に嘘は無いだろう。”
「そうじゃない。僕が聞きたいのは、お前がどうしてそんな事をしたのか、だ」
最高神にお前とか言っちゃったけど、それはわざと
だって、やっぱり僕には片割れを傷付けたり信用しないなんて事はあり得ないことだから
僕が相当なブラコンだってことは分かってる
でも、だから兄弟を…それも双子を殺す判断をしたことが理解できない
“なるほど、詰まるところ、其方は最高神では無くケイリクス個人として話を聞きたいと?”
「当たり前だ!」
“そう……我は…………いや、ボクはね、ただ、守りたかっただけなんです”
………これが、最高神の本性?
姿や声はそのままでも、さっきまでと比べ物にならない程に弱々しい
“ライアの言葉は全部聞こえてました。まさか、そんな風に思ってたなんて、思いもしなかった。ずっと、嫌われてるのはボクの方だと思ってましたから…。ボクはただ、どんな手を使ってでもあの子を神にしたくなかったのです。神は…それも最高神となれば一切の自由がありませんから。それこそ、思考すらも。だから、最高神の力を奪ったライアを、ボクは裁くしか無かった。神とは、誰かを愛することさえ許されない、人間と世界の為だけの道具なのです”
まさか、最高神もドライアドが好きだった?
つまりはすれ違いってこと?
………報われないな
“まだ意識だけの枝だった頃、妖精として出来損ないだったボクにライアは何度も優しい言葉をかけてくれました。ボクは、妖精でありながら「道具になりたくない」と思っていましたから。それは、世界に尽くす為に生まれる妖精としては出来損ないの部類なのです”
確かに、グドは自分から僕に尽くそうとする
それも盲目的に
それが妖精
世界と人間の為の道具
………でも、道具になりたくないって思うのってそんなにおかしいのだろうか
そこが人間と妖精の違いなのだろう
なら、ケイリクスはドライアドを道具にしない為に自分を犠牲にして最高神になったってこと?
“ボクは、ずっと勘違いをしていたのだと、気付いたのは最高神になってからでした。ボクは妖精として出来損ないなんかじゃ無い。ボクはただ、ライアの為だけに生きていたかったのだと。ボクはちゃんと道具だったんです。それを、ライアを閉じ込めてから気付くなんて、遅すぎました。あの子を神にしないよう閉じ込める事。最高神になる直前の最後の願いは…手遅れになってから間違いだと気付きました”
「道具がどうのって言うのは人間の僕には理解出来ないけど…じゃあ、ドライアドを嫌ってた訳じゃなくてむしろ溺愛してた…と?」
“そうですね。確か、人間だと兄弟間の恋愛は認められていませんでしたよね。……ボクはライアを、妹だという実感がありながらそれ以上に愛してしまった”
………これが、神様?
自分の気持ちを全部押し殺して、世界の為だけにしか存在出来ない
それが…妖精?
僕は呼吸も忘れて震えていた
「水を差すようで悪いけど、この場にいるべき人が足りてなくない?」
そう言ったのはグド
たしかにエリーとジルがいないけど、エリーは今死んでるし、回復中に無理は………
「ラシルの気配を俺が見つけられないなんて、おかしい話もあるもんだなぁ。……なぁ、二人はどこ?」
そう言ったグドは、涙を堪えていた
まさか、ジルが死んだ?
でも、妖精は主人が死ぬまで死なない
………そういえば、神子の不死って『役目を果たすまで』
その役目は『裏切り者のドライアドの始末とローズの処分』
もし、既にローズが知らないどこかで死んでいたら?
あるいは、『処分』が本当は殺さなくても成り立つとしたら
嘘、だよね……………?
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