99 / 161
役目を果たす時
98話 最高神ケイリクス
しおりを挟む
気がつけば、真っ白な空間だった
転生するときにも来た場所
そこには、最高神ケイリクスが立っていた
“よくぞ、役目を果たしてくれた。感謝する”
「感謝よりもどう言うことか説明して欲しいんだけど」
“………我が愚妹の事か。確かに彼女の発言に嘘は無いだろう。”
「そうじゃない。僕が聞きたいのは、お前がどうしてそんな事をしたのか、だ」
最高神にお前とか言っちゃったけど、それはわざと
だって、やっぱり僕には片割れを傷付けたり信用しないなんて事はあり得ないことだから
僕が相当なブラコンだってことは分かってる
でも、だから兄弟を…それも双子を殺す判断をしたことが理解できない
“なるほど、詰まるところ、其方は最高神では無くケイリクス個人として話を聞きたいと?”
「当たり前だ!」
“そう……我は…………いや、ボクはね、ただ、守りたかっただけなんです”
………これが、最高神の本性?
姿や声はそのままでも、さっきまでと比べ物にならない程に弱々しい
“ライアの言葉は全部聞こえてました。まさか、そんな風に思ってたなんて、思いもしなかった。ずっと、嫌われてるのはボクの方だと思ってましたから…。ボクはただ、どんな手を使ってでもあの子を神にしたくなかったのです。神は…それも最高神となれば一切の自由がありませんから。それこそ、思考すらも。だから、最高神の力を奪ったライアを、ボクは裁くしか無かった。神とは、誰かを愛することさえ許されない、人間と世界の為だけの道具なのです”
まさか、最高神もドライアドが好きだった?
つまりはすれ違いってこと?
………報われないな
“まだ意識だけの枝だった頃、妖精として出来損ないだったボクにライアは何度も優しい言葉をかけてくれました。ボクは、妖精でありながら「道具になりたくない」と思っていましたから。それは、世界に尽くす為に生まれる妖精としては出来損ないの部類なのです”
確かに、グドは自分から僕に尽くそうとする
それも盲目的に
それが妖精
世界と人間の為の道具
………でも、道具になりたくないって思うのってそんなにおかしいのだろうか
そこが人間と妖精の違いなのだろう
なら、ケイリクスはドライアドを道具にしない為に自分を犠牲にして最高神になったってこと?
“ボクは、ずっと勘違いをしていたのだと、気付いたのは最高神になってからでした。ボクは妖精として出来損ないなんかじゃ無い。ボクはただ、ライアの為だけに生きていたかったのだと。ボクはちゃんと道具だったんです。それを、ライアを閉じ込めてから気付くなんて、遅すぎました。あの子を神にしないよう閉じ込める事。最高神になる直前の最後の願いは…手遅れになってから間違いだと気付きました”
「道具がどうのって言うのは人間の僕には理解出来ないけど…じゃあ、ドライアドを嫌ってた訳じゃなくてむしろ溺愛してた…と?」
“そうですね。確か、人間だと兄弟間の恋愛は認められていませんでしたよね。……ボクはライアを、妹だという実感がありながらそれ以上に愛してしまった”
………これが、神様?
自分の気持ちを全部押し殺して、世界の為だけにしか存在出来ない
それが…妖精?
僕は呼吸も忘れて震えていた
「水を差すようで悪いけど、この場にいるべき人が足りてなくない?」
そう言ったのはグド
たしかにエリーとジルがいないけど、エリーは今死んでるし、回復中に無理は………
「ラシルの気配を俺が見つけられないなんて、おかしい話もあるもんだなぁ。……なぁ、二人はどこ?」
そう言ったグドは、涙を堪えていた
まさか、ジルが死んだ?
でも、妖精は主人が死ぬまで死なない
………そういえば、神子の不死って『役目を果たすまで』
その役目は『裏切り者のドライアドの始末とローズの処分』
もし、既にローズが知らないどこかで死んでいたら?
あるいは、『処分』が本当は殺さなくても成り立つとしたら
嘘、だよね……………?
転生するときにも来た場所
そこには、最高神ケイリクスが立っていた
“よくぞ、役目を果たしてくれた。感謝する”
「感謝よりもどう言うことか説明して欲しいんだけど」
“………我が愚妹の事か。確かに彼女の発言に嘘は無いだろう。”
「そうじゃない。僕が聞きたいのは、お前がどうしてそんな事をしたのか、だ」
最高神にお前とか言っちゃったけど、それはわざと
だって、やっぱり僕には片割れを傷付けたり信用しないなんて事はあり得ないことだから
僕が相当なブラコンだってことは分かってる
でも、だから兄弟を…それも双子を殺す判断をしたことが理解できない
“なるほど、詰まるところ、其方は最高神では無くケイリクス個人として話を聞きたいと?”
「当たり前だ!」
“そう……我は…………いや、ボクはね、ただ、守りたかっただけなんです”
………これが、最高神の本性?
姿や声はそのままでも、さっきまでと比べ物にならない程に弱々しい
“ライアの言葉は全部聞こえてました。まさか、そんな風に思ってたなんて、思いもしなかった。ずっと、嫌われてるのはボクの方だと思ってましたから…。ボクはただ、どんな手を使ってでもあの子を神にしたくなかったのです。神は…それも最高神となれば一切の自由がありませんから。それこそ、思考すらも。だから、最高神の力を奪ったライアを、ボクは裁くしか無かった。神とは、誰かを愛することさえ許されない、人間と世界の為だけの道具なのです”
まさか、最高神もドライアドが好きだった?
つまりはすれ違いってこと?
………報われないな
“まだ意識だけの枝だった頃、妖精として出来損ないだったボクにライアは何度も優しい言葉をかけてくれました。ボクは、妖精でありながら「道具になりたくない」と思っていましたから。それは、世界に尽くす為に生まれる妖精としては出来損ないの部類なのです”
確かに、グドは自分から僕に尽くそうとする
それも盲目的に
それが妖精
世界と人間の為の道具
………でも、道具になりたくないって思うのってそんなにおかしいのだろうか
そこが人間と妖精の違いなのだろう
なら、ケイリクスはドライアドを道具にしない為に自分を犠牲にして最高神になったってこと?
“ボクは、ずっと勘違いをしていたのだと、気付いたのは最高神になってからでした。ボクは妖精として出来損ないなんかじゃ無い。ボクはただ、ライアの為だけに生きていたかったのだと。ボクはちゃんと道具だったんです。それを、ライアを閉じ込めてから気付くなんて、遅すぎました。あの子を神にしないよう閉じ込める事。最高神になる直前の最後の願いは…手遅れになってから間違いだと気付きました”
「道具がどうのって言うのは人間の僕には理解出来ないけど…じゃあ、ドライアドを嫌ってた訳じゃなくてむしろ溺愛してた…と?」
“そうですね。確か、人間だと兄弟間の恋愛は認められていませんでしたよね。……ボクはライアを、妹だという実感がありながらそれ以上に愛してしまった”
………これが、神様?
自分の気持ちを全部押し殺して、世界の為だけにしか存在出来ない
それが…妖精?
僕は呼吸も忘れて震えていた
「水を差すようで悪いけど、この場にいるべき人が足りてなくない?」
そう言ったのはグド
たしかにエリーとジルがいないけど、エリーは今死んでるし、回復中に無理は………
「ラシルの気配を俺が見つけられないなんて、おかしい話もあるもんだなぁ。……なぁ、二人はどこ?」
そう言ったグドは、涙を堪えていた
まさか、ジルが死んだ?
でも、妖精は主人が死ぬまで死なない
………そういえば、神子の不死って『役目を果たすまで』
その役目は『裏切り者のドライアドの始末とローズの処分』
もし、既にローズが知らないどこかで死んでいたら?
あるいは、『処分』が本当は殺さなくても成り立つとしたら
嘘、だよね……………?
12
お気に入りに追加
358
あなたにおすすめの小説

本当に悪役なんですか?
メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。
状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて…
ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。
ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。
幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。
逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。
見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。
何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。
しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。
お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。
主人公楓目線の、片思いBL。
プラトニックラブ。
いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。
2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。
最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。
(この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。)
番外編は、2人の高校時代のお話。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】竜を愛する悪役令嬢と、転生従者の謀りゴト
しゃもじ
BL
貴族の間で婚約破棄が流行し、歪みに歪んだサンドレア王国。
飛竜騎士団率いる悪役令嬢のもとに従者として転生した主人公グレイの目的は、前世で成し遂げられなかったゲームクリア=大陸統治を目指すこと、そして敬愛するメルロロッティ嬢の幸せを成就すること。
前世の記憶『予知』のもと、目的達成のためグレイは奔走するが、メルロロッティ嬢の婚約破棄後、少しずつ歴史は歪曲しグレイの予知からズレはじめる……
*主人公の股緩め、登場キャラ貞操観念低め、性癖尖り目、ピュア成分低めです。苦手な方はご注意ください。
*他サイト様にも投稿している作品です。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる