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役目を果たす時

95話 大苦戦

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黒い光を消されたドライアドは、どこからか槍を出した
最高神から奪った力を使っていたドライアドは、遠距離での戦闘手段を無くしたようだ
接近なら担当分野
赤い剣を呼び出し、低く浮いた

「あら、小賢しいことをしてるれるじゃない」
「裏切り者ドライアド、僕が相手だ」
「裏切り者、ねぇ……。くすっ、いい響きだ…わっ!」

上から切りかかってきた槍の切先をギリギリで逸らした
ドライアドは魔法がメインかと思っていたが、予想以上のスピードと力に少しでも気を抜いたら真っ二つにされそうだ
受け身を取るばかりで全くこちらから攻撃を仕掛けられない

「ほらほらぁッ!」
「ぐぅっ!」

このまま押されてるとエリーが持たない
けど、今はエリーの顔色を見ることすら叶わない
よそ見をすれば確実に殺られる
そう考えている隙に、僕の首元にドライアドの槍先が触れようとしていた
首が飛ばされると思い、目を瞑ってしまったその瞬間、耳元で何かが割れるような大きな音がした

「あ……これって、アズの………!」
「なっ!めんっどうな結界ね!」

割れた結界は風になってドライアドに巻きついた
ほんの一瞬だけでも、その隙に僕は体勢を立て直した

「ミリー…!ごめん、あと10分も持たないかも……!」
「! 分かった!」

あと10分……
それまでに終わらせないと
とはいえ、このままじゃ埒があかない
アズの結界も回数はそんなにない
なんとか相手から隙を見つけないと…………






…………
………………ダメだ
あれから何分経っただろう
既にエリーは限界だ
僕も、アズの結界を全て使い切ったらしい
ところどころに、直接刃が触れたわけでも無いのに小さな切り傷ができている


「あらぁ、これで終わりかしら?」


とうとうエリーの魔法は切れた
僕は少しずつ力が戻っているが、それはドライアドも同じこと
それに、あまりの疲労に僕も自由に飛べずに空中でふらつき始めている
それに対して、ドライアドには余裕が見える

「……そう、そうなのね。あいつが送ってきたってくらいだから、ちょっとは期待していたのだけど…結局は退屈しのぎにもならなかった。あーあ、残念だけどここでお開きにしましょう?」

そして、ドライアドはまた黒い光を出し始めた
もう、僕達には止める術も体力も無い
このままだと、最悪の結果になるだろう
ここ周辺は消し飛び、僕達は呪いで長い時間をかけて復活を待つしかなくなる
もう、止められなくなる
それだけは阻止しなければとがむしゃらにドライアドに剣を向けて飛んだ

しかし、僕より少し早くにエリーがドライアドに手を伸ばした
武器も魔法も無しに









そして、エリーはドライアドに素手で心臓を貫かれてしまった
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