【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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役目を果たす時

79話 大変なのは儀式の後

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地下の御神木と泉がある部屋
僕が過ごしてた時の家具は全て撤去され、本当にこれらのための部屋になっている
ただ、一つ大きな違いがあった
この部屋の中央にある泉が部屋ギリギリまで広がっていた
これが儀式の準備なのだろうか

グドとジルに言われるがまま、僕とエリーは泉に入った
端の方は今までと同じくらいの浅さだったけど、中心に行くにつれて深くなり、下半身は完全に泉の中に入った


そこから何が起こったのかは僕達もわからない
いきなり水が体を這い上るかと思えば、全身を包んで息が出来なくなった
息は出来ない
でも苦しくは無い
まるで呼吸する必要が無いみたいに感じる
そこからしばらくは眠っているようだった
何も感じず、何も考えられない

ようやく意識がはっきりしたのは水が落ち始めてからだった
そっと目を開けると、目の前にいるエリーの髪が銀色に輝いていた
そして僕も、チラリと見えた前髪は燃えるような赤ではなく、エリーと同じ、グドやジルと同じ銀

「さて、これで儀式は終了だ。暫くは安静にしてるよーに!」
「髪の色はそのうち戻るでしょう。これからは大きな力を使う時に銀に変わると思います」

儀式が終わったらしく、泉から出た
不思議なことに水を吸っているはずの服は乾いている
泉から出る時に水が全て落ちたみたいだ
それにしても、この儀式は確かに妖精側の手間は凄い
僕達は何もしないで終わったのに比べて、グド達は3日も使ったんだ
簡単に決めてちょっと申し訳なかったかも




儀式が終わって数時間経った
グドが安静にしてるように言った理由が良くわかった
体が熱い上に頭も痛ければ吐き気もする
自室のベッドで横になってるけど、かなり苦しい
無理矢理体を変えるってこんな感じなんだ…

「なぁ、大丈夫…じゃないよな。何かして欲しい事とかあるか?」
「……強いて言うなら、タオルはもうちょっと絞って欲しいかな」

額に乗せられた濡れタオル
しっかり絞れてないみたいで、ポタポタと水が垂れてる

一応、解熱剤や吐き気止めは飲んだ
でもまるで効果がない
魔力過多でこうなってる以上は回復魔法も使えない
自然回復を待つしか無いのだろうか……

「カメリア…」
「どした…?」
「あ、あのな。さっき飲んだ解熱剤より強いのを貰ったんだ」

なら早く欲しい
明らかにちょっとした熱とは比べ物にならない高熱なんだ
下げられるのならどんな不味い薬でも欲しい
けど、なんでグドは言いづらそうなんだろう

「貰った…んだけどな、これ、自分で出来そうか?」
「……それって、まさか」

カプセルでも錠剤でも粉薬でもシロップ薬でも無い
……座薬なんて使ったこと、前世を含めてもないんだけど
いや、確かに座薬なら効果は強いだろうけど、ちゃんとした使用方法なんて知らない
かと言って誰かにしてもらうのも嫌だし……
これ、どうしよう………
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