【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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転生した意味

76話 魔法が得意な大切な人

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エリーと再開した次の日
僕は久しぶりに剣を習うことになった
眠ってた時間が長かったせいで木刀が重く感じる
少しずつ魔力を流しながら、少しずつ感覚を取り戻す
グドが的確に合わせてくれるから凄くやりやすい

「ペースが速い!もう少し落ち着いていかないと体力も魔力も持たないぞ!」
「分かった!」
「……っておい!ほとんど変わってねーぞ!?」

微調整は結構苦手だ
確かに消耗が激しいけど……
って思っていると、木刀を落としてしまった
右手を見てみると、青痣が出来て擦り傷で血も出てて、おまけに痙攣までしていた

「このばか!だから言ったろ!」
「ご、ごめん…全然気付いてなかった」
「早く手当てを……」

「あ、ミリーだ!ここで何してるんだ?」

エリーが駆け寄ってきた
銀髪碧眼のジルを連れて
まさかエリーのメイドである彼女がエリーの妖精でもう1人のユグドラシルだったとは
知った時は驚いたし、納得も行った
そりゃ、僕とエリーを重ねるわけないよね
グドと同様に、ジルはエリーの為だけの存在なんだから

「その手…お前無茶したな。まったく…ほら、治してやるよ」

エリーは僕の手に指差して、小声で何故かホ○ミと唱えた
すると、僕の手の怪我は古傷含めて全て消えた
ホ○ミ唱える必要は無かったと思うけど、こんなに綺麗に消えるなんてびっくりだ

「凄いだろ?私の魔法は回復とか毒とかに長けてるみたいなんだ。あと少しなら攻撃系も出来る」
「魔法かっこいい…凄い……!」

僕は目を輝かせた
魔力操作しか出来ない僕にとって魔法はずっと憧れだ
僕も魔法が使えたら、きっと復習もより良いものになる

「そういえばアズも魔法が得意だったな…」

まぁ、本職だからっていうのは分かってるけど
左手の甲についてる模様は今も消えてない
今もまだ、アズは僕の専属魔法士なのだろうか

「あー、第二王子だっけ?ミリーにとってその人ってどんな存在?」
「優しくて強くて頼りになる過保護な義弟……あ、もう義弟じゃないんだった」
「ま、ミリーがそういうならきっと凄くいい人なんだろうな。あ、そうだ!魔力操作が出来るなら簡単な魔法は使えるかも!な、教えよっか?」

僕は二つ返事で習うことにした
昼間は剣を、夜は魔法を、なんだか少し前の生活と変わらない気がするな
……あ、いや、起きてる時間的に少し前でも半年以上経ってるんだった
この感覚だけはイマイチ慣れそうにない

そういえば、ハルは僕を…エリーを殺す為に毒の魔法を使えるようになったんだっけ
なんか皮肉みたいだ
僕も同じことをしようとしてる
復習相手と同じように、憎い嫌いな人の為に魔法を習得しようとしてる
でもされた事を返すだけって考えれば、なかなか簡単かも
きっと僕もハルもよく似てる
自分と、自分の大切な人の為に勝手に誰かを殺すんだ
……かなり身勝手な理由でね
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