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悪役と主人公
61話 醜悪な脅迫
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動かない体と乱れた服のまま、ヒロインのベッドで静かに横わることしかできない現状
ローズはサイドテーブルの棚からシルバーのハサミを取り出し眺めている
「あーあ、双子の入れ替わりを利用して脅すつもりがまさか前世まで分かっちゃうとは。しかも植野だったなんてね?」
「………」
「クスッ、いい気味。前世であんたが逃げた分もいっぱい虐めてあげるね?」
なんで前世で一番嫌いな人がヒロインなの?
なんで護身用の剣術が役に立たないの?
なんで、ローズは僕にハサミを向けてるの……?
「髪の毛は証拠が残るからダメよねー。特に何も持ってないし、やっぱり服かな?」
まさか、そのハサミで切るつもり?
そこまで来たらこれはもう脅しなんかじゃない
逃げたいけど体は動かない……
「気にかけて欲しかったアイリスが自分の服を切り裂いて、ローズに切られたと嘘をつく。なんてのはどう?なかなかそれっぽくない?あ、でもこれじゃあカメリアだってバレるもんね。それはつまんないかな」
そう言ってボタンだけは付け直した
ふざけるな
これ以上の悪女がどこにいる?
段々と恐怖よりも怒りが勝ってきた
動かない体とは反対に頭だけはよく動く
体は動かせないけど、魔力は動かせる…
ゆっくりと魔力を体内で動かし始めた
嬉しいことに少しだけでも痺れが感じなくなる
止めたら元通りみたいだけど
そんな事を考えてるうちに、ローズは僕が着ているパジャマの袖とスカートを雑に切り始めた
まぁ、それくらいならいっか
僕がカメリアだとバラす気はまだ無いみたいだし
体が動かせないなら、魔力で自分の体を操ればいい
やったことはないけど、『出来る』気がする
「……っ!」
「え、な、何よ!あんた何をして……きゃあ!」
最大で魔力を動かせば、なんとか普段くらいまでは動けるようになった
グドに教えてもらった通りに赤い僕の剣を呼び出す
このままだと僕は爆弾を持ち歩くほどに危ない
なら……ここでこいつを殺した方がいいまであるだろう
真剣を抜き、その切先をローズに向ける
まだ少し震えるけど、殺せさえすれば問題は無い
「い、いや!人殺し!来ないでっ!」
「……あんな事しておいて、ローズは人を殺したこと無いんだ?」
「あるわけ無いでしょ!?そ、それ以上近付くなら魔法で………」
「何事だ!」
突然騒がしく開くドア
そこにいたのは深い青の髪と黄金の瞳の……
「ハル……?」
「は、ハル様!助けてください!いきなりアイリスに襲われて……!」
ローズは一目散にハルの元に行き抱きついた
ハルは、振り解くことなく…それどころかローズを守るように抱きしめ返した
「衛兵!アイリスを捕らえろ!」
3人ほどの兵士に押さえつけられた
けど、ハルが来た時に集中力が切れてまた体が痺れている
それどころか無理矢理動かした反動か、目の前が真っ暗で何も見えない
……失明したかな
動かなくなった体で、最後に残った力で、弱々しく大切な人の名前を呼んだ
「グド…アズ…アイリス…………」
「どうした衛兵。早くそいつを地下牢に……」
「お、王太子殿下に申し上げます……。王太子妃様が、息をしていません…………」
ローズはサイドテーブルの棚からシルバーのハサミを取り出し眺めている
「あーあ、双子の入れ替わりを利用して脅すつもりがまさか前世まで分かっちゃうとは。しかも植野だったなんてね?」
「………」
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なんで前世で一番嫌いな人がヒロインなの?
なんで護身用の剣術が役に立たないの?
なんで、ローズは僕にハサミを向けてるの……?
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まさか、そのハサミで切るつもり?
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ふざけるな
これ以上の悪女がどこにいる?
段々と恐怖よりも怒りが勝ってきた
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ゆっくりと魔力を体内で動かし始めた
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止めたら元通りみたいだけど
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まぁ、それくらいならいっか
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「……っ!」
「え、な、何よ!あんた何をして……きゃあ!」
最大で魔力を動かせば、なんとか普段くらいまでは動けるようになった
グドに教えてもらった通りに赤い僕の剣を呼び出す
このままだと僕は爆弾を持ち歩くほどに危ない
なら……ここでこいつを殺した方がいいまであるだろう
真剣を抜き、その切先をローズに向ける
まだ少し震えるけど、殺せさえすれば問題は無い
「い、いや!人殺し!来ないでっ!」
「……あんな事しておいて、ローズは人を殺したこと無いんだ?」
「あるわけ無いでしょ!?そ、それ以上近付くなら魔法で………」
「何事だ!」
突然騒がしく開くドア
そこにいたのは深い青の髪と黄金の瞳の……
「ハル……?」
「は、ハル様!助けてください!いきなりアイリスに襲われて……!」
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ハルは、振り解くことなく…それどころかローズを守るように抱きしめ返した
「衛兵!アイリスを捕らえろ!」
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それどころか無理矢理動かした反動か、目の前が真っ暗で何も見えない
……失明したかな
動かなくなった体で、最後に残った力で、弱々しく大切な人の名前を呼んだ
「グド…アズ…アイリス…………」
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