52 / 161
悪役と主人公
52話 危険から
しおりを挟む
公爵が来た翌日、いつものようにアズが部屋に来た
来てくれる事は嬉しいが、公爵に渡った手紙がアズのものである可能性が出てしまった以上、素直に喜んでいいのか分からない
「カメリア?様子が少しおかしいようですが…」
「アズ様、教えてください。この手紙はアズ様が書いた物ですか?」
僕は昨日公爵が置いて行った手紙をアズに見せた
その手紙を見たアズは、微笑んでいた
嬉しそうに
「何故、分かったんですか?」
「やっぱり…!筆跡が似ていたのでもしかして、と思って…。でもなんで………!」
アズは僕が話している最中に法衣の内側から何枚もの書類を出した
その書類を僕に手渡すと、また微笑んだ
「これを見れば分かりますよ」
「これ、反王室派とのやり取りに裏商売との取引…毒の入手ルートまで………!」
「手薄になった公爵邸に乗り込んで入手しました。その為に公爵を外に出させる必要があったんです」
僕がどうやって手に入れようかと悩んでいた物
それが今目の前にある
もちろん嬉しい
が、それでも素直には喜べない
「なんで、なんでそんな危険な事をしたんですか!?」
「っ!」
「こんな重要なもの、簡単に手に入る訳無いじゃ無いですか。なのになんで危険の中に自ら入るような真似を…!」
確かに僕は、希望を取り戻した
生きていたいと思って、復讐を諦める事も無く、ヒロインを警戒しながらもここに居たいと
でも、いくら全てを望み、叶おうともそこにアズがいなければダメなんだ
「お願いですから、もう、こんな危険な事しないでください。アズ様が危険に冒されるなんて絶対に嫌なんです」
大切な人を失う辛さを、苦しさを、寂しさをこれ以上感じたくは無い
僕は無意識にアズの服を指先で掴んでいた
「すいません、考えが足りませんでしたね。でも安心してください。貴方の魔法士は強いですから、そう簡単にいなくなりませんよ」
ふわりと頭を撫でられた
それでも心配は消えない
どれだけ強くても、何も無いとは限らない
アズは、どこまで僕を不安にさせればいいのだろうか
「絶対に、僕がアズ様を守れるように強くなる。守られてるだけなんて絶対に嫌だ」
敬語が外れたなんてどうでも良かった
自分を守る為に貰った剣は、僕と僕の大切な人を守る為に振るうんだと
僕は今まで以上に強さを求めた
あと一週間も動けないなんて腹が立って仕方ない
僕は回復しきっていないまま、また剣を習うことにした
“おいらが許すと思う!?って言いたいけど…、止められる気がしないから程々に付き合ってやるよ”
渋々だけどグドは了承してくれた
今すぐ…は流石に無理だけど、明日から普段通りの生活に戻す事になった
それが本当にいい決断かどうかは分からないけど
来てくれる事は嬉しいが、公爵に渡った手紙がアズのものである可能性が出てしまった以上、素直に喜んでいいのか分からない
「カメリア?様子が少しおかしいようですが…」
「アズ様、教えてください。この手紙はアズ様が書いた物ですか?」
僕は昨日公爵が置いて行った手紙をアズに見せた
その手紙を見たアズは、微笑んでいた
嬉しそうに
「何故、分かったんですか?」
「やっぱり…!筆跡が似ていたのでもしかして、と思って…。でもなんで………!」
アズは僕が話している最中に法衣の内側から何枚もの書類を出した
その書類を僕に手渡すと、また微笑んだ
「これを見れば分かりますよ」
「これ、反王室派とのやり取りに裏商売との取引…毒の入手ルートまで………!」
「手薄になった公爵邸に乗り込んで入手しました。その為に公爵を外に出させる必要があったんです」
僕がどうやって手に入れようかと悩んでいた物
それが今目の前にある
もちろん嬉しい
が、それでも素直には喜べない
「なんで、なんでそんな危険な事をしたんですか!?」
「っ!」
「こんな重要なもの、簡単に手に入る訳無いじゃ無いですか。なのになんで危険の中に自ら入るような真似を…!」
確かに僕は、希望を取り戻した
生きていたいと思って、復讐を諦める事も無く、ヒロインを警戒しながらもここに居たいと
でも、いくら全てを望み、叶おうともそこにアズがいなければダメなんだ
「お願いですから、もう、こんな危険な事しないでください。アズ様が危険に冒されるなんて絶対に嫌なんです」
大切な人を失う辛さを、苦しさを、寂しさをこれ以上感じたくは無い
僕は無意識にアズの服を指先で掴んでいた
「すいません、考えが足りませんでしたね。でも安心してください。貴方の魔法士は強いですから、そう簡単にいなくなりませんよ」
ふわりと頭を撫でられた
それでも心配は消えない
どれだけ強くても、何も無いとは限らない
アズは、どこまで僕を不安にさせればいいのだろうか
「絶対に、僕がアズ様を守れるように強くなる。守られてるだけなんて絶対に嫌だ」
敬語が外れたなんてどうでも良かった
自分を守る為に貰った剣は、僕と僕の大切な人を守る為に振るうんだと
僕は今まで以上に強さを求めた
あと一週間も動けないなんて腹が立って仕方ない
僕は回復しきっていないまま、また剣を習うことにした
“おいらが許すと思う!?って言いたいけど…、止められる気がしないから程々に付き合ってやるよ”
渋々だけどグドは了承してくれた
今すぐ…は流石に無理だけど、明日から普段通りの生活に戻す事になった
それが本当にいい決断かどうかは分からないけど
13
お気に入りに追加
358
あなたにおすすめの小説

本当に悪役なんですか?
メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。
状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて…
ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】竜を愛する悪役令嬢と、転生従者の謀りゴト
しゃもじ
BL
貴族の間で婚約破棄が流行し、歪みに歪んだサンドレア王国。
飛竜騎士団率いる悪役令嬢のもとに従者として転生した主人公グレイの目的は、前世で成し遂げられなかったゲームクリア=大陸統治を目指すこと、そして敬愛するメルロロッティ嬢の幸せを成就すること。
前世の記憶『予知』のもと、目的達成のためグレイは奔走するが、メルロロッティ嬢の婚約破棄後、少しずつ歴史は歪曲しグレイの予知からズレはじめる……
*主人公の股緩め、登場キャラ貞操観念低め、性癖尖り目、ピュア成分低めです。苦手な方はご注意ください。
*他サイト様にも投稿している作品です。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる