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悪役と主人公
50話 ずっとそばに
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ユグド元騎士団長はハルジオンと同じくらいの年齢に見えて、グドは中学生程に見える
それ以外は完全一致だった
「ぐ、ど……?お前…ほん、と、に……」
「うん。隠しててごめんね?おいらね、ホントはいつだってそばにいたんだ。騎士になって、カメリアをそばで守り続けようって、おいらが生まれたその時から思ってたんだ」
ずっと僕のせいで死んでしまったと思っていた人物が目の前にいると言う事実を知り、涙が溢れてしまった
また会えた喜びか、膨大な苦痛を与えてしまった自分への怒りか、また別の何かかはわからないけど
グドは俯き涙する僕の涙をそっと拭った
「お前が剣を握って良かった。あの時、おいらからの贈り物を受け取ってくれて良かった。おいらがそばにいてやれなかった時も、お前を守れていたかな?」
「もちろん…。もちろんだよ……!」
僕と大差無い体格のグドを真正面から抱きしめた
僕はグドの肩に顔を埋めて泣いた
僕の背中をポンポンと叩くグドの手は温かく、ちゃんと今、ここに生きているのだと感じた
「なぁ、そのままでいいから聞いてくれ。おいらがお前に剣を教えようと思ったのも、お前に剣をあげたのも、お前に強くなって欲しいからじゃ無いんだ。お前にな、自分自身を守れる様になって欲しいからなんだ。どんなに苦しくても、生きる希望が無くても、お前が幸せになるまで生きていて欲しいから。もっと楽しい未来を望んで欲しいから。だからお前に生き残る術を与えたかったんだ」
『自分自身を守る為』
そんなこと、望んでなどいなかった
ただ、僕に優しくしてくれた人を守りたい一心で剣を振り続けていた
でもグドは違った
僕に幸せになって欲しいと
まだ、この温もりの中で生きたいと思っていいのだと感じた
本当はもう気が付いていたんだ
今の僕には死を受け入れることは出来ないのだと
少しずつ変わっていく自分自身を、ようやく受け入れる事ができ始めたのかな
「……ねぇ、グド」
僕の心が読めるグドは、僕が何を言おうとしているか分かっているだろう
それでもちゃんと言葉にして伝えたい言葉
いつも思っていることと、今ようやく思えたこと
「今までずっとありがとう。これからも僕のそばにいて欲しいな」
「もっちろん!そんな事当たり前なんだよなぁ!」
「うわっ!」
満面の笑みでグドは僕に飛び付いてきた
その勢いに負け、僕とグドはそのまま2人して倒れてしまった
「っ!あははっ!」
「ちょ、グド!僕は今安静にしなきゃなんだって!」
なんて言いながらも僕も無邪気に笑っていた
こんな風に笑う幸せな時間を過ごす事は、もう怖く無いんだと
心が軽くなっていた
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また会えた喜びか、膨大な苦痛を与えてしまった自分への怒りか、また別の何かかはわからないけど
グドは俯き涙する僕の涙をそっと拭った
「お前が剣を握って良かった。あの時、おいらからの贈り物を受け取ってくれて良かった。おいらがそばにいてやれなかった時も、お前を守れていたかな?」
「もちろん…。もちろんだよ……!」
僕と大差無い体格のグドを真正面から抱きしめた
僕はグドの肩に顔を埋めて泣いた
僕の背中をポンポンと叩くグドの手は温かく、ちゃんと今、ここに生きているのだと感じた
「なぁ、そのままでいいから聞いてくれ。おいらがお前に剣を教えようと思ったのも、お前に剣をあげたのも、お前に強くなって欲しいからじゃ無いんだ。お前にな、自分自身を守れる様になって欲しいからなんだ。どんなに苦しくても、生きる希望が無くても、お前が幸せになるまで生きていて欲しいから。もっと楽しい未来を望んで欲しいから。だからお前に生き残る術を与えたかったんだ」
『自分自身を守る為』
そんなこと、望んでなどいなかった
ただ、僕に優しくしてくれた人を守りたい一心で剣を振り続けていた
でもグドは違った
僕に幸せになって欲しいと
まだ、この温もりの中で生きたいと思っていいのだと感じた
本当はもう気が付いていたんだ
今の僕には死を受け入れることは出来ないのだと
少しずつ変わっていく自分自身を、ようやく受け入れる事ができ始めたのかな
「……ねぇ、グド」
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「うわっ!」
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「っ!あははっ!」
「ちょ、グド!僕は今安静にしなきゃなんだって!」
なんて言いながらも僕も無邪気に笑っていた
こんな風に笑う幸せな時間を過ごす事は、もう怖く無いんだと
心が軽くなっていた
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