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悪役と主人公
48話 交渉の余地など無い
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テーブルを挟んでソファに座った僕とローズ
ローズは何故かソワソワしているが、その理由を暴いたのはグドだった
僕にこそっと発言の許可を得たグドは、いつものような明るさは無く、口元だけの笑顔で妖しくローズに問い出した
「聖女様、妖精を連れているのなら姿を見せるべきでは?」
「………?なんでライアが見えてるの?」
ローズが呟くと、小さな銀髪の女性が現れた
露出度の高い、蔦や花を巻き付けただけのような格好の妖精だ
ずっと口元に手を置いてクスクスと笑っている
「あらぁ~?あららぁ~?そこの目隠しさん、なんで見えたの~?」
「あなた方に伝える必要性を感じません」
ニッコリ笑顔でさも当然かのように吐き捨てたグドに、ライアと呼ばれた妖精は静かに怒っていた
どうやら見えるだけで、妖精同士で分かる訳では無いようだ
「気にしなくてもいいでしょ?ライア。別に向こうに妖精がいたって精霊がいたっておかしくは無いわ」
「まぁ、それもそうね……ん?まさか、ホントに妖精じゃなぁい?」
正体を指摘されたグド本人は、ただ静かに微笑むだけだった
その態度にまたしても怒りを見せたライアは、「さっさと本題に入りましょう!」とローズを急かした
「そうね!でも分かってるんじゃない?」
「……聖女様、貴女は私と同じバグなのでしょうか」
「うーん、まぁそんなところかな?でもやっぱりアイリスもなんだね!」
無邪気にキャッキャと笑う姿は蝶よ花よと育てられた幼い少女のようだ
ジルがいなくなってから敬語は外れ、挙げ句の果てに王太子妃を呼び捨てにしている
普通なら不敬だと怒られるだろう
最悪、侮辱罪にだってなり得る
少し話したところ、ローズは転生では無く憑依らしい
ハルジオンに出会う少し前にローズの体の中に入ったらしい
そして、やはりプレイヤーだった
僕に対する話の本題というのは、互いの存在を確認する事で無く
「アイリスに提案があって来たの」
交渉だった
「提案?お聞きしましょう」
「私は、逆ハーレムエンドを狙っているの。あなたも元プレイヤーならこの結末が分かるわよね?」
もちろん分かっている
フリージアのルート以外ではアイリスが必ず死んでしまう事くらい
本来であればアイリスはリージュと一切関わらない為、唯一死ぬことのないルートである
だがもう今更だろう
どれであれ僕は死ぬ
「……分かってますよ」
「このままじゃあなたは死んじゃう。だから自主的にここから離れた方がい……」
「命が惜しければとっくにそうしてる。とはお考えにならないのでしょうか?」
どう足掻いても僕が生き延びる確率なんて低い
分かった上でここにいるのだから、生きることよりも報いるために足掻いているんだ
それに…ハルジオンから離れたところで僕に待っているのは死だけ
そんな理由を並べて傷付いているなんて、認めたくは無いけど
ローズは何故かソワソワしているが、その理由を暴いたのはグドだった
僕にこそっと発言の許可を得たグドは、いつものような明るさは無く、口元だけの笑顔で妖しくローズに問い出した
「聖女様、妖精を連れているのなら姿を見せるべきでは?」
「………?なんでライアが見えてるの?」
ローズが呟くと、小さな銀髪の女性が現れた
露出度の高い、蔦や花を巻き付けただけのような格好の妖精だ
ずっと口元に手を置いてクスクスと笑っている
「あらぁ~?あららぁ~?そこの目隠しさん、なんで見えたの~?」
「あなた方に伝える必要性を感じません」
ニッコリ笑顔でさも当然かのように吐き捨てたグドに、ライアと呼ばれた妖精は静かに怒っていた
どうやら見えるだけで、妖精同士で分かる訳では無いようだ
「気にしなくてもいいでしょ?ライア。別に向こうに妖精がいたって精霊がいたっておかしくは無いわ」
「まぁ、それもそうね……ん?まさか、ホントに妖精じゃなぁい?」
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「うーん、まぁそんなところかな?でもやっぱりアイリスもなんだね!」
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普通なら不敬だと怒られるだろう
最悪、侮辱罪にだってなり得る
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そして、やはりプレイヤーだった
僕に対する話の本題というのは、互いの存在を確認する事で無く
「アイリスに提案があって来たの」
交渉だった
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もちろん分かっている
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本来であればアイリスはリージュと一切関わらない為、唯一死ぬことのないルートである
だがもう今更だろう
どれであれ僕は死ぬ
「……分かってますよ」
「このままじゃあなたは死んじゃう。だから自主的にここから離れた方がい……」
「命が惜しければとっくにそうしてる。とはお考えにならないのでしょうか?」
どう足掻いても僕が生き延びる確率なんて低い
分かった上でここにいるのだから、生きることよりも報いるために足掻いているんだ
それに…ハルジオンから離れたところで僕に待っているのは死だけ
そんな理由を並べて傷付いているなんて、認めたくは無いけど
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