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崩れていく、何もかも
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アズの誕生日から1週間
僕は未だ熱を持った唇を何度も繰り返しなぞっていた
それもそうだ
前世を含んでのファーストキス
それが突如、夫の弟に奪われてしまったのだ
普通であればあり得ない事だが、普通の夫婦で無い以上あり得てしまう
あれからアズは何度も謝った
魔力の質を確かめる為に『味見』をしたのだと何度も説明を受けた
もちろん僕は怒ってなどいない
怒ってなど……
あまりの驚きに怒りを感じる暇など無い
が、まともな返しが出来ていなかったからか余計に心配させてしまったらしい
魔力は五感によって分けられるらしい
それぞれ違うものが触覚で分かる気配
魔力の量が見える視覚
嗅覚で対応する魔法の傾向が分かる
そして味覚を通して分かる質
聴覚は今は無いらしい
なんでも、昔は魔力の声が聞こえていたとかなんとか…
僕にとってのグドのようなものだろうか
いや、グドは僕の魔力では無いだろう
僕の魔力より僕そのものに近い気がする
もちろん見た目や性格では無く、戦い方の事だ
「お嬢様、考え事ですか?」
「ごめんジル、何でもないから続けて」
気付いたら集中が切れていたようだ
今は1週間後に迫ったパーティーの準備をしている
次期国王である王太子の成婚記念のパーティー
この時にどうなるか、僕は既に知っている
本来なら王太子夫妻がお揃いの装いで出るパーティー
しかし、王太子であるハルジオンは予定していたデザインでは無くヒロインのドレスに合わせて来る
このことを、ゲームを知っていて良かった
もし知らなかったら、片想いの人とお揃いの服で隣に立てると喜んでいただろう
今仕立てているドレスは赤をメインに黒が挿してある大人っぽいドレス
それに対してヒロインサイドは青をメインに白が指していて清楚だ
パーティー当日、僕は本当に耐えられるだろうか
大勢の目の前で必然的になる孤独に
さぁ、ゲームの本編のスタートは目前だ
大丈夫、例えどんなバグ修正が行われようとも、僕と言うバグだけはずっと機能している
本来の目的はもう果たせそうに無いが、今は出来るとこまでシナリオに争ってみせる
どうせ悪役なら、惨めに終わる悪役よりも美しく散ってみせたい
何かしらの傷跡を残して
当日
真っ赤なドレス、真っ赤なリップ、真っ赤な髪
真っ赤に染まる僕はまさに『悪女』
その美しさで人々を惑わし狂わせる魔性の女だ
愛する夫のエスコートも無しに主役の座を奪われると分かりきった『私が主役』のパーティーへと、真っ赤なヒールをカツンカツンと鳴らして向かった
大切な真っ赤な剣を部屋に置いたまま………
僕は未だ熱を持った唇を何度も繰り返しなぞっていた
それもそうだ
前世を含んでのファーストキス
それが突如、夫の弟に奪われてしまったのだ
普通であればあり得ない事だが、普通の夫婦で無い以上あり得てしまう
あれからアズは何度も謝った
魔力の質を確かめる為に『味見』をしたのだと何度も説明を受けた
もちろん僕は怒ってなどいない
怒ってなど……
あまりの驚きに怒りを感じる暇など無い
が、まともな返しが出来ていなかったからか余計に心配させてしまったらしい
魔力は五感によって分けられるらしい
それぞれ違うものが触覚で分かる気配
魔力の量が見える視覚
嗅覚で対応する魔法の傾向が分かる
そして味覚を通して分かる質
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このことを、ゲームを知っていて良かった
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今仕立てているドレスは赤をメインに黒が挿してある大人っぽいドレス
それに対してヒロインサイドは青をメインに白が指していて清楚だ
パーティー当日、僕は本当に耐えられるだろうか
大勢の目の前で必然的になる孤独に
さぁ、ゲームの本編のスタートは目前だ
大丈夫、例えどんなバグ修正が行われようとも、僕と言うバグだけはずっと機能している
本来の目的はもう果たせそうに無いが、今は出来るとこまでシナリオに争ってみせる
どうせ悪役なら、惨めに終わる悪役よりも美しく散ってみせたい
何かしらの傷跡を残して
当日
真っ赤なドレス、真っ赤なリップ、真っ赤な髪
真っ赤に染まる僕はまさに『悪女』
その美しさで人々を惑わし狂わせる魔性の女だ
愛する夫のエスコートも無しに主役の座を奪われると分かりきった『私が主役』のパーティーへと、真っ赤なヒールをカツンカツンと鳴らして向かった
大切な真っ赤な剣を部屋に置いたまま………
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