23 / 161
変化とはあまりにも速い
23話 姉様のことが知りたい (リージュ)
しおりを挟む
アズ兄様がカメリア…兄様?を部屋に運んでから1時間経った
雨に濡れた兄様は入浴と着替えを済まし、ボクの部屋に説明しに来た
ドアをノックする音も、声も、どこか弱々しい
「リージュ、これから言うことは絶対に誰にも言ってはいけない。いいな?」
「……うん。分かってるよ」
敬語が外れた兄様と話すのは…2人で話すのはとても久しぶりに感じる
最後に2人で話したのは少なくともハル兄様が結婚する前だ
城はそれから忙しくなり、落ち着いた頃にはアズ兄様は姉様につきっきりだった
「先程も言った通り、彼はカメリアだ。本当のアイリスは恐らく亡くなっている」
「え…?じゃあ、2人は入れ替わってたって事?姉様はずっと、ボクや団長を騙してたの…?使用人達も他の貴族も、まさかハル兄様にまで……」
目の前にいる美しい兄は、ずっと悲しそうで苦しそうで悔しそうな顔をしている
なんでハル兄様にまで隠しているのだろうか
ハル兄様は夫婦なのに、なんで知らないのだろうか
ボクは知ってる
夫婦になった2人は初夜を迎える事を
なら、ハル兄様は姉様がカメリアだって知ってるんじゃないのか
だって、2人は仲がいいから……
「カメリアにも事情があるし、私はそれを知っている。……いや、知ってしまった。だから私は全面的にカメリアの味方でいる。リージュ、お前であれど彼を傷つけよう物なら私の敵だ」
「っ……!教えて、ハル兄様と姉様は仲が良くないの?」
何が何だか分からない
ボクが子供なばかりに、家族の事すらちゃんと知れていない
「兄上が一方的に嫌っているだけだ。私は既に兄上と敵対関係にある」
「そっか……。アズ兄様は、いつから知ってたの?姉様が本当の姉様の弟だって」
もっと知らないと
いつか姉様が言ってた
『無知ほど恐ろしい罪は無い』と
「最初から。初めて見た時に違和感を感じて、公爵家を少し調べたら直ぐに分かったよ」
「確かに、何でもっと早く気づかなかったんだろ……」
姉様の動き、声、体格
先入観を持たないでいれば気付いたかも知れないこと
ボクも結局は姉様を最初から『悪女』だと思っていた
でも、団長と戦っていた時の姉様は、確かにかっこいい騎士のようだった
「兄様、ボクにもっと教えて!姉様の…カメリアの事。ボクも何か力になりたい!だって、異性の兄弟の身代わりなんて普通に続けられる事じゃないよね……。それをしてるカメリアは、きっと何か大きな何かがあるって事でしょ?」
「……分かった。ただし、カメリア本人には気付かれないようにする事。悪女と呼ばれている事を知らないフリを続けるんだ」
「分かった」
「それと一つ、秘密裏に頼みたいことがある。それは………」
雨に濡れた兄様は入浴と着替えを済まし、ボクの部屋に説明しに来た
ドアをノックする音も、声も、どこか弱々しい
「リージュ、これから言うことは絶対に誰にも言ってはいけない。いいな?」
「……うん。分かってるよ」
敬語が外れた兄様と話すのは…2人で話すのはとても久しぶりに感じる
最後に2人で話したのは少なくともハル兄様が結婚する前だ
城はそれから忙しくなり、落ち着いた頃にはアズ兄様は姉様につきっきりだった
「先程も言った通り、彼はカメリアだ。本当のアイリスは恐らく亡くなっている」
「え…?じゃあ、2人は入れ替わってたって事?姉様はずっと、ボクや団長を騙してたの…?使用人達も他の貴族も、まさかハル兄様にまで……」
目の前にいる美しい兄は、ずっと悲しそうで苦しそうで悔しそうな顔をしている
なんでハル兄様にまで隠しているのだろうか
ハル兄様は夫婦なのに、なんで知らないのだろうか
ボクは知ってる
夫婦になった2人は初夜を迎える事を
なら、ハル兄様は姉様がカメリアだって知ってるんじゃないのか
だって、2人は仲がいいから……
「カメリアにも事情があるし、私はそれを知っている。……いや、知ってしまった。だから私は全面的にカメリアの味方でいる。リージュ、お前であれど彼を傷つけよう物なら私の敵だ」
「っ……!教えて、ハル兄様と姉様は仲が良くないの?」
何が何だか分からない
ボクが子供なばかりに、家族の事すらちゃんと知れていない
「兄上が一方的に嫌っているだけだ。私は既に兄上と敵対関係にある」
「そっか……。アズ兄様は、いつから知ってたの?姉様が本当の姉様の弟だって」
もっと知らないと
いつか姉様が言ってた
『無知ほど恐ろしい罪は無い』と
「最初から。初めて見た時に違和感を感じて、公爵家を少し調べたら直ぐに分かったよ」
「確かに、何でもっと早く気づかなかったんだろ……」
姉様の動き、声、体格
先入観を持たないでいれば気付いたかも知れないこと
ボクも結局は姉様を最初から『悪女』だと思っていた
でも、団長と戦っていた時の姉様は、確かにかっこいい騎士のようだった
「兄様、ボクにもっと教えて!姉様の…カメリアの事。ボクも何か力になりたい!だって、異性の兄弟の身代わりなんて普通に続けられる事じゃないよね……。それをしてるカメリアは、きっと何か大きな何かがあるって事でしょ?」
「……分かった。ただし、カメリア本人には気付かれないようにする事。悪女と呼ばれている事を知らないフリを続けるんだ」
「分かった」
「それと一つ、秘密裏に頼みたいことがある。それは………」
15
お気に入りに追加
358
あなたにおすすめの小説

本当に悪役なんですか?
メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。
状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて…
ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】竜を愛する悪役令嬢と、転生従者の謀りゴト
しゃもじ
BL
貴族の間で婚約破棄が流行し、歪みに歪んだサンドレア王国。
飛竜騎士団率いる悪役令嬢のもとに従者として転生した主人公グレイの目的は、前世で成し遂げられなかったゲームクリア=大陸統治を目指すこと、そして敬愛するメルロロッティ嬢の幸せを成就すること。
前世の記憶『予知』のもと、目的達成のためグレイは奔走するが、メルロロッティ嬢の婚約破棄後、少しずつ歴史は歪曲しグレイの予知からズレはじめる……
*主人公の股緩め、登場キャラ貞操観念低め、性癖尖り目、ピュア成分低めです。苦手な方はご注意ください。
*他サイト様にも投稿している作品です。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる