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変化とはあまりにも速い

23話 姉様のことが知りたい (リージュ)

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アズ兄様がカメリア…兄様?を部屋に運んでから1時間経った
雨に濡れた兄様は入浴と着替えを済まし、ボクの部屋に説明しに来た

ドアをノックする音も、声も、どこか弱々しい


「リージュ、これから言うことは絶対に誰にも言ってはいけない。いいな?」
「……うん。分かってるよ」


敬語が外れた兄様と話すのは…2人で話すのはとても久しぶりに感じる
最後に2人で話したのは少なくともハル兄様が結婚する前だ
城はそれから忙しくなり、落ち着いた頃にはアズ兄様は姉様につきっきりだった


「先程も言った通り、彼はカメリアだ。本当のアイリスは恐らく亡くなっている」
「え…?じゃあ、2人は入れ替わってたって事?姉様はずっと、ボクや団長を騙してたの…?使用人達も他の貴族も、まさかハル兄様にまで……」


目の前にいる美しい兄は、ずっと悲しそうで苦しそうで悔しそうな顔をしている
なんでハル兄様にまで隠しているのだろうか
ハル兄様は夫婦なのに、なんで知らないのだろうか
ボクは知ってる
夫婦になった2人は初夜を迎える事を
なら、ハル兄様は姉様がカメリアだって知ってるんじゃないのか
だって、2人は仲がいいから……


「カメリアにも事情があるし、私はそれを知っている。……いや、知ってしまった。だから私は全面的にカメリアの味方でいる。リージュ、お前であれど彼を傷つけよう物なら私の敵だ」
「っ……!教えて、ハル兄様と姉様は仲が良くないの?」


何が何だか分からない
ボクが子供なばかりに、家族の事すらちゃんと知れていない


「兄上が一方的に嫌っているだけだ。私は既に兄上と敵対関係にある」
「そっか……。アズ兄様は、いつから知ってたの?姉様が本当の姉様の弟だって」


もっと知らないと
いつか姉様が言ってた
『無知ほど恐ろしい罪は無い』と

「最初から。初めて見た時に違和感を感じて、公爵家を少し調べたら直ぐに分かったよ」
「確かに、何でもっと早く気づかなかったんだろ……」


姉様の動き、声、体格
先入観を持たないでいれば気付いたかも知れないこと
ボクも結局は姉様を最初から『悪女』だと思っていた
でも、団長と戦っていた時の姉様は、確かにかっこいい騎士のようだった


「兄様、ボクにもっと教えて!姉様の…カメリアの事。ボクも何か力になりたい!だって、異性の兄弟の身代わりなんて普通に続けられる事じゃないよね……。それをしてるカメリアは、きっと何か大きな何かがあるって事でしょ?」
「……分かった。ただし、カメリア本人には気付かれないようにする事。悪女と呼ばれている事を知らないフリを続けるんだ」
「分かった」


「それと一つ、秘密裏に頼みたいことがある。それは………」
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