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変化とはあまりにも速い
18話 ヒロインなんて
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魔力の過度な使用
体に合わない身体能力
一時的とは言え負荷により弱った心身を回復する為、今は訓練場近くの庭園にある東屋で休んでいる
東屋の周りには青い薔薇が咲き誇っている
この世界で青薔薇は神聖なものとされている
銀の蔦に青い薔薇
まるでヒロインの様だ
ヒロインのビジュアルは覚えている
絹の様な長い銀の髪に星を散りばめた様な大きな青い瞳
『美しい』というより『愛らしい』という言葉の合う美少女
アイリスとハルジオンが結婚して一年と言う記念の日に、彼女は現れる
記念日直前まで遠征していたハルジオンが連れて来ていたのだ
王太子の成婚記念のパーティーは一年目、五年目、十年目、二十年目……と、数年おきに行われる
あまり表に出ない王太子妃が主役になる日
そして、作中のその日の主役はヒロインになる
比較的盛大に行われない成婚記念のパーティーは、何故か大規模に行われた
王太子たるハルジオンは最初から聖女のお披露目パーティーにするつもりだったのだ
僕は、『聖女』と言うだけで無条件に愛されるヒロインが大嫌いだ
聖女の力により、人には見えないものが見えて孤立していたヒロイン
今の僕はそれを可哀想だとは思えない
だって、悪役の方が苦しいから
僕が転生する前ですら理不尽に感じていた
でも、物語が変わり、僕がバグになって更に気持ちは強くなった
悪役にハッピーエンドなんて無い
何をしようとも待っているのは『死』だけ
今までだって苦しかったのに、これからもっと苦しくなる
ぽっとでのヒロインに僕の残された全てを奪われたく無い
無意味だと知りながら今もまだ足掻く僕は愚かだろうか
それでも、食事が楽しいと思えた場所を、僕なんかに笑いかけてくれる優しい兄弟を、失いたく無い
もう失うものは無いと思っていたのに
………やだな
このままだと『死にたく無い』なんて我儘を口にしてしまいそうだ
アズもリージュも僕にとって優しくしてくれた
きっといつかハルジオンも…なんて哀れな想像をしてしまう
全て濡れ衣だと言えば、今までのことを説明すれば誤解は解けるだろうか
そしたら、また昔みたいに笑いかけて、手を繋いでくれるだろうか
そんな事考えたって、現実的に考えれば有り得ない事くらい分かってる
僕はずっと騙し続けている
それでいきなり本当の事を話したところで信じてもらえるかどうか
信じてもらえたところで結局ヒロインに全て奪われるだろうし
…あぁ、奪われるも何も最初から僕のものじゃ無いか
少しずつ何かが壊れていく音がする
何かを願っても無意味だと分かっていながらまだ希望を持っている
だから苦しい
なら、全て無意味だと自己暗示でもなんでもいいから分からないと
そう理解しないと
そして、自己防衛の為に僕はまた感情に鎖を掛けた
今度は解かれませんように
体に合わない身体能力
一時的とは言え負荷により弱った心身を回復する為、今は訓練場近くの庭園にある東屋で休んでいる
東屋の周りには青い薔薇が咲き誇っている
この世界で青薔薇は神聖なものとされている
銀の蔦に青い薔薇
まるでヒロインの様だ
ヒロインのビジュアルは覚えている
絹の様な長い銀の髪に星を散りばめた様な大きな青い瞳
『美しい』というより『愛らしい』という言葉の合う美少女
アイリスとハルジオンが結婚して一年と言う記念の日に、彼女は現れる
記念日直前まで遠征していたハルジオンが連れて来ていたのだ
王太子の成婚記念のパーティーは一年目、五年目、十年目、二十年目……と、数年おきに行われる
あまり表に出ない王太子妃が主役になる日
そして、作中のその日の主役はヒロインになる
比較的盛大に行われない成婚記念のパーティーは、何故か大規模に行われた
王太子たるハルジオンは最初から聖女のお披露目パーティーにするつもりだったのだ
僕は、『聖女』と言うだけで無条件に愛されるヒロインが大嫌いだ
聖女の力により、人には見えないものが見えて孤立していたヒロイン
今の僕はそれを可哀想だとは思えない
だって、悪役の方が苦しいから
僕が転生する前ですら理不尽に感じていた
でも、物語が変わり、僕がバグになって更に気持ちは強くなった
悪役にハッピーエンドなんて無い
何をしようとも待っているのは『死』だけ
今までだって苦しかったのに、これからもっと苦しくなる
ぽっとでのヒロインに僕の残された全てを奪われたく無い
無意味だと知りながら今もまだ足掻く僕は愚かだろうか
それでも、食事が楽しいと思えた場所を、僕なんかに笑いかけてくれる優しい兄弟を、失いたく無い
もう失うものは無いと思っていたのに
………やだな
このままだと『死にたく無い』なんて我儘を口にしてしまいそうだ
アズもリージュも僕にとって優しくしてくれた
きっといつかハルジオンも…なんて哀れな想像をしてしまう
全て濡れ衣だと言えば、今までのことを説明すれば誤解は解けるだろうか
そしたら、また昔みたいに笑いかけて、手を繋いでくれるだろうか
そんな事考えたって、現実的に考えれば有り得ない事くらい分かってる
僕はずっと騙し続けている
それでいきなり本当の事を話したところで信じてもらえるかどうか
信じてもらえたところで結局ヒロインに全て奪われるだろうし
…あぁ、奪われるも何も最初から僕のものじゃ無いか
少しずつ何かが壊れていく音がする
何かを願っても無意味だと分かっていながらまだ希望を持っている
だから苦しい
なら、全て無意味だと自己暗示でもなんでもいいから分からないと
そう理解しないと
そして、自己防衛の為に僕はまた感情に鎖を掛けた
今度は解かれませんように
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