【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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変化とはあまりにも速い

14話 見違える程の成長

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剣と魔法の特訓を始めてもうすぐ2ヶ月
時間とはあまりにも速い
体格が変わる心配も無くなり、しっかりと動けるようになった
最近は少しずつだが実践を交えた特訓も始まった
ロックは王宮に長く勤めているらしく、それなりにプロの騎士だ
分かりやすく教えてくれるし、レベルも合わせてくれている



剣を習い始めてから、ちょっとした驚きがあった


ほぼ同時期に剣を習い始めたリージュ
最初は10センチ近く差があった身長が、たったの2ヶ月足らずで5センチ差になるまで伸びたのだ
この調子なら直ぐに僕を越してしまいそうだ
まぁ、今はその方がいいのだけれど

それと、騎士団長に剣を習っているリージュ
まだ12歳とは思えない程に剣を使いこなしている



ゲームの中のリージュの設定を思い出してみると、彼は圧倒的な戦闘センスと体力で僅か13で騎士団長をも上回る実力になる
その反面、知能は人並みで精神年齢が幼い状態で止まっている

リージュのルートの悪役は乳母と侍女
リージュの飲み物に呪いを仕込んでいる乳母と、その呪いで他者依存になったリージュの拠り所となる侍女
乳母と侍女は共犯で、それをヒロインが止め呪いを解く
呪いの影響で他者依存していたリージュは、呪いが解けた後もヒロインに依存…もとい溺愛する事になる



ヒロインが聖女としてここに来るまであと8ヶ月
時間は少しずつ無くなっているにも関わらず、何も進んでいない








特訓の休憩中
僕が休憩している間もリージュはまだ剣を振るっている
姿勢も綺麗で一撃一撃が重い
今の段階で騎士団長をたまに怯ませている
ただ、一振りが大きいからかスピードはそこまで無いように見える
ろくに剣を扱えない僕がアドバイスしたところであまり意味は無いだろうけど


「お嬢様、再開しますよー!」
「あ、はーい!」




20分後
あっという間に僕はクタクタになった
それでも最初の頃よりとても楽しく感じている


「お嬢様は凄いですね」
「?」
「走っただけでバテてた日が懐かしく感じますよ」
「ゔっ……」


ロックはイタズラっぽく笑った
事実は事実だが、改めて考えると大分弱かったんだなと思う


「……お嬢様は剣、好きですか?」
「え?えぇ、まぁ……」
「楽しいですか?」
「そうですね」
「………」


いきなり何故聞いて来たのだろう
聞くだけ聞いてロックは黙ってしまった
僕と目を合わせようともせずにある一言を放った


「何故、騎士を殺したのですか」
「っ!」
「お嬢様が殺した騎士の中には、私の兄もいました。何故兄は……シャムは死ななければならなかったのですか」
「シャム……!?」


その名前に覚えがあった
シャムは僕の8人目の騎士だ
4年前、僕がまだ12の時の護衛騎士
彼は僅か3ヶ月で解雇されている

僕に強姦しようとして

その理由で解雇された騎士は何人かいたが、シャムは一番最初だった
なんとか未遂で済み、僕が男であることを知られずにすんだ
僕が男であることを知った騎士は例外無く公爵に殺されていた

まさか、僕の剣の師匠が彼の弟だとは思いもしなかった
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