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変化とはあまりにも速い
9話 変わってしまった朝
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丸一日も眠ってしまった
すぐに入浴を済ませ、朝食に向かう
廊下を歩いていると、偶然ハルジオンに会った
条件反射で逃げようとしてしまったがなんとか踏み留まる
とりあえず挨拶だけでもしておかないとと思い、お辞儀をしようとした時
ハルジオンはたった一言
「これからは食事を別にしよう」
とだけ言った
それを伝えるだけ伝えて直ぐに立ち去ってしまった
反応を見るに、アズはハルジオンに伝えても信じてもらえなかったのだろうか
実の兄弟間にヒビが入っていない事を願った
そんな願いに意味は無かった
食事をどこで取ればいいか分からずに部屋に戻った
どうせ食欲も無い
食事も栄養食のようなものだけで済ませばいい
そう思っていた矢先にノックが聞こえた
「私です、姉上」
「アズ様?」
ドアを開けると長い髪を後ろで高くまとめたアズがいた
威圧感が薄まり、少し爽やかに見える
ハルジオンはキリッとした逞しい男性のような顔立ちだが、アズは反対に透明感と秀麗さで『美』をそのまま形にしたようだ
「兄上が姉上と朝食を別にすると言っていたので、よかったら私と食べませんか?」
「いいのですか?ではお言葉に甘えて」
「ありがとうございます。出来れば質素で多少汚れてもいい服で来ていただけると」
「?」
アズには部屋の外で待ってもらい、1番質素な小貴族のようなスカートにほとんどボリュームの無いドレスを着た
上からショールを羽織り質素間を多少カバーした
流石に王宮の廊下を質素な服で歩くわけにはいかない
アズの案内で向かったのは上級使用人が泊まる別棟
小さなホテルのような場所だ
「みなさんおはようございます」
「はい、おはようございます。あら?今日は1人多いと聞きましたがもしかして……」
「えぇ、私の姉上ですよ」
別棟に入って最初に会った老婆
格好からして恐らくメイド
そして場所的に考えるとメイド長だろう
「あら、お初にお目にかかります。わたしはメイド長のガーベラです」
「はじめまして、私はアイリスです」
「知ってますとも。結婚式を見てましたからね」
暖かい雰囲気を纏ったメイド長、ガーベラ
久しぶりのほのぼのとした空気だ
とても落ち着く
案内のもと別棟の食堂に入ると、執事長がいた
正確には元、執事長だ
彼のことは少しだけ聞いたことがあった
体の都合で執事を辞めざるを得なくなってしまったが、その手腕から執事を引退した後は教育係として雇われていると言う
「お初にお目にかかります。リンドーと申します」
「はじめまして」
この人はガーベラと違い少し堅い
どうしても少し緊張してしまう
「姉上、どうぞ座ってください」
「ありがとうございます。ところでここは……?」
メイド長や執事の教育係がいる食堂
アズを含めた4人でテーブルを囲んでいる状況
貴族が使用人と当たり前のように食卓を囲むのは珍しい
何故、アズはここでの食事に誘ってくれたのだろうか
すぐに入浴を済ませ、朝食に向かう
廊下を歩いていると、偶然ハルジオンに会った
条件反射で逃げようとしてしまったがなんとか踏み留まる
とりあえず挨拶だけでもしておかないとと思い、お辞儀をしようとした時
ハルジオンはたった一言
「これからは食事を別にしよう」
とだけ言った
それを伝えるだけ伝えて直ぐに立ち去ってしまった
反応を見るに、アズはハルジオンに伝えても信じてもらえなかったのだろうか
実の兄弟間にヒビが入っていない事を願った
そんな願いに意味は無かった
食事をどこで取ればいいか分からずに部屋に戻った
どうせ食欲も無い
食事も栄養食のようなものだけで済ませばいい
そう思っていた矢先にノックが聞こえた
「私です、姉上」
「アズ様?」
ドアを開けると長い髪を後ろで高くまとめたアズがいた
威圧感が薄まり、少し爽やかに見える
ハルジオンはキリッとした逞しい男性のような顔立ちだが、アズは反対に透明感と秀麗さで『美』をそのまま形にしたようだ
「兄上が姉上と朝食を別にすると言っていたので、よかったら私と食べませんか?」
「いいのですか?ではお言葉に甘えて」
「ありがとうございます。出来れば質素で多少汚れてもいい服で来ていただけると」
「?」
アズには部屋の外で待ってもらい、1番質素な小貴族のようなスカートにほとんどボリュームの無いドレスを着た
上からショールを羽織り質素間を多少カバーした
流石に王宮の廊下を質素な服で歩くわけにはいかない
アズの案内で向かったのは上級使用人が泊まる別棟
小さなホテルのような場所だ
「みなさんおはようございます」
「はい、おはようございます。あら?今日は1人多いと聞きましたがもしかして……」
「えぇ、私の姉上ですよ」
別棟に入って最初に会った老婆
格好からして恐らくメイド
そして場所的に考えるとメイド長だろう
「あら、お初にお目にかかります。わたしはメイド長のガーベラです」
「はじめまして、私はアイリスです」
「知ってますとも。結婚式を見てましたからね」
暖かい雰囲気を纏ったメイド長、ガーベラ
久しぶりのほのぼのとした空気だ
とても落ち着く
案内のもと別棟の食堂に入ると、執事長がいた
正確には元、執事長だ
彼のことは少しだけ聞いたことがあった
体の都合で執事を辞めざるを得なくなってしまったが、その手腕から執事を引退した後は教育係として雇われていると言う
「お初にお目にかかります。リンドーと申します」
「はじめまして」
この人はガーベラと違い少し堅い
どうしても少し緊張してしまう
「姉上、どうぞ座ってください」
「ありがとうございます。ところでここは……?」
メイド長や執事の教育係がいる食堂
アズを含めた4人でテーブルを囲んでいる状況
貴族が使用人と当たり前のように食卓を囲むのは珍しい
何故、アズはここでの食事に誘ってくれたのだろうか
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