6 / 161
「私」の秘密を
6話 対等であると言うこと
しおりを挟む
コルセットを付けてないのに息が苦しい
どれだけ吐いてもまだ何かが詰まっているような感覚
「吐き気は治った?」
「まだ、苦し……」
「だいぶ吐いてるけど…体力的にも吐くのキツいだろう」
「ん…」
「ちょっと無理矢理吐かせるぞ」
「え……っん⁉︎」
アズは口の奥まで長い指を入れてきた
確かに無理矢理喉が開いた事で吐きやすくはなったが、まさかそれをされるとは思っていなかった
「カハッ…ガッ……ハァ、ハッ、ゲホッ」
「流石にこれ以上は危ない、そろっと…ん?………やり過ぎたか」
体力的に限界になってしまい、僕は気を失ってしまった
ーーーーーーーーーー
意識を失いぐったりとした彼の口元を拭った
よく見ると輪郭や首筋、体格に男性らしさを感じる
今までドレスの装飾やメイクで誤魔化していたのだろうか
ベッドに運ぼうと彼を抱えた
薬を紅茶に混ぜて眠らせた時も運んだが、やはり異常なまでに軽い
「歳の割に大人じゃ無くて、歳の割に小柄なんだよな…」
同じ歳でありながらも体格差は大きく、高い声や線の細い体はストレスで成長が止まっているのだろうか
ガリガリに痩せた体をコルセットで締め付けているなんて拷問だろう
冷静になってようやく彼が被害者であると理解した
彼をベッドに寝かせて頬をなぞった
明らかに痩せている
筋肉も無い、脂肪もない
細過ぎる腕で騎士達を切れるだろうか
「…貴方が目を覚ましたら、ちゃんと謝罪をしないと…ですね」
せめて、私だけでも近くで守れる様に
ーーーーーーーーーー
「ん……?」
「おはようございます、アイリス姉上」
「アズ…?私は………ゴホッゴホッ!」
喉が痛い
胃の中も空っぽの様だ
夢だったのだろうか
半信半疑でアイリスとして振る舞った
「吐き気と喉の痛みを抑える薬です。飲んで下さい」
そう言って振る舞われたのはマグカップに入った紫色の温かい飲み物
僕は言われるがままに飲んだ
「昨日薬を盛られたのに、学びませんね」
「え」
サァーっと血の気が引いていくのが分かる
まさか毒を盛られたのではと恐ろしくなった
「それはちゃんとした薬です。もしかして、昨日のことはっきりと覚えて無いのでしょうか?」
「いえ………夢じゃ、無いんですね」
「覚えていて良かったです」
あんな、苦しい事を覚えていて良かった?
どこまでも嫌われているのかと思った矢先、アズは頭を下げた
「昨夜の事、どうか許して頂けないでしょうか」
「!? 何をして…頭を上げてください!」
「不躾ながら覚えていてよかったです。こうして、ちゃんと謝罪することが出来る」
「当たり前のことじゃ無いですか…アスフォデル殿下は兄である王太子殿下を心配していただけのことなんでしょう?」
きっと僕が同じ立場なら同じことをしていたかもしれない
………いや、流石にそれは無いか
「何故、呼び方を戻したのですか」
「え?」
「今、私の事をアスフォデル殿下と呼んだじゃ無いですか」
「………アズ様?この呼び方をしててもいいのでしょうか?」
「はい。アイリス姉上」
家族として認めてもらえた様な気がした
僕の名前でも姿でも無いけど
それでもアズは他の誰でも無い僕を受け入れてくれたのだろうか
どれだけ吐いてもまだ何かが詰まっているような感覚
「吐き気は治った?」
「まだ、苦し……」
「だいぶ吐いてるけど…体力的にも吐くのキツいだろう」
「ん…」
「ちょっと無理矢理吐かせるぞ」
「え……っん⁉︎」
アズは口の奥まで長い指を入れてきた
確かに無理矢理喉が開いた事で吐きやすくはなったが、まさかそれをされるとは思っていなかった
「カハッ…ガッ……ハァ、ハッ、ゲホッ」
「流石にこれ以上は危ない、そろっと…ん?………やり過ぎたか」
体力的に限界になってしまい、僕は気を失ってしまった
ーーーーーーーーーー
意識を失いぐったりとした彼の口元を拭った
よく見ると輪郭や首筋、体格に男性らしさを感じる
今までドレスの装飾やメイクで誤魔化していたのだろうか
ベッドに運ぼうと彼を抱えた
薬を紅茶に混ぜて眠らせた時も運んだが、やはり異常なまでに軽い
「歳の割に大人じゃ無くて、歳の割に小柄なんだよな…」
同じ歳でありながらも体格差は大きく、高い声や線の細い体はストレスで成長が止まっているのだろうか
ガリガリに痩せた体をコルセットで締め付けているなんて拷問だろう
冷静になってようやく彼が被害者であると理解した
彼をベッドに寝かせて頬をなぞった
明らかに痩せている
筋肉も無い、脂肪もない
細過ぎる腕で騎士達を切れるだろうか
「…貴方が目を覚ましたら、ちゃんと謝罪をしないと…ですね」
せめて、私だけでも近くで守れる様に
ーーーーーーーーーー
「ん……?」
「おはようございます、アイリス姉上」
「アズ…?私は………ゴホッゴホッ!」
喉が痛い
胃の中も空っぽの様だ
夢だったのだろうか
半信半疑でアイリスとして振る舞った
「吐き気と喉の痛みを抑える薬です。飲んで下さい」
そう言って振る舞われたのはマグカップに入った紫色の温かい飲み物
僕は言われるがままに飲んだ
「昨日薬を盛られたのに、学びませんね」
「え」
サァーっと血の気が引いていくのが分かる
まさか毒を盛られたのではと恐ろしくなった
「それはちゃんとした薬です。もしかして、昨日のことはっきりと覚えて無いのでしょうか?」
「いえ………夢じゃ、無いんですね」
「覚えていて良かったです」
あんな、苦しい事を覚えていて良かった?
どこまでも嫌われているのかと思った矢先、アズは頭を下げた
「昨夜の事、どうか許して頂けないでしょうか」
「!? 何をして…頭を上げてください!」
「不躾ながら覚えていてよかったです。こうして、ちゃんと謝罪することが出来る」
「当たり前のことじゃ無いですか…アスフォデル殿下は兄である王太子殿下を心配していただけのことなんでしょう?」
きっと僕が同じ立場なら同じことをしていたかもしれない
………いや、流石にそれは無いか
「何故、呼び方を戻したのですか」
「え?」
「今、私の事をアスフォデル殿下と呼んだじゃ無いですか」
「………アズ様?この呼び方をしててもいいのでしょうか?」
「はい。アイリス姉上」
家族として認めてもらえた様な気がした
僕の名前でも姿でも無いけど
それでもアズは他の誰でも無い僕を受け入れてくれたのだろうか
13
お気に入りに追加
358
あなたにおすすめの小説

本当に悪役なんですか?
メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。
状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて…
ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

【完結】竜を愛する悪役令嬢と、転生従者の謀りゴト
しゃもじ
BL
貴族の間で婚約破棄が流行し、歪みに歪んだサンドレア王国。
飛竜騎士団率いる悪役令嬢のもとに従者として転生した主人公グレイの目的は、前世で成し遂げられなかったゲームクリア=大陸統治を目指すこと、そして敬愛するメルロロッティ嬢の幸せを成就すること。
前世の記憶『予知』のもと、目的達成のためグレイは奔走するが、メルロロッティ嬢の婚約破棄後、少しずつ歴史は歪曲しグレイの予知からズレはじめる……
*主人公の股緩め、登場キャラ貞操観念低め、性癖尖り目、ピュア成分低めです。苦手な方はご注意ください。
*他サイト様にも投稿している作品です。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる