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「私」の秘密を
2話 僕はバグなのだろう
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制作社とプレイヤーと言っても、他の人は疑問を抱くだろう
僕は、この世界が乙女ゲームの世界だということを知っている
タイトルは何故か思い出せないが、内容はほとんど覚えていた
僕が転生したカメリアは、いわゆるモブの立場にある
悪役令嬢、アイリスは事故で双子の片割れを失い、その寂しさを埋めるように男を毎晩寝室に呼んでいた
そして、10年ぶりに再開したハルジオンに惚れ込んだアイリスは毎夜誘惑しようとする
実父に命じられた暗殺もせずに
しかし、王太子はある日突然現れた聖女に一目惚れをする
それがヒロイン
そこからはアイリスを忘れヒロインの元へ入り浸る
そして、アイリスは惚れ薬として渡された毒を王太子に盛ろうとし、ヒロインが暴き、死刑になる
前世の姉がプレイしていたゲームだ
僕も勧められてプレイした
姉は第1王子のルートに出てくる悪役令嬢が1番好きなキャラクターだったらしい
「この王子ホント馬鹿じゃねぇの!?」
「またそのゲームか。姉さんも程々にしなよ」
「あっ、聞いてよ~!このキャラクター、凄く可愛いのに酷い結末を迎えるんだよ!」
「アイリス…?」
「あーあ、私だったらヒロインじゃなくてアイリスを選ぶのに……」
その時にカメリアの事も知った
そして、10年前の事故の時に前世の記憶を思い出した
前世、僕は車ごと崖から落ちて死んだ
その時に記憶が重なったのだ
本来であれば、僕が死ぬはずだった
だが、ストーリーは変わった
まるでバグのように
「お嬢様、これからどうするおつもりで?」
「僕が男だと気付かれないように近付く手段を探る。まずはそこから始めよう」
「分かりました」
そして、結婚生活一日目は終了した
表では仲睦まじく、裏では他人のように過ごす日々
1ヶ月間、何も出来なかった
しかし何もしなかった、と思われたのか段々と悪女と呼ばれなくなって来た
そんな時、第2王子アスフォデルが遠征から帰還した
長い髪をさらりとなびかせ、ハルジオンとは似て異なる美しい顔立ちをしている
魔法士が主に必要とする魔法石の鉱山を発見したのだ
「ただいま戻りました。兄上」
「おかえり、アズ。」
傍から見ても、仲の良さそうな兄弟だ
王位継承者争いもなく、信頼しあっている
「アイリス?顔色が優れないが…」
「…申し訳ありません。アスフォデル王子殿下は私と同じ歳ですので、弟を思い出してしまって……」
思い出したのは姉であるアイリスだ
が、それを正直に言うわけにはいかないだろう
「カメリアか、確かにそうだな」
「……王太子妃殿下。私は殿下の亡き弟君にはなれませんが、義弟ではありますので。何かあったら話だけでもお聞かせくださいね」
「ありがとう…ございます」
お辞儀をしたアスフォデルの長い髪から覗く黄金の瞳は、何故か睨みつけているようだった
僕は、この世界が乙女ゲームの世界だということを知っている
タイトルは何故か思い出せないが、内容はほとんど覚えていた
僕が転生したカメリアは、いわゆるモブの立場にある
悪役令嬢、アイリスは事故で双子の片割れを失い、その寂しさを埋めるように男を毎晩寝室に呼んでいた
そして、10年ぶりに再開したハルジオンに惚れ込んだアイリスは毎夜誘惑しようとする
実父に命じられた暗殺もせずに
しかし、王太子はある日突然現れた聖女に一目惚れをする
それがヒロイン
そこからはアイリスを忘れヒロインの元へ入り浸る
そして、アイリスは惚れ薬として渡された毒を王太子に盛ろうとし、ヒロインが暴き、死刑になる
前世の姉がプレイしていたゲームだ
僕も勧められてプレイした
姉は第1王子のルートに出てくる悪役令嬢が1番好きなキャラクターだったらしい
「この王子ホント馬鹿じゃねぇの!?」
「またそのゲームか。姉さんも程々にしなよ」
「あっ、聞いてよ~!このキャラクター、凄く可愛いのに酷い結末を迎えるんだよ!」
「アイリス…?」
「あーあ、私だったらヒロインじゃなくてアイリスを選ぶのに……」
その時にカメリアの事も知った
そして、10年前の事故の時に前世の記憶を思い出した
前世、僕は車ごと崖から落ちて死んだ
その時に記憶が重なったのだ
本来であれば、僕が死ぬはずだった
だが、ストーリーは変わった
まるでバグのように
「お嬢様、これからどうするおつもりで?」
「僕が男だと気付かれないように近付く手段を探る。まずはそこから始めよう」
「分かりました」
そして、結婚生活一日目は終了した
表では仲睦まじく、裏では他人のように過ごす日々
1ヶ月間、何も出来なかった
しかし何もしなかった、と思われたのか段々と悪女と呼ばれなくなって来た
そんな時、第2王子アスフォデルが遠征から帰還した
長い髪をさらりとなびかせ、ハルジオンとは似て異なる美しい顔立ちをしている
魔法士が主に必要とする魔法石の鉱山を発見したのだ
「ただいま戻りました。兄上」
「おかえり、アズ。」
傍から見ても、仲の良さそうな兄弟だ
王位継承者争いもなく、信頼しあっている
「アイリス?顔色が優れないが…」
「…申し訳ありません。アスフォデル王子殿下は私と同じ歳ですので、弟を思い出してしまって……」
思い出したのは姉であるアイリスだ
が、それを正直に言うわけにはいかないだろう
「カメリアか、確かにそうだな」
「……王太子妃殿下。私は殿下の亡き弟君にはなれませんが、義弟ではありますので。何かあったら話だけでもお聞かせくださいね」
「ありがとう…ございます」
お辞儀をしたアスフォデルの長い髪から覗く黄金の瞳は、何故か睨みつけているようだった
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