1 / 161
「私」の秘密を
1話 愛しい人との哀しい結婚
しおりを挟む
国中に響く鐘の音
民衆の大歓声
真っ白な美しいドレス
真っ白な精巧なベール
王国一番の男性
今日は結婚式
ラディクス王国第一王子
ハルジオン・フォー・ラディクス
深い青の髪と黄金の瞳
眉目秀麗
文武両道
次期国王の全てが完璧な人
公爵家の長女
アイリス・リー・プラント
紅の髪と鮮緑の瞳
僅か16とは思えない程に大人びている
“悪女”と呼ばれている
そんな2人は、正式な夫婦となった
幼い頃からの許嫁だった2人は、表向きは仲睦まじい夫婦だ
しかし本当は、2人の間に愛など無かった
王子は、“悪女”と呼ばれている女と結婚したのだ
次期国王が何故そのような人を愛せるだろうか
ただ、王太子妃はそれでも王子を愛していた
何年も思い続けていた
愛されたいとは思わなかった
愛してもらえるわけが無いと思っていた
何故なら…………
「では、人前では頼んだぞ。アイリス」
「分かってます。王太子殿下」
結婚式が終わり、本来であれば初夜となり2人は正式な夫婦になる
けれど、私達は普通の夫婦じゃない
それぞれの部屋に戻った
広い部屋は1人にはとても辛い
僕の元にいるのは、1人の侍女のみ
実父のプラント公爵が選んだ侍女、ジル
今、王宮内で僕の秘密を知っているのは彼女だけだ
別室も、夫婦の役割を果たす事も無いのは
姉の身代わりの僕にとって都合がいい
10年前の馬車の転落事故
そこで僕の双子の姉、アイリスは行方不明となった
既に王太子殿下の許嫁となっていた姉が行方不明となり、奇跡的に生き残っていた僕がアイリスになった
そして、事故により僕は…カメリアは死んだ
10年間で、淑女の振る舞いを学んだ
そして、体格を隠す為に常に煌びやかなドレスを着ていた
どうしても出てしまう男の大胆な仕草と若干低い艶やかな声、それに加えて常に煌びやかなドレスを纏っていた事
そして、何度も変わる護衛騎士から
“男好き”と言う噂が広がってしまう
そこから“悪女”と呼ばれるようになるのは簡単だった
夜、物音に目が覚めると周りには今までの護衛騎士達が死んでいた
悪夢の様な光景だった
何も分からなかった
僕は何もしていなかった
それでも周りはこう言った
「侍らせていた男達を色香にかけて虐殺した」
と
それが僅か結婚の1か月前
「お嬢様、いいのですか?別室をすんなりと受け入れてしまって」
グレーの髪と瞳のジルは、表情を変えずに聞いた
彼女の表情が変わったところは一度も見ていない
少し不気味な彼女が僕は苦手だ
「これでいい。まだ下手に動けないからね」
この婚姻には意図があった
まず、プラント公爵がアイリスを通して内密に賄賂を受け取ること
そして、王子の中でも腕の立つハルジオンの暗殺
反王室派により計画された、ラディクスの血を絶やす為の謀反
既に、第2王子達にも手回しされている
現在、王室で残っている王子は3人
10代前半にして、獣並の五感と武術を身につけている第4王子
フリージア・フォー・ラディクス
並外れた魔力を持って生まれ、魔法士の資格を持つ第2王子
アスフォデル・フォー・ラディクス
そして、努力で駆け上がった第1王子
ハルジオン・フォー・ラディクス
彼は天才と言われているが、裏の努力は余りにも大きい
だが、それを知っているのは彼の師匠と
制作社とプレイヤーだけだ
民衆の大歓声
真っ白な美しいドレス
真っ白な精巧なベール
王国一番の男性
今日は結婚式
ラディクス王国第一王子
ハルジオン・フォー・ラディクス
深い青の髪と黄金の瞳
眉目秀麗
文武両道
次期国王の全てが完璧な人
公爵家の長女
アイリス・リー・プラント
紅の髪と鮮緑の瞳
僅か16とは思えない程に大人びている
“悪女”と呼ばれている
そんな2人は、正式な夫婦となった
幼い頃からの許嫁だった2人は、表向きは仲睦まじい夫婦だ
しかし本当は、2人の間に愛など無かった
王子は、“悪女”と呼ばれている女と結婚したのだ
次期国王が何故そのような人を愛せるだろうか
ただ、王太子妃はそれでも王子を愛していた
何年も思い続けていた
愛されたいとは思わなかった
愛してもらえるわけが無いと思っていた
何故なら…………
「では、人前では頼んだぞ。アイリス」
「分かってます。王太子殿下」
結婚式が終わり、本来であれば初夜となり2人は正式な夫婦になる
けれど、私達は普通の夫婦じゃない
それぞれの部屋に戻った
広い部屋は1人にはとても辛い
僕の元にいるのは、1人の侍女のみ
実父のプラント公爵が選んだ侍女、ジル
今、王宮内で僕の秘密を知っているのは彼女だけだ
別室も、夫婦の役割を果たす事も無いのは
姉の身代わりの僕にとって都合がいい
10年前の馬車の転落事故
そこで僕の双子の姉、アイリスは行方不明となった
既に王太子殿下の許嫁となっていた姉が行方不明となり、奇跡的に生き残っていた僕がアイリスになった
そして、事故により僕は…カメリアは死んだ
10年間で、淑女の振る舞いを学んだ
そして、体格を隠す為に常に煌びやかなドレスを着ていた
どうしても出てしまう男の大胆な仕草と若干低い艶やかな声、それに加えて常に煌びやかなドレスを纏っていた事
そして、何度も変わる護衛騎士から
“男好き”と言う噂が広がってしまう
そこから“悪女”と呼ばれるようになるのは簡単だった
夜、物音に目が覚めると周りには今までの護衛騎士達が死んでいた
悪夢の様な光景だった
何も分からなかった
僕は何もしていなかった
それでも周りはこう言った
「侍らせていた男達を色香にかけて虐殺した」
と
それが僅か結婚の1か月前
「お嬢様、いいのですか?別室をすんなりと受け入れてしまって」
グレーの髪と瞳のジルは、表情を変えずに聞いた
彼女の表情が変わったところは一度も見ていない
少し不気味な彼女が僕は苦手だ
「これでいい。まだ下手に動けないからね」
この婚姻には意図があった
まず、プラント公爵がアイリスを通して内密に賄賂を受け取ること
そして、王子の中でも腕の立つハルジオンの暗殺
反王室派により計画された、ラディクスの血を絶やす為の謀反
既に、第2王子達にも手回しされている
現在、王室で残っている王子は3人
10代前半にして、獣並の五感と武術を身につけている第4王子
フリージア・フォー・ラディクス
並外れた魔力を持って生まれ、魔法士の資格を持つ第2王子
アスフォデル・フォー・ラディクス
そして、努力で駆け上がった第1王子
ハルジオン・フォー・ラディクス
彼は天才と言われているが、裏の努力は余りにも大きい
だが、それを知っているのは彼の師匠と
制作社とプレイヤーだけだ
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
293
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる