【完】『優等生』な援交男子の背中に隠された異常性癖

輝石玲

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1.初回

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 そこそこ安いホテルの一室。ベルトを外す金属音が静かに響く。

「んっ……あんた、喫煙者か?クソ不味い。」
「なんだ、文句あんのか?」
「ある。」

 たった一回でキスをやめて作業的に客のズボンを脱がす大学生、理央リオ。黒髪で清楚な見た目でありながら、日常的に援助交際をしている。
 イラつきながらリオを見ているのは、ブリーチした茶髪に沢山のピアスで不良のように見える成人男性の拓也タクヤ


 リオはモタモタとタクヤのものに口付けた。ただ、勃ちはしたもののそれから何も反応が無い。口が小さいリオは、歯を立てないかと心配で慎重すぎる。だからちまちまとしか出来ないのだ。
 一向に進展のない状況に焦るリオは、段々と冷静さを欠いて雑さが目立ち始めてしまった。

「おい、下手くそ。こっちは金払ってんだ。ちゃんとやれ。」
「…分かってる……。」
「ちゃんとって分かるか?おら、こうすんだよ。」
「っ!?」

 タクヤはリオの頭を掴み、無理矢理口をこじ開けて喉まで突っ込んだ。そのまま何度も喉の奥に出し入れされたリオは、上手く呼吸出来なくなっていた。

(いき……くる、しっ………吐きそ…………)

 数分経ち、タクヤはそのまま喉の奥に射精した。息がロクに出来ないままそれを飲むしか無かったリオはなんとか飲み込もうとしたが、口が解放されると同時に飲んだもの以上に吐き出した。

「げほっごほっ!ゔっ………」
「あー…流石にやり過ぎか?ったく、よくこれで今まで客が取れてたな。」
「……けほっ、はぁ………。全員、一回でやめてる。」
「だろうな、こんなのに金出そうとする物好きでもいない限りリピート客は来ないだろうな。」

 リオは援交する時に複数の条件があった。本番NG、裸NG、本名は教えない(偽名はリョウ)、個人情報は教えない、閉鎖空間でのみ……と、個人を特定できるようなものは全てNGになっている。

「それにしたってお前、はなんだ?」
「………あんたに関係無い。」
「はっ、まさかお前…ゲロるようなイラマされて興奮したのかよ。」

 吐いて座り込んでいるリオの股間が膨張していた。タクヤは見下して嘲笑っているが、リオは無表情でタクヤを睨んでいる。

「興奮じゃない。欲求不満の時に窒息したせいだろ。」
「あーそうかよ。……でもまぁいいか。リョウ、こっちに来い。」
「は?なんで……ぅわっ!」

 突然腕を引っ張られてベットに上げられた。嫌な予感がしたリオは、すぐに腕を振り払ってトイレに逃げ込んだ。鍵を閉め、何とか難を逃れたと思った矢先、鍵をかけたはずのドアは簡単に開いた。

「ここ、設備が古いから鍵とか意味ねぇんだよ。」
「は……?…っに、何、する気だよ。」
「ただお前の性処理を手伝ってやろうとしてるだけだ。善意だよ善意。」

 逃げ道を断たれたリオは便座に座らされ、片手で両手を掴まれたまま反応してるソレを露わにされた。NGの中に含まれていないとは言え、リオは初めて他人に触れられた感覚に怯えている。

「ひっ、や…っめろ……!あっ……!」
「なんだ、コレされるのも初めてか?生意気なくせに随分と初だな。」
「あっ…そこっ、やだぁ………っ!」

 とっくに抑えられてた両手は解放されていても、力無く目の前にいるタクヤの服を掴むことしか出来ない。段々と迫り来る絶頂感に何とか抵抗しようとしても、足をバタつかせる程度だ。

「もぅダメっ…!いく、イっちゃ………っ!」
「あぁイけ。」
「いっ、やだっ、ヤダヤダっ、やっ、ぁッ………っ!」

 抵抗に一切の意味無く、リオはタクヤの手でイカされた。つま先までビクビクと痙攣し放心状態のリオは、何も考えられずにただ余韻に浸っていた。

「なんだ、いい顔出来るじゃねぇか。」
「……?」
「はっ……面白い。またお前のこと買ってやる。」




 吐いたものを片付けて、金銭の受け渡しが完了した。

「そんじゃ、またどっかの時間でな。」
「あんた、こんなのに金出すとか物好きか?」
「てめぇ……、何も知らないなら教え込んだ方が面白そうだと思っただけだ。それと、さっきから『あんた』『あんた』と…年上を敬え!」

 リオはあからさまに嫌そうな顔をして、呆れたようにため息を吐いた。いつも一度しか会わない客の名前を覚えることすら面倒だと思っていたリオは、その必要性を感じていない。

「…名前は面倒だからリピにしか呼ばない。」
「だからそうしてやるっての。いつでも来れるように時間空けとけよ。」

 そう言ってタクヤは帰り際にキスをした。ムードも何も無い、お互いに不味いだけのキスを。
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