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第二章
35.最凶常識人と最強ヒロインと最恐策士1
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正座したレオナルドの足の感覚がなくなってから、既に3時間は経過しているように感じた。だが、実際は2時間もたってはいない。
延々と続く王太子アルフレードの説教を聞きながら、レオナルド・ ベルトランド・デル・オルシーニは、ただひたすら、この拷問のような時間が終わる事を望んでいた。多分それはリカルドも同様だろう。
無論、二人とも顔だけは神妙に、いかにも反省していますという表情を作る事を忘れてはいなかった。
◇◆◇
その日。朝の訓練を終えたレオナルドとリカルドは、近衛隊長のフィオリ伯爵から呼び止められた。
「リカルド、レオナルド。身支度を整えたら王太子殿下の執務室に行くように」
その言葉の持つ意味に、二人は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
「……マジか。やっぱり王太子殿下が出てきたじゃないか。適当な事抜かしやがって、あの女王様め」
リカルドは呻くような声を上げ、髪をかきむしる。
「まあ、こうなる可能性は十分にあったよな。想定内だ」
レオナルドは諦めたように、両肩を落とした。
「お、何だお前たち。何やらかしたんだ?」
「殿下のお説教コースか? 胃薬を用意しておいてやるよ」
「ご愁傷さま。なんでか知らないが、数日前から殿下のご機嫌は最悪だからな。覚悟しとけよ」
近くで話を聞いていたアルフレード付きの護衛達が、上半身裸で流れる汗を拭きながら、おもしろおかしく声をかけてくる。
この先に起こる事を予想してレオナルドは、早々に逃げ出したくなっていた。
泣き喚きそうなリカルドと、顔から表情が抜け落ちたレオナルドを見て、フィオリ伯爵は小さく咳払いをした。
「本当は私も一緒に行ったほうが良いのだろうが、これから騎士団内での予算会議があってな。王太子殿下には申し訳ないと伝えておいてくれ」
ぽんと二人の肩を叩くフィオリ伯爵に、リカルドが情けない声を出す。
「ええ、一緒に行ってくれないんですか、隊長。予算会議なんて、いつも副隊長に任せてるくせに!!」
「行くか!! それに近寄るなリカルド!!汗臭い!! 昨日お前らのとばっちりで、俺の胃がぎゅーぎゅーに絞られたボロ雑巾みたいになったんだぞ。二度とごめんだ。勝手に行って叱られてこい」
「なんでですか。俺たち別に職務規定に違反とかしてないんだから、庇ってくれてもいいじゃないですか…」
「嫌だ。俺は俺の身が可愛いんだ。戦場では自分が生き残ることが大前提だ。部下もろともに死ぬような作戦は、避けねばならん」
縋りつこうとするリカルドの頭を押しのけ、フィオリ伯爵は正々堂々逃げる道を選んだ。
「いや、ここ王宮ですから」
思わず淡々と突っ込んでしまうレオナルドの背中を、フィオリ伯爵がバンと勢いよく叩く。
「骨は拾ってやる。もしも、エリアス殿下かラローヴェル候爵か、そうだな王弟殿下を見かけたら、助けだして貰えるように話だけはしてみてやるよ」
笑いながら去っていくフィオリ伯爵の背中を静かに見送るレオナルドの隣では、リカルドが悲鳴を上げていた。
伯爵の残した『王弟殿下』という言葉に、一瞬何かが引っかかったが、それを考える前に、汗だくのリカルドに抱きつかれて、レオナルドの思考は霧散した。
フィオリ伯爵に言われるがままに、レオナルドがリカルドとともに王太子執務室に足を踏み入れると、キラキラとした眩しいほどの笑顔の王太子に迎え入れられた。
ほんの一瞬だけ、もしかするとそう酷い目には合わないかもしれないと期待する。
しかし、それまで王太子の執務室の中で一緒に仕事をしていた秘書官が、早々に隣室に設けられた秘書室に逃げ戻ったことで、レオナルドはすべての期待を捨てた。
延々と続く王太子アルフレードの説教を聞きながら、レオナルド・ ベルトランド・デル・オルシーニは、ただひたすら、この拷問のような時間が終わる事を望んでいた。多分それはリカルドも同様だろう。
無論、二人とも顔だけは神妙に、いかにも反省していますという表情を作る事を忘れてはいなかった。
◇◆◇
その日。朝の訓練を終えたレオナルドとリカルドは、近衛隊長のフィオリ伯爵から呼び止められた。
「リカルド、レオナルド。身支度を整えたら王太子殿下の執務室に行くように」
その言葉の持つ意味に、二人は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
「……マジか。やっぱり王太子殿下が出てきたじゃないか。適当な事抜かしやがって、あの女王様め」
リカルドは呻くような声を上げ、髪をかきむしる。
「まあ、こうなる可能性は十分にあったよな。想定内だ」
レオナルドは諦めたように、両肩を落とした。
「お、何だお前たち。何やらかしたんだ?」
「殿下のお説教コースか? 胃薬を用意しておいてやるよ」
「ご愁傷さま。なんでか知らないが、数日前から殿下のご機嫌は最悪だからな。覚悟しとけよ」
近くで話を聞いていたアルフレード付きの護衛達が、上半身裸で流れる汗を拭きながら、おもしろおかしく声をかけてくる。
この先に起こる事を予想してレオナルドは、早々に逃げ出したくなっていた。
泣き喚きそうなリカルドと、顔から表情が抜け落ちたレオナルドを見て、フィオリ伯爵は小さく咳払いをした。
「本当は私も一緒に行ったほうが良いのだろうが、これから騎士団内での予算会議があってな。王太子殿下には申し訳ないと伝えておいてくれ」
ぽんと二人の肩を叩くフィオリ伯爵に、リカルドが情けない声を出す。
「ええ、一緒に行ってくれないんですか、隊長。予算会議なんて、いつも副隊長に任せてるくせに!!」
「行くか!! それに近寄るなリカルド!!汗臭い!! 昨日お前らのとばっちりで、俺の胃がぎゅーぎゅーに絞られたボロ雑巾みたいになったんだぞ。二度とごめんだ。勝手に行って叱られてこい」
「なんでですか。俺たち別に職務規定に違反とかしてないんだから、庇ってくれてもいいじゃないですか…」
「嫌だ。俺は俺の身が可愛いんだ。戦場では自分が生き残ることが大前提だ。部下もろともに死ぬような作戦は、避けねばならん」
縋りつこうとするリカルドの頭を押しのけ、フィオリ伯爵は正々堂々逃げる道を選んだ。
「いや、ここ王宮ですから」
思わず淡々と突っ込んでしまうレオナルドの背中を、フィオリ伯爵がバンと勢いよく叩く。
「骨は拾ってやる。もしも、エリアス殿下かラローヴェル候爵か、そうだな王弟殿下を見かけたら、助けだして貰えるように話だけはしてみてやるよ」
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ほんの一瞬だけ、もしかするとそう酷い目には合わないかもしれないと期待する。
しかし、それまで王太子の執務室の中で一緒に仕事をしていた秘書官が、早々に隣室に設けられた秘書室に逃げ戻ったことで、レオナルドはすべての期待を捨てた。
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