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第二章
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ルイスの下で体を押さえつけられたまま、アリシティアはルイスを睨んだ。
「離して、もう良いでしょ? 聞かれた事には答えたもの」
「まだ。パトリア語を話せる理由は?」
「ベアトリーチェに習ったからよ」
考える事なく咄嗟に嘘をつくが、ルイスは納得したのか、キスマークが増えることはなかった。
そもそも、パトリア語は前世の言語で言う所の英語だ。異世界から来た勇者の使っていた言語で、勇者に関連する書物や経典の類は、全てこのパトリア語で残されている。
その中でも特に有名なのは、勇者が女神に捧げた詩だが、アリシティアはそれを聞いた瞬間、
「旧約聖書の詩篇じゃない!」
と、思わず突っ込んでしまった。
ただ、そのパトリア語は正しく伝わってはいないので、あちこちおかしな所がある。
何故勇者しか話せない言葉を使おうと思ったのか、アリシティアには不思議でならない。一時期の日本人が「歌のサビの部分に英語を混ぜるとカッコイイよね」……みたいな、適当な理由かもしれない。
すくなくとも、前世の記憶の中にある国バチカンの公用語が、既に使われていないラテン語であるような高尚な理由ではないはずだ。
「もう良いでしょう?どいて?」
「それは無理」
「何で?」
「だってね、ついさっき君にあんなにあっけなくいかされたせいで、僕の矜持が粉々になったの。やり返さなきゃ気が済まないかなって」
まるで世間話でもするような口調で、ふざけた返事が返ってきた。
何を言っているんだこの男は…と、アリシティアが睨む。その視線の先でルイスが甘すぎる微笑を浮かべて、足の間に下半身の硬い物を押し付けてきた。
下着の薄い布一枚を挟んで、押し入ってくる感覚に思わず背筋が震えた。
「やだ、やだやだっ!! あなたの下半身のプライドなんて、私知らない!!」
「アリス、アーリース。シィ───ッ。声が大きいよ?人が来ちゃうよ?大人しくして」
「絶対いや!!自分の部屋のソファーの上でそんな事したくない!!」
「散々僕にあんな事しておいて?ベッドならいいの?」
「良いわけないでしょ? みんなにバレちゃうじゃない。私の勝ちなんだから、潔く負けを認めて大人しく帰って!!」
「……ああ、君的に勝負だったんだ。だからあんな事…。本当に理解できないのだけど、いつから勝ち負けの勝負になったの?」
アリシティアの言葉にルイスは呆れたように苦笑した。
「ここまで散々煽りまくっておいて、ほんと酷いよね? アリスが嫌って言っても絶対にするから」
ルイスは断言したものの、アリシティアから腕を外して体を起こした。
ようやく解放されたと安心しかけたのも一瞬で、いきなり浮遊感に包まれる。
「なんなの?!」
混乱するアリシティアを抱き上げたルイスは、アリシティアを奥の寝室のベッドへと運びこむ。そしてベッドに放り出されるように転がされた。
「さっき言ったよね? 今度は僕の番だって」
脳が揺れるような甘ったるい声で囁いて、アリシティアの最悪の婚約者は、人を惑わせる色香をふくんだ、あざとエロ可愛いドSの淫魔モードで妖艶に微笑んだ。
淫魔の微笑みに惑わされて、呆然となるが、必死に正気を奮い立たせる。
「…お願い。これ以上はやめてください。家人に知られてしまいます」
とりあえずこれ以上煽らないように、話し方を普段通りにもどして、涙目で、弱々しく懇願してみる。
既に散々しているとはいえ、アリシティアは嫁入り前の娘で、相手が婚約者とはいえ、自分の家の使用人に情事についてなど知られたくはなかった。
前世庶民のアリシティアにとって、自分のセックス事情が使用人に筒抜けになるのは、絶対に嫌だ。何よりメイドに事後のベッドメイクをしてもらうなど、恥ずかしすぎて軽く死ねる。
けれどルイスは、そんなアリシティアを気にも止めず「やだ」と小さく首を振った。
「アリスが悪いんだよ? 僕を散々煽った上に、あんな酷い事をするから」
「そ……それって、こっちの台詞よね? 私の方が、今まで散々な目にあった記憶しかないんですけど」
「うん。ごめんね。でも大人しく僕に抱かれて?」
レースでできたインナードレス の裾から手が忍び込んできた。アリシティアはルイスの手が足を這い上がって来るのを感じて、強く足を閉じようとした。
「だめ…、ほんとにだめ。やめて」
「何がダメなの?」
ルイスの手の動きの邪魔をするアリシティアを咎めるような口調でルイスが問う。
「だって…だって私、今日すごく動いて汗をかいたし、絶対汚い…」
ルイスは目を細め、必死に訴えるアリシティアの唇に、掠めるようなキスを落とした。
「じゃあ、後で一緒にシャワーを浴びようよ」
「絶対嫌。それに後からじゃ、全く意味ないし!」
「だって、どうせ汗を掻くんだよ? なら後でも良いじゃない」
「それ違う ……あっ!」
不意に腕を引かれて抱き起されたかと思えば、あまりにも手際良くインナードレスを脱がされて、下着も剥ぎ取られる。体に残っているのはガータベルトと絹のストッキングだけで、倒錯的にも思える自分のいまの状況を自覚したアリシティアは、小さく、だが悲鳴のような声を漏らした。
半泣きのアリシティアを見て、先程の屈辱が幾分晴れたのか、ルイスがクスクスと笑った。
「楽しいですか?」
「すごく」
涙目で睨みつけるアリシティアを見て、甘い笑みを浮かべたドSで最悪の婚約者は、彼女の言葉を肯定した。
「離して、もう良いでしょ? 聞かれた事には答えたもの」
「まだ。パトリア語を話せる理由は?」
「ベアトリーチェに習ったからよ」
考える事なく咄嗟に嘘をつくが、ルイスは納得したのか、キスマークが増えることはなかった。
そもそも、パトリア語は前世の言語で言う所の英語だ。異世界から来た勇者の使っていた言語で、勇者に関連する書物や経典の類は、全てこのパトリア語で残されている。
その中でも特に有名なのは、勇者が女神に捧げた詩だが、アリシティアはそれを聞いた瞬間、
「旧約聖書の詩篇じゃない!」
と、思わず突っ込んでしまった。
ただ、そのパトリア語は正しく伝わってはいないので、あちこちおかしな所がある。
何故勇者しか話せない言葉を使おうと思ったのか、アリシティアには不思議でならない。一時期の日本人が「歌のサビの部分に英語を混ぜるとカッコイイよね」……みたいな、適当な理由かもしれない。
すくなくとも、前世の記憶の中にある国バチカンの公用語が、既に使われていないラテン語であるような高尚な理由ではないはずだ。
「もう良いでしょう?どいて?」
「それは無理」
「何で?」
「だってね、ついさっき君にあんなにあっけなくいかされたせいで、僕の矜持が粉々になったの。やり返さなきゃ気が済まないかなって」
まるで世間話でもするような口調で、ふざけた返事が返ってきた。
何を言っているんだこの男は…と、アリシティアが睨む。その視線の先でルイスが甘すぎる微笑を浮かべて、足の間に下半身の硬い物を押し付けてきた。
下着の薄い布一枚を挟んで、押し入ってくる感覚に思わず背筋が震えた。
「やだ、やだやだっ!! あなたの下半身のプライドなんて、私知らない!!」
「アリス、アーリース。シィ───ッ。声が大きいよ?人が来ちゃうよ?大人しくして」
「絶対いや!!自分の部屋のソファーの上でそんな事したくない!!」
「散々僕にあんな事しておいて?ベッドならいいの?」
「良いわけないでしょ? みんなにバレちゃうじゃない。私の勝ちなんだから、潔く負けを認めて大人しく帰って!!」
「……ああ、君的に勝負だったんだ。だからあんな事…。本当に理解できないのだけど、いつから勝ち負けの勝負になったの?」
アリシティアの言葉にルイスは呆れたように苦笑した。
「ここまで散々煽りまくっておいて、ほんと酷いよね? アリスが嫌って言っても絶対にするから」
ルイスは断言したものの、アリシティアから腕を外して体を起こした。
ようやく解放されたと安心しかけたのも一瞬で、いきなり浮遊感に包まれる。
「なんなの?!」
混乱するアリシティアを抱き上げたルイスは、アリシティアを奥の寝室のベッドへと運びこむ。そしてベッドに放り出されるように転がされた。
「さっき言ったよね? 今度は僕の番だって」
脳が揺れるような甘ったるい声で囁いて、アリシティアの最悪の婚約者は、人を惑わせる色香をふくんだ、あざとエロ可愛いドSの淫魔モードで妖艶に微笑んだ。
淫魔の微笑みに惑わされて、呆然となるが、必死に正気を奮い立たせる。
「…お願い。これ以上はやめてください。家人に知られてしまいます」
とりあえずこれ以上煽らないように、話し方を普段通りにもどして、涙目で、弱々しく懇願してみる。
既に散々しているとはいえ、アリシティアは嫁入り前の娘で、相手が婚約者とはいえ、自分の家の使用人に情事についてなど知られたくはなかった。
前世庶民のアリシティアにとって、自分のセックス事情が使用人に筒抜けになるのは、絶対に嫌だ。何よりメイドに事後のベッドメイクをしてもらうなど、恥ずかしすぎて軽く死ねる。
けれどルイスは、そんなアリシティアを気にも止めず「やだ」と小さく首を振った。
「アリスが悪いんだよ? 僕を散々煽った上に、あんな酷い事をするから」
「そ……それって、こっちの台詞よね? 私の方が、今まで散々な目にあった記憶しかないんですけど」
「うん。ごめんね。でも大人しく僕に抱かれて?」
レースでできたインナードレス の裾から手が忍び込んできた。アリシティアはルイスの手が足を這い上がって来るのを感じて、強く足を閉じようとした。
「だめ…、ほんとにだめ。やめて」
「何がダメなの?」
ルイスの手の動きの邪魔をするアリシティアを咎めるような口調でルイスが問う。
「だって…だって私、今日すごく動いて汗をかいたし、絶対汚い…」
ルイスは目を細め、必死に訴えるアリシティアの唇に、掠めるようなキスを落とした。
「じゃあ、後で一緒にシャワーを浴びようよ」
「絶対嫌。それに後からじゃ、全く意味ないし!」
「だって、どうせ汗を掻くんだよ? なら後でも良いじゃない」
「それ違う ……あっ!」
不意に腕を引かれて抱き起されたかと思えば、あまりにも手際良くインナードレスを脱がされて、下着も剥ぎ取られる。体に残っているのはガータベルトと絹のストッキングだけで、倒錯的にも思える自分のいまの状況を自覚したアリシティアは、小さく、だが悲鳴のような声を漏らした。
半泣きのアリシティアを見て、先程の屈辱が幾分晴れたのか、ルイスがクスクスと笑った。
「楽しいですか?」
「すごく」
涙目で睨みつけるアリシティアを見て、甘い笑みを浮かべたドSで最悪の婚約者は、彼女の言葉を肯定した。
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