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戦う決意

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 転移魔法でエルドラの子種をお腹に送られ、その子をお腹で育てて出産。
回復魔法で体を出産前の状態に戻され、また子種を転移させられる。
子供が私のお腹で無事に育ったら出産。この繰り返した。

 子種を移す転移魔法はそれほど苦しくないものの、妊娠時の体調不良や
出産時の苦しみは、日本と何も変わらない。産みの苦しみだけ
が続くのだ。体が引き裂かれそうな陣痛の苦しみを延々と。

 それはもはや、地獄だった。

 陣痛に苦しみながら、私はひとり泣き叫ぶ。


「お願い、誰か、だれか助けて……。この世界から私を救ってぇ!
家族のところに帰りたいの……」

「聖母様、頑張って! お腹の子も頑張ってますよ!」


 助けを呼ぶ声も、神官たちの応援の声によって、かき消されていく。

 ダメだ、だれも助けてくれない。私はひとりだ……。

 出産に疲れ果て、私はゆっくりと意識を失った。


 そうして私は、24人の赤ん坊を代理出産した。いや、させられた。

しかし24度目の出産で異変がおきた。私の体は回復魔法を何度をかけても、
元の状態に戻らなかったのだ。がたがたと体が震え、意識は朦朧となる。

 家族に会えぬまま、私は死ぬの? あんまりだ。
 朦朧とする意識の中で、王や神官たちが話す声が聞こえる。

「このまま死なれたら、子どもを産む女がいなくなるじゃないか。
神官たち、なんとかしろ!」
「しかし王様、いかに魔法とはいえ、何度も繰り返せば魔法そのものが
効かなくなることもございます」
「異世界転移に失敗して、異界の女たちを何度死なせたと思ってる?
召喚に成功した者は、この女だけだ。なんとか回復させて、死ぬ間際まで
子どもを産ませ続けるのだ」
「仰せのままに、王様」


 こいつらは私を、女を、なんだと思っているの?
私は子どもを産む道具ではない。異世界召喚に失敗して死んだ女性たちだって、
彼らに勝手に殺される理由などないし、その権利もない。

 彼らは女を、そして異世界の人間である私たちを、利用しているのだ。
なにが『聖母様』だ。


 許せない。
こいつらを、エルドラの男たちを絶対に許すことはできない。
 闘ってやる。戦わなければ、私は生きて家族の元に帰ることはできない。


 私は秘かに、闘う決意を固めるのだった。
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