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第三章
あなたを守りたい③
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「美冬さん……」
美冬の言葉に、抑えていた欲情が再び刺激される。草太は目を瞑った。
(ダメだ、もう。抑えられない)
草太は美冬の肩を掴むと、そのまま強引に抱き寄せた。美冬の髪の香りが草太の火照りを呼び覚ます。
「私、草太くんが好き。大好き。だからお願い」
美冬はそれ以上言葉を発せず、代わりに顔を少し上げ、そっと目を瞑った。 それが合図だった。草太もまた美冬が愛しくてたまらなかった。美冬の背中に手を回し、少しだけ体を上に傾けさせると、もう片方の手で美冬の頬に触れる。なめらかで暖かな肌だった。
「美冬さん、キスしますね」
美冬は目を瞑ったまま、小さく頷いた。草太はゆっくりを顔を近づけていく。桃色の唇にふれようとした、その瞬間。
「や、やっぱり、無理っ!」
その言葉と同時に、美冬の首がしゅるしゅると伸びていく。
「美冬さん!?」
草太の腕の中に美冬の顔はなかった。長くて白い首だけが残っている。伸びた首の先に美冬の顔があり、草太を見下ろしていた。
「ごめんね、やっぱり無理かもぉ。草太くん、素敵すぎるもの」
素敵と言われて嬉しかった。しかし直前でおあずけをくらった草太の気持ちはどうなるのか。美冬にキスしたいという気持ちはもう抑えられないというのに。白くてなめらかな首は、うねうねとうねり、草太の火照りをさらに刺激する。
「美冬さん、顔を下ろしてくれないと、ここにキスしますよ?」
草太は美冬の首に、そっとキスをした。想像以上に柔らかな首だった。
「きゃうぅ!?」
美冬の小さな悲鳴が頭上から聞こえた。その声がまた可愛らしい。草太はもう一度、首にキスをした。
「んっ、やぁ。くすぐったいわ」
悶える美冬が、たまらなく可愛い。どうやら美冬の首はかなり敏感らしい。わずかにある草太の嗜虐性が刺激される。
「顔を下ろしてくれないと、首にもっとキスしますよ?」
草太は顔をあげ、美冬に向かってにやりと笑った。抱いている美冬の体が、さらに熱を増すのを感じる。草太はもう一度、美冬の首にキスをしようと顔を近づけていく。
「わ、わかったわ。首を元に戻す。だからもう止めて。首は弱いの」
「わかりました」
しゅるしゅると首は戻っていき、美冬は元の美しい姿になった。
「草太くんがこんなにも意地悪だなんて、知らなかったわ」
「一応、僕も男ですからね。好きな子はちょっとだけ意地悪したいんですよ」
草太はわざと意地悪そうに笑った。美冬の顔が真っ赤に染まる。
「今度こそキスしますよ? 首じゃなくて唇に」
美冬がこくんと頷いた。その様子を確認した草太は、「今度こそ」と思いながら、ゆっくりと顔を近づけていく。柔らかな唇にそっとキスをした。軽く触れただけの、おままごとのようなキスだったが、二人にとってはそれで十分だった。
草太は強く、美冬を抱き締めた。美冬も草太の背中に手を回し、草太の抱擁を受け入れる。もう一度キスをした。今度はもう少しだけ、長く。月光が流れる雲によって遮られ、二人の姿を優しく隠してくれる。静かに目を開けると、美冬の美しい顔が寄り添っていた。二人はそのまま笑った。じゃれ合うようなファーストキスだった。それでもたまらなく幸せだった。
「美冬さん、好きです。あなたを大切にします」
「私もよ。あなたが好き」
草太と美冬。二人の新しい関係は、ここから始まるのだ。
「美冬さん、今度こそ家まで送っていきます」
「もう少し一緒にいたいわ」
「ダメです。これ以上一緒にいたら、美冬さんのこと頭から食べちゃいますよ。ガリガリって」
「やだ、怖い」
狼の真似事をする草太に、ふふふと楽しそうに笑う美冬だが、半分は本当のことだった。
(これ以上一緒にいたら、自分を抑えられる自信ないよ。美冬さん、マジで可愛すぎるもん)
草太の精一杯の自制心だった。美冬を大切にすると誓った以上、いきなり襲いたくはない。キスしようとしただけで、首が伸びてろくろ首状態になってしまった美冬だ。さらに関係を進展させようとしたら、首が戻らなくなってしまうかもしれない。想像以上に美冬は怖がりで、世間知らずな一面がある。だからこそ焦らずゆっくり関係を深めていきたい。
(本当は今夜一緒に過ごしたいところだけどね)
なにより気がかりなのは美冬の父、宗次郎だ。交際の許可が出てないのに、いきなり一晩を共に過ごしてしまったら。娘を溺愛する宗次郎がどうでてくるのか、想像するだけで恐ろしい。
(でも美冬さんと共に生きていくつもりなら、社長ともうまく付き合っていけるようにならないと)
社長であり美冬の父である宗次郎が、最初の難関だろう。なんとか交際を許してもらわなくては、美冬との関係は進められない。
(今までの僕なら、社長みたいなタイプは真っ先に避けてただろうな)
末っ子で甘ったれ気質のある草太にとって、宗次郎は天敵のような存在だ。それでも立ち向かっていこうとする理由は、ひとつしかない。草太は自分の傍らに立つ美冬を見た。草太の横で、満ち足りた顔で微笑んでいる。
(この人を守りたい。美冬さんには笑顔でいてほしい)
そのためには、どんな難関でも頑張って突破してやる。
草太は彼なりに覚悟を決めていた。それは草太の男としての意地でもあった。
「草太くん、大好き」
美冬が体を寄せてきた。体を沿わせるようにぴったりと。豊かな胸が草太の脇に当たり、彼女のスタイルの良さが伝わってくる。抑え込んだ草太の欲望が容赦なく刺激される。
「つ……美冬さん、ダメですよ。帰りますよ」
「わかってる。でもあと少しだけ」
美冬はさらに体を密着させてくる。美冬の香水の香りが、草太の鼻孔をくすぐる。この行為が男をどれだけ刺激する行為か、世間知らずな美冬はわかっていないのだ。
(僕、どこまで我慢できるかなぁ?)
覚悟を決めたはずの草太だったが、無邪気な美冬に翻弄されるところは変わらないのであった。
美冬の言葉に、抑えていた欲情が再び刺激される。草太は目を瞑った。
(ダメだ、もう。抑えられない)
草太は美冬の肩を掴むと、そのまま強引に抱き寄せた。美冬の髪の香りが草太の火照りを呼び覚ます。
「私、草太くんが好き。大好き。だからお願い」
美冬はそれ以上言葉を発せず、代わりに顔を少し上げ、そっと目を瞑った。 それが合図だった。草太もまた美冬が愛しくてたまらなかった。美冬の背中に手を回し、少しだけ体を上に傾けさせると、もう片方の手で美冬の頬に触れる。なめらかで暖かな肌だった。
「美冬さん、キスしますね」
美冬は目を瞑ったまま、小さく頷いた。草太はゆっくりを顔を近づけていく。桃色の唇にふれようとした、その瞬間。
「や、やっぱり、無理っ!」
その言葉と同時に、美冬の首がしゅるしゅると伸びていく。
「美冬さん!?」
草太の腕の中に美冬の顔はなかった。長くて白い首だけが残っている。伸びた首の先に美冬の顔があり、草太を見下ろしていた。
「ごめんね、やっぱり無理かもぉ。草太くん、素敵すぎるもの」
素敵と言われて嬉しかった。しかし直前でおあずけをくらった草太の気持ちはどうなるのか。美冬にキスしたいという気持ちはもう抑えられないというのに。白くてなめらかな首は、うねうねとうねり、草太の火照りをさらに刺激する。
「美冬さん、顔を下ろしてくれないと、ここにキスしますよ?」
草太は美冬の首に、そっとキスをした。想像以上に柔らかな首だった。
「きゃうぅ!?」
美冬の小さな悲鳴が頭上から聞こえた。その声がまた可愛らしい。草太はもう一度、首にキスをした。
「んっ、やぁ。くすぐったいわ」
悶える美冬が、たまらなく可愛い。どうやら美冬の首はかなり敏感らしい。わずかにある草太の嗜虐性が刺激される。
「顔を下ろしてくれないと、首にもっとキスしますよ?」
草太は顔をあげ、美冬に向かってにやりと笑った。抱いている美冬の体が、さらに熱を増すのを感じる。草太はもう一度、美冬の首にキスをしようと顔を近づけていく。
「わ、わかったわ。首を元に戻す。だからもう止めて。首は弱いの」
「わかりました」
しゅるしゅると首は戻っていき、美冬は元の美しい姿になった。
「草太くんがこんなにも意地悪だなんて、知らなかったわ」
「一応、僕も男ですからね。好きな子はちょっとだけ意地悪したいんですよ」
草太はわざと意地悪そうに笑った。美冬の顔が真っ赤に染まる。
「今度こそキスしますよ? 首じゃなくて唇に」
美冬がこくんと頷いた。その様子を確認した草太は、「今度こそ」と思いながら、ゆっくりと顔を近づけていく。柔らかな唇にそっとキスをした。軽く触れただけの、おままごとのようなキスだったが、二人にとってはそれで十分だった。
草太は強く、美冬を抱き締めた。美冬も草太の背中に手を回し、草太の抱擁を受け入れる。もう一度キスをした。今度はもう少しだけ、長く。月光が流れる雲によって遮られ、二人の姿を優しく隠してくれる。静かに目を開けると、美冬の美しい顔が寄り添っていた。二人はそのまま笑った。じゃれ合うようなファーストキスだった。それでもたまらなく幸せだった。
「美冬さん、好きです。あなたを大切にします」
「私もよ。あなたが好き」
草太と美冬。二人の新しい関係は、ここから始まるのだ。
「美冬さん、今度こそ家まで送っていきます」
「もう少し一緒にいたいわ」
「ダメです。これ以上一緒にいたら、美冬さんのこと頭から食べちゃいますよ。ガリガリって」
「やだ、怖い」
狼の真似事をする草太に、ふふふと楽しそうに笑う美冬だが、半分は本当のことだった。
(これ以上一緒にいたら、自分を抑えられる自信ないよ。美冬さん、マジで可愛すぎるもん)
草太の精一杯の自制心だった。美冬を大切にすると誓った以上、いきなり襲いたくはない。キスしようとしただけで、首が伸びてろくろ首状態になってしまった美冬だ。さらに関係を進展させようとしたら、首が戻らなくなってしまうかもしれない。想像以上に美冬は怖がりで、世間知らずな一面がある。だからこそ焦らずゆっくり関係を深めていきたい。
(本当は今夜一緒に過ごしたいところだけどね)
なにより気がかりなのは美冬の父、宗次郎だ。交際の許可が出てないのに、いきなり一晩を共に過ごしてしまったら。娘を溺愛する宗次郎がどうでてくるのか、想像するだけで恐ろしい。
(でも美冬さんと共に生きていくつもりなら、社長ともうまく付き合っていけるようにならないと)
社長であり美冬の父である宗次郎が、最初の難関だろう。なんとか交際を許してもらわなくては、美冬との関係は進められない。
(今までの僕なら、社長みたいなタイプは真っ先に避けてただろうな)
末っ子で甘ったれ気質のある草太にとって、宗次郎は天敵のような存在だ。それでも立ち向かっていこうとする理由は、ひとつしかない。草太は自分の傍らに立つ美冬を見た。草太の横で、満ち足りた顔で微笑んでいる。
(この人を守りたい。美冬さんには笑顔でいてほしい)
そのためには、どんな難関でも頑張って突破してやる。
草太は彼なりに覚悟を決めていた。それは草太の男としての意地でもあった。
「草太くん、大好き」
美冬が体を寄せてきた。体を沿わせるようにぴったりと。豊かな胸が草太の脇に当たり、彼女のスタイルの良さが伝わってくる。抑え込んだ草太の欲望が容赦なく刺激される。
「つ……美冬さん、ダメですよ。帰りますよ」
「わかってる。でもあと少しだけ」
美冬はさらに体を密着させてくる。美冬の香水の香りが、草太の鼻孔をくすぐる。この行為が男をどれだけ刺激する行為か、世間知らずな美冬はわかっていないのだ。
(僕、どこまで我慢できるかなぁ?)
覚悟を決めたはずの草太だったが、無邪気な美冬に翻弄されるところは変わらないのであった。
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