一途な執愛に囚われて

樋口萌

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告白 R18

十六話 中

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十六話 中




「昔は兄さんより背が小さくて、可愛げがあったと思うんだけど…そんな子どもに淫らな感情をぶつけてたの?」
「ぁ、う…」
「俺より変態。でも、よかったね。今の俺なら遠慮なく虐めてあげられる」
 そういうと片方の乳首にも、かぶりと歯型をつけてそのあとをなぞるように舐め上げた。先端がかわいそうなほど腫れ上がっていて、晴はそれを嬉しそうに、ぎゅむっと摘んだ。
「いっ、あ…っ」
「明日以降ちょっとじんじんしちゃうかもしれなけど、我慢してね。そのうちココだけでイかせてあげるから、ね?」
 耳元で囁かれたら脳にまで届いたのか麻痺したように身体が震えてしまった。蓮は小さく「ぁ、あ…っ」と想望を滲ませた吐息を漏らした。その間も耳の中を熱い舌が入り込み、甘い声が出っぱなしだった。
「エッロい顔してる。兄さんほんと舐められるの好きだね。気持ちいい?」
「う、ん…きもち、いい…」
「ならもっと気持ちいいことしてあげる。俺の言う通りにすれば望む以上の快楽を与えてあげる」
 まるで魔法の言葉だと思った。
 蓮はその言葉通り、すでに頭の中は晴とセックスすることしか考えておらず、上下に頭を動かしながら顔を晴に擦り寄せた。
「なら、もうちょっと足開いて」
「は…ぁ、ぁ……っ、う、ん」
 未だ立っていられることが信じられない。自分でも快楽の耐性がついてきたのかと褒めたくなる。晴との行為は長く保ちたいがために、耐え続けている身体はより一層快楽に欲深くなった。
 勃ち上がっている自分のものを直視しないよう下を向きながらおずおずと足を広げた。
 すると、ガタッと上の方でなにかが動いた音を聞く。
「一度ぐらいしたことあるんじゃない?」
 晴はそう言って、シャワーを持った手を先走りでたらりと濡れている蓮の性器に当てた。
「あぁっ!」
 勢いよく噴射している熱湯をかけられ、びくびくと身体が飛び跳ねる。熱い飛沫が直接当たって、浴室にあられもない喘ぎ声がよく響く。だんだんシャワーが近づいてきて、噴出力が強くなる。
「あぁっ、ああぁ……っ」
 ぶわり、と一気に色づいたように快感が押し寄せてくる。がくがくと脚が震えてきて、腰が前に突き出して揺れているのが止まらなくなる。
「勃ってるときに当てられると余計に感じるでしょ。さっきからびくびく震えちゃってかわいい」
「あっ、あ…っ、もう、も、とめ、て…っ」
「イキそうだね。でも後ろの方が我慢できないんじゃない?」
「あ……っ」
 指摘され、蓮は真っ赤に身体を染め上げる。シャワーを当てられてから、じくじくと中まで流れ込んできた愉悦に刺激され、後孔がひくひくと収斂していた。まるで濡れてるんじゃないかと思うほどひどく熱く、疼いている。
「こっちも当ててみよっか」
 晴は悪い顔してシャワーの位置を足の間に突っ込んで上向きにさせた。熱いシャワーの水圧が快楽を乗せて刺激してきた。
「ああっ! あっ、あぁ…っ」
 あまりの快感に倒れそうになり、晴の両腕にしがみつく。やだ、やだ、と首を振りながら晴に上から目線で訴える。けれど、潤んだ瞳が逆に煽ってしまったらしく至近距離で後孔に熱湯をかけられ、とめどなくぶっかけられる水量に身体が驚いて逃げようともがく。しかし、壁に追いやられている以上どこにも逃げ場はなく、強制的に与え続けられる熱い快楽にがくがくと足を震えさせていた。
「あっ、あ、ぅ、んっ」
 小さな熱い飛沫がこれでもかと押し寄せ、ひくひくと繰り返すそのわずかな間に中へと入り、刺激を与え続ける。
「こうすればどうかな。どんな顔見せてくれる?」
 そういうと晴の手は双丘の後ろへと伸びていき、指と指とでくぱりと後孔を開けた。その小さくとも開いた後孔から熱い飛沫が飛んでくる。
「あ、あ、あっ、あぁ…っ!」
 まるで中に吐精されたような似た感覚を覚え、蓮はそれだけで射精してしまった。頭の中は真っ白なペンキに塗りつぶされる。
 じくじくと腰骨が灼けるように燃え上がり、限界だった脚が崩れ、ぺたんと座り込んでしまった。
 晴はシャワーを上に戻し、また身体中に雨を降らせる。
「中で出されたときと同じような顔してるね、やっぱり」
「はっ、あ、は…あっ」
 わなわなと肩を震わせながら甘ったるい吐息を漏らす。じわじわと中から熱いものに侵食され、蓮の鼓動が高なる。中にもっとほしいと疼く官能に抗えない。
「お尻、動いてるよ」
「ん、ん…っ、ほし、も、ほしい…っ」
 埋めて欲しい。中が寂しくて、寂しくて、ひくひくと音を立てて泣いている。
 蓮は手を伸ばし、晴の濡れた衣服に触る。濡れてぴったりと布に張りついている大きなそれをするりと手に触れさせ、頬を擦り寄せた。
「もうこれが欲しいの? 我慢できないほど擦り寄せてきちゃって」
「ん、ん…」
 晴の大きい手が頭を撫でて、さらに顔を股に寄せつけた。きつく膨れ上がった晴のものから、むわりと雄の匂いがして蓮は勝手に口を開けた。
 ゆっくりと舌でジッパーを下ろし、下着の上からはむ、と噛むと匂いが濃く感じた。その引き寄せるような漂うフェロモンに脳の神経が鈍麻する。
 蓮はまるで自分じゃなくなったかのようだと夢中になる。本能に操られたまま下着を舌で下ろすと、勢いよくたけった男根が頬に当たった。匂いが濃度になるとクラクラと酩酊したような気分になり、水欲しさに晴のものを口に含んだ。
「兄さん、どれだけその口に咥え込んだかは聞かないし、言わなくていいけど、もうコレじゃなきゃいけないお口にしてあげる」
「ん、んぅ」
「腹立つな…。その綺麗な口に俺以外のものを入れたなんて仕置きしても全然収まらない」
 髪を撫でていた手がぐしゃ、と乱暴に掻き乱す。
「兄さんのことだから褒められるのが嬉しくてディルドでも練習したでしょ」
 口の中で舌を使って舐めていたのが止まってしまう。見透かされた努力にカッと火がつく。誤魔化さそうとじゅぅっと吸い上げたが、髪を強引に引っ張られ口から抜けてしまった。
「男が悦ぶところは自分でもわかるから扱きやすいけど、舐めるのはまた別だよ」
「あ、ぅ…ごめん」
「謝ったところでなんにもならないよ。どんな練習したかやって見せてよ。自分の扱きながらヤってるだろうし、喉の奥に出されること想像してるなら俺が叶えてあげる」
「な、なんでそこまでわかんだよ」
「してるって顔に書いてあるから」
「そんな顔してない」
 嘘だと自分でもわかっているのに、ムキになって反抗してしまう。
「ずっと俺の舐めたかったくせに、お願いもできないの? 兄さんはそこまで俺のこと愛してくれてないんだ」
 シャワーの音に消えそうな声で言われ、髪を構っていた手が離れていくのを感じた。蓮は気が動転して声を高く上げた。
「ちがっ、そんなわけない! あ…っ、そのおまえ相手にうまくできるかどうか自信がなくて」
「褒められた経験があるのに、俺相手だとできないんだ」
「え、あっそうじゃなくて」
「いいよ、無理にしなくて。なんか萎えてきた」
「ちが、ごめん…っ、や、やだ…、晴の舐めたい。ずっと触ってみたかった、から…おねがい」
 深いため息が聞こえ、怖くなり思わず懇願してしまった。しかしどうやら罠にかかったのは自分のようだ。
 けろりと満悦な笑みを浮かべ、えるどころか凶暴化した男根を押しつけられた。
「最初からそう言えばいいのに。ふ、やっぱりそうやって泣きそうになる兄さんの顔たまんない」
「おまっ、わざとっん"ん"っ!」
 口を大きく開けた瞬間に熱いものが入り込み、奥深くまで口いっぱいに晴のもので満たされる。急な動作に息が整わないまま喉の奥までみっちりと形を覚えさせられる。逃げないよう頭を固定され、自分ではどうしようもできない。
「わざとじゃないよ。っ…兄さんが自分からしたいって言ったから実行してあげたんだけど。ほら、お望み通り乱雑にしてあげるから」
 艶を乗せた声が蓮の耳をくすぶる。どうして暴力的にしてほしいとわかったかなんて今は考えられそうになかった。
 じゅぷじゅぷと口の中で硬い肉棒が出たり入ったりを繰り返す。そのたびに上顎が擦れ、舌が雄を感じ、喉を熱く刺激する。激しい出入に顎の感覚はなく、苦しさも愉悦に感じてしまい、いつのまにか自分の手が下へと伸ばし慰めていた。
「涙流しながら吸いつこうと歪んでるその表情、もっと見せて。脳裏に焼きつくまで…っ」
「ゔっ、お、ご…っ、ぉ」
 口の中が唾液と我慢汁で苦くなってきた。口腔内からも聞こえる血脈の鼓動が早まる。そろそろ出るんだと、蓮は舌を使って晴の性器を刺激してみた。
「っ、にいさんの、えっち」
 シャワーに濡れて口角を上げた晴があまりにも艶美で蓮はそれだけで、ビクビクッ、と自分の手に欲を吐き出した。
 そのあとすぐに中で大量の精が溢れ出ていくほど叩きつけられた。夥しい量が流れ、苦しさと快楽の余韻が背中を駆け上がり、それだけで極めてしまう。びゅうびゅうと欲のけ口にされ、まだ頭の固定を外さない執念さに、きゅうきゅうと腹が蠢いた。
 喉を締めつけ、搾り取るように力を込めると、微かに動いた手が拘束を緩めた。そして髪を掻きわけるかのように優しく撫でられると嬉しくなり、出ていく晴のものを名残惜しそうに吸い上げる。鈴口までちゅうちゅうと吸い上げると、くっと喉が震った音が聞こえた。
「癖になりそうなほど兄さんの口の中気持ちよかったよ。兄さんはやっぱり特別だね」
 そう言って頭を撫でていた手が唇に触れ、よしよしと喉をも撫でた。
 
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