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第十話 決闘

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決闘の申しでがあった後グランズ教諭の特別講習は終わり、俺たちは保健室に向かっていた。

なぜ俺たちなのかというと

授業が終わり保健室へと向かおうと思っていた俺に、授業が終わるのを廊下で
待っていたリリーとイリナが教室に入ってきて話をかけてきたのだ。この後、決闘がある俺は話せば心配をさせるし、すぐに話を切り上げようと思っていたのだがまったく、俺は運が悪い。、ナッツゥが決闘のため保健室へと向かおうと言ってきたのであった。

「決闘!まさか殺し合いするわけじゃないよね?私があいてするわよ!」
「大丈夫だろうか。もしものことがあれば私が手を貸す」

そう言って、リリーは軽蔑した顔で、イリナは少し怒った表情でナッツゥを見ると
武者震いだろうか、ナッツゥはぶるっと震えていた。






ちなみに、なぜ保健室へと向かうかというと決闘をする限り怪我をする可能性があるので立会人兼ヒーラーという、便利ポジションを得た学院は伝統的に保健室の教諭を立会人としているからだ。

ちなみに言っておくが、決闘とはいえ死ぬまで戦うわけでもないし何か条件があるわけでもないもちろん、何か条件を付けた決闘が行われることもある。

以前、条件を付けた決闘を見たことがあるがあれは悲惨だった。恋愛絡みの決闘だろう。女子生徒に告白をし、こっぴどく振られた男子生徒が決闘を申し込んだのだろうか、完敗した男子生徒は女子生徒に土下座をし頭を踏まれていたところを以前目撃したことがある。あの後何が行われるか考えただけで寒気がする。

「それ振られたんじゃなくて浮気じゃないの!?」
「私もそう思う。自業自得のゲスやろうだ。」

二人は意気投合し、お互いに怒った表情をしていた。

そんな緊張感がない会話をしながら保健室へと向かっていたのが癪なのかナッツゥは眉間を寄らせながらも、少し羨ましそうな表情をしていた。

保健室につくと俺たちは扉を開け中に入っていくが誰もいない。

「アリア先生?いますか?」

そうリリーがいうと、奥のほうから白い衣服を着た優しい雰囲気の女性が現れた。

彼女は20代後半くらいだろうか。薄いピンク色の髪をした見るからに優しそうな雰囲気をしていた。彼女は優しそうに微笑みながら

「あーごめんね! 先生気づかなかった! ところで、どうかしたの?」
「決闘をするのですが、先生に立会人をしてほしいのです」

俺がそういうと、ふむふむ。なるほど!そうかー。と何やら独り言を言いながら

「わかったわ! 先生が特別に立会人になってあげましょう!」

何故特別かはおいといて、どうやら今日の先生のスケジュールはぽっかり空いているらしい。すぐに了承をしてくれた。

「じゃあ、魔力演習場にむかいましょうね! みんなついてきてねー」

彼女はそういうと、白衣を翻させながらモデル歩きで保健室を出る。

そんな様子に見惚れたのか、ナッツゥは鼻の下を伸ばしながら先生の後姿を眺めていた。ナッツゥが顔を緩ませるのは無理もない。アリア先生は比較的痩せ型だが、これでもかというほど大きい胸、タイトなスカートからのぞき込むそれ。それでいて、顔もいい。彼女は世の男性の99%が恋に落ちるだろうルックスをしていた。








魔力演習場につくと、アリア先生は空を見上げなにやらぶつぶつ呟いている。
なんだろうこれは、何かの儀式か何かだろうか。

「これは、決闘する際に伝統的に行われているものだ。勝負に関係なく、よい決闘が行われるようにと願いを込めて行われる」

と真面目そうな顔でイリアは言っていた。

なるほど。日本にも伝統的に何かをやるということがあるように、この世界でも伝統は重んじられているらしい。

「ふぅー!終わったわ。それじゃあ、今から決闘をはじめるわよー。イツキくんとナッツゥくんは演習場中央に向かって、互いに握手をしたら試合開始ね」

そう言われた俺は演習場中央に向かった歩き始めた。

俺だって短期間ではあるが血の滲むような努力をしてきたんだ。大丈夫だ。
そう心の中でつぶやく。

「大丈夫かなイツキ 練習したとはいえ、まだこの世界に来て間もない....」
「姫様それは一体どういうことですか?彼はやはりラムース大陸の人間だったわけですか! だとしたらなぜ!」
「あー違うの!! イリアになら伝えても良さそうね。イツキはね、この世界、イースの住民ではないの」
「それは一体どういうことですか!? まさか、宇宙の果てからやってきのですか?」
「それはわからないわ。でも、確実に言えるのはイースの人間じゃなく別の世界からきたということだけ」
「姫様の言葉です真実でしょう。それに、イツキは信用してもいい気がするのです」
「でしょ!! イツキが悪い人間なわけないもん!!」
「姫様! 決闘が始まります!」






俺は演習場中央につくと深呼吸をし、意識を集中させた。
額からは汗が頬を伝って流れ落ちていく。大丈夫だ。今までしてきた練習を思い出せ。そう自分を鼓舞し、握手をするため手を伸ばした。

「振分けのときは、手加減して攻撃しなかったけどよぉ、今度は本気で行かせてもらうぜぇ」
「土よ、我に力を貸したまえ いや、かせ!!! 土槍ロックスピア 」

すると、ナッツゥの周りの土素が見る見るうちに茶色く染まっていき、土の槍が10本、後方に現れた。前回は5本だったが、あれでも力を抜いていたというわけか。

「どうだ?これが俺の本気だぁ、名門の力見せてやるよぉ」

そういうと俺に向けて土の槍を魔力で投げ飛ばしてくる。
これはまずい。いくら技を覚えていても10本は聞いていない。
怪我をした時のためアリア先生も待機しているが、全て直接体にあたったら、
まず間違いなく数日休むことになるだろう。そうしたら、演習にでられないかもしれない。

そんなことになったら、今までの練習やA組に行く目標。すべてが水の泡になる。
俺は覚悟を決め、意識を集中し闇の魔素を周囲に集める。

「闇よ!! 力を貸してくれ!! 闇球!! ダークボール

そこには禍々しい黒いバレーボールほどの球体が1個現れた。

「なんて力なのかしら、未だかつてここまで未熟でありながら、ここまで大きい球を出した生徒がいたかしら」

アリアはその凄まじいオーラと大きさに驚愕していた。
リリーもイリアもふむふむと嬉しそうな表情で見つめていた。

「いくら大きくても1個でよぉ、10本の槍にかてるとおもうのかぁ」

ナッツゥもまた驚愕していたが、冷静になって考えたのだろう。こんなことを言っている。

だが、不思議といけそうな気がする。俺は魔力でコントロールしようとするが思うように動かない。それどころか、真上にものすごいスピードで飛んで行ってしまった。

やってしまった。そういえば、俺はまだ魔力をコントロールできてない。
どうにかしようと考えていると

「いやぁ、笑わせてくれるねぇ、じゃあ、投げちゃうよぉ」

土の槍10本が俺に近づいてくる。
どうしようか考えてもいい解決案が浮かばない..

土の槍は俺めがけ一直線にやってきた。

これはまずい。絶対にあたるわけにはいかないが、避けようもないし
以前、天使と戦った時に出てきた盾もだせそうにない。

あたる。俺はそう確信したが

俺の数十センチ先でそれはパラパラとまるで物質が粒子になるように、分解した。

一体何が起こったのか自分自身でもわからなかったが、これは反撃のチャンスである。





「あれは!!昔、お父様が私のけいこで使っていたわ。とてつもない魔力を保持するものしかできない技。圧倒的魔力を持つため、魔素が周囲に集まりだしそれが盾の役割をもつ。強者の衣マジカルアーマーよ 。流石イツキね!」
「まさか、イツキがあれほどの魔力を持っているとは思いませんでした。」






反撃を試みる俺に対し、ナッツゥは何度も何度も土槍ロックスピア を繰り出していた。

「おまえ!! いったいなにをしたんだよぉ! まさか、ずるしたわけじゃないだろうなぁ!」
「ずるなどしていない!これはおそらく、俺の魔力がつよすぎるせいだ。この期に及んで侮辱とは卑劣な奴め、それじゃ、今度は確実にいくぞ!」

俺がそういうと、ナッツゥは少し怯えた表情をしたがすぐに冷静さを取り戻し

「技は効かないのはわかったけどよぉ! お前の技も俺にはあたらないじゃないかぁ!格闘戦、もしくは魔法武器マジカルウェポン なら、俺のほうが一枚上手だぁ。この勝負もらったぜぇ」

そういうとナッツゥは勝利を確信したのか、笑顔で笑い始めた。
こんなところで、負けるわけにはいかない。さっきは魔力を制御できなかったが、小さい 闇球!! ダークボールなら話は別だ。今の俺でも制御できるかもしれない。

そう考えた俺はナッツゥに

「闇よ、力を貸してくれ!!闇球!! ダークボール

大丈夫だ。落ち着くんだ。さっきより、小さい。ピンポン玉くらいの大きさだろうか。

これなら俺でもコントロールできそうだ。そう確信した俺は闇球!!ダークボールをナッツゥに対して放っていた。

「何回やっても....」

俺が放ったそれはナッツゥの肩を貫いていた。
その場で気絶したナッツゥにアリア先生が駆け寄ってくる。

「勝者 イツキ!」

そういうと、アリア先生は回復魔法でナッツゥをヒールしていた。

「やったわね!イツキ あんな小さい球なのにあそこまで威力があるなんて私が認めただけあるわね! イツキは潜在能力だけ見れば間違いなく世界最強よ!」
「間違いない。将来イツキは間違いなく騎士以上になるだろう」
「ありがとう二人とも、二人がいなかったらこの試合にもかてなかったかもしれない。」



俺がそういうと、リリーはふふーんと自慢げに腕を組みながら笑っていた。

イリナは少し照れ臭そうに、下を向いていた。
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