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番外編 初夜明けて
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初夜が明けた。
私達は無事に何事も無く卒業式を迎え、何事も無く婚姻を結び、何事も無く大々的な結婚式を挙げ、私は何事も無く王太子妃となった。
彼はベッドの中でしっとりと汗ばんでいて、頬は薄らと赤く染まりスヤスヤと眠っている。
その様子は、やけに艶が有り私でさえ妙な気を起こしてしまいそうだ。
昨夜の名残なのだろう。
昨夜結婚式を挙げた後、夫婦になり初めて寝室を共にする為に待っていた。
すると、彼はやって来て早々ギラりとした目と荒々しい息をして、私に伸し掛るとそのまま”倒れた”のだ。
それはもうバターン!と音がする勢いで倒れた。私も一緒に。
かかりつけ医によれば、疲労だと言うので久々に出会ってから早急に婚姻の予定を詰め込んだので、ここ最近の忙しさのせいなのだろうと思っている。
次いでに言うと、接吻すらまだである。式で頬にしたくらいか。
「本っ当に、ごめん。」
起きたかと思ったら第一声目はこちらとなります。
「気にするな、まだ寝ておけ。…まだ少し熱が有るな。」
正直、心構え等出来ていなかったので助かったと言えば彼は落ち込む所の話では無くなりそうなので内緒である。
幸い、お互い酷い怪我も無い。
咄嗟に庇おうとして後ろ側に倒れるのでは無く、横に倒れたので左半身の打ち身はとても痛いが。それも内緒だ。
起き上がろうとした彼の額に手を置き、体温を確認して再度ベッドへと沈ませ、私もベッドの横のスツールに座り直した。
心配で付きっきりで看病したのなんて中々無い経験をさせて貰った。
「はぁ……、ルルーシュアには格好悪い所ばかり見せている気がするよ。」
「大丈夫だ。レイがそういう風になれるのは私の前だけなのだから。」
彼は身体が弱い。
それは王になる者としては致命的であり、周りにはある程度隠して生きている。
だから、私はそれを見せられる存在でないといけない。
「ありがとう。」
そう言って、神に丁寧に造られた彼は悲しそうに笑う。
『ルルーシュア、大丈夫ですよ。ただのはしゃぎ過ぎですからね。』
何と言おうか迷っていると、何処からともなく声が聞こえた。
私は瞬時に魔法陣を展開させると、バッと振り返る。ここには私とレイしか居ない筈だから。
『おや、あんなに仲良くなったのに忘れてしまったのですか?』
そこには目を細め、クスクスと笑っている白いフクロウが居る。
私は手にしていた魔法陣を解き、ギョッと目を見開いてしまった。
「フクロウさん…、声が、」
『ふぉっ、ふぉっ。王太子妃おめでとうございます、ルルーシュア。私は【シンフー】。またお会い出来ましたね。』
「…シンフー、ルルーシュアがびっくりしている。ちゃんと説明してあげて。」
そのシンフーと名乗るフクロウさんは私に名を教えてニコニコとしている。
姿を現し、声を聞くだけでも驚いているのだが名を教えるのは縁を結ぶ事。高位の精霊達が名を許すのは心を許した者だけだ。
『私はカダール王家の行く末を見守る者、たまに助言する位ですがね。王には代々姿を見せ声を聞かせてきた。レイヴンの様に最初から見えてしまう者も居ますがね。
そして、王妃には気に入った者のみとしているのですが、貴女はまだ王太子妃ですが例外ですね。つまりはお気に入りですよ。』
「そ、それは誠に光栄です。」
『おやおや、あの時は普通に話してくれたのにその様に畏まられると悲しくなってしまいますねぇ。』
およよ、と翼で涙を拭うフリをするシンフーは私に畏まるなと言う。いや、無理だろ。
相手が精霊だと分かってしまった。それに、この様に自分の声を聞かせる相手を選べるのも高位精霊である証拠ではないか。
私達が魔法が使えるのは精霊達のお蔭なのだ。
『あぁ、私が高位精霊だから畏まっているのですね。大丈夫ですよ、土の最高位なだけです。』
「いえ……。大丈夫では有りませんよね、それ。」
シンフーは私と話ている間ずっとクスクスと笑っている。完全にからかわれている。
レイと再び出会ってからずっと驚いてばかりいる気がしてならない。
「シンフー、余りルルーシュアを困らせないで。」
『おっと。怖い、怖い。少々遊び過ぎましたか。聞いているかと思いますが、貴女の事はずっと見てきました。貴女に会わないと決めた日にそれは、それはビービー泣く子が居たのでねぇ。』
「シンフー!?それは言わない約束だろう!」
ガバりと起き上がり顔を真っ赤にして怒るレイは、いきなり起きたせいでふらついたのか、そのまま頭を両手で抱えた。
「大丈夫か?」
「…大丈夫だけど、大丈夫じゃない……。」
「ぷっ」
消え入るような声でまるで子どもの様に拗ねてしまったので、堪えきれず笑ってしまった。
彼には見えていないだろうが、シンフーはそんな彼を温かい目で見守っている。
「では、遠慮なく素のままで居させて貰う。シンフー…と呼んでも?」
『良いですよ。』
「シンフー、一番レイの事を知っているのは貴方だ。また色々教えて欲しい。私は、今彼を知っていっている最中だから。」
何かおかしな事を言ったのだろうか、シンフーは一瞬キョトンとするとゆっくりとまた目を細めた。
『そうですね。今度は二人で話しましょう。』
「是非。」
にっこりと笑い合うと、隣に居るレイが私を引き寄せ肩をギュッと抱き締めてきた。
「ちょっと、僕の事は僕に聞いてくれてもいいんだよ?」
私達は無事に何事も無く卒業式を迎え、何事も無く婚姻を結び、何事も無く大々的な結婚式を挙げ、私は何事も無く王太子妃となった。
彼はベッドの中でしっとりと汗ばんでいて、頬は薄らと赤く染まりスヤスヤと眠っている。
その様子は、やけに艶が有り私でさえ妙な気を起こしてしまいそうだ。
昨夜の名残なのだろう。
昨夜結婚式を挙げた後、夫婦になり初めて寝室を共にする為に待っていた。
すると、彼はやって来て早々ギラりとした目と荒々しい息をして、私に伸し掛るとそのまま”倒れた”のだ。
それはもうバターン!と音がする勢いで倒れた。私も一緒に。
かかりつけ医によれば、疲労だと言うので久々に出会ってから早急に婚姻の予定を詰め込んだので、ここ最近の忙しさのせいなのだろうと思っている。
次いでに言うと、接吻すらまだである。式で頬にしたくらいか。
「本っ当に、ごめん。」
起きたかと思ったら第一声目はこちらとなります。
「気にするな、まだ寝ておけ。…まだ少し熱が有るな。」
正直、心構え等出来ていなかったので助かったと言えば彼は落ち込む所の話では無くなりそうなので内緒である。
幸い、お互い酷い怪我も無い。
咄嗟に庇おうとして後ろ側に倒れるのでは無く、横に倒れたので左半身の打ち身はとても痛いが。それも内緒だ。
起き上がろうとした彼の額に手を置き、体温を確認して再度ベッドへと沈ませ、私もベッドの横のスツールに座り直した。
心配で付きっきりで看病したのなんて中々無い経験をさせて貰った。
「はぁ……、ルルーシュアには格好悪い所ばかり見せている気がするよ。」
「大丈夫だ。レイがそういう風になれるのは私の前だけなのだから。」
彼は身体が弱い。
それは王になる者としては致命的であり、周りにはある程度隠して生きている。
だから、私はそれを見せられる存在でないといけない。
「ありがとう。」
そう言って、神に丁寧に造られた彼は悲しそうに笑う。
『ルルーシュア、大丈夫ですよ。ただのはしゃぎ過ぎですからね。』
何と言おうか迷っていると、何処からともなく声が聞こえた。
私は瞬時に魔法陣を展開させると、バッと振り返る。ここには私とレイしか居ない筈だから。
『おや、あんなに仲良くなったのに忘れてしまったのですか?』
そこには目を細め、クスクスと笑っている白いフクロウが居る。
私は手にしていた魔法陣を解き、ギョッと目を見開いてしまった。
「フクロウさん…、声が、」
『ふぉっ、ふぉっ。王太子妃おめでとうございます、ルルーシュア。私は【シンフー】。またお会い出来ましたね。』
「…シンフー、ルルーシュアがびっくりしている。ちゃんと説明してあげて。」
そのシンフーと名乗るフクロウさんは私に名を教えてニコニコとしている。
姿を現し、声を聞くだけでも驚いているのだが名を教えるのは縁を結ぶ事。高位の精霊達が名を許すのは心を許した者だけだ。
『私はカダール王家の行く末を見守る者、たまに助言する位ですがね。王には代々姿を見せ声を聞かせてきた。レイヴンの様に最初から見えてしまう者も居ますがね。
そして、王妃には気に入った者のみとしているのですが、貴女はまだ王太子妃ですが例外ですね。つまりはお気に入りですよ。』
「そ、それは誠に光栄です。」
『おやおや、あの時は普通に話してくれたのにその様に畏まられると悲しくなってしまいますねぇ。』
およよ、と翼で涙を拭うフリをするシンフーは私に畏まるなと言う。いや、無理だろ。
相手が精霊だと分かってしまった。それに、この様に自分の声を聞かせる相手を選べるのも高位精霊である証拠ではないか。
私達が魔法が使えるのは精霊達のお蔭なのだ。
『あぁ、私が高位精霊だから畏まっているのですね。大丈夫ですよ、土の最高位なだけです。』
「いえ……。大丈夫では有りませんよね、それ。」
シンフーは私と話ている間ずっとクスクスと笑っている。完全にからかわれている。
レイと再び出会ってからずっと驚いてばかりいる気がしてならない。
「シンフー、余りルルーシュアを困らせないで。」
『おっと。怖い、怖い。少々遊び過ぎましたか。聞いているかと思いますが、貴女の事はずっと見てきました。貴女に会わないと決めた日にそれは、それはビービー泣く子が居たのでねぇ。』
「シンフー!?それは言わない約束だろう!」
ガバりと起き上がり顔を真っ赤にして怒るレイは、いきなり起きたせいでふらついたのか、そのまま頭を両手で抱えた。
「大丈夫か?」
「…大丈夫だけど、大丈夫じゃない……。」
「ぷっ」
消え入るような声でまるで子どもの様に拗ねてしまったので、堪えきれず笑ってしまった。
彼には見えていないだろうが、シンフーはそんな彼を温かい目で見守っている。
「では、遠慮なく素のままで居させて貰う。シンフー…と呼んでも?」
『良いですよ。』
「シンフー、一番レイの事を知っているのは貴方だ。また色々教えて欲しい。私は、今彼を知っていっている最中だから。」
何かおかしな事を言ったのだろうか、シンフーは一瞬キョトンとするとゆっくりとまた目を細めた。
『そうですね。今度は二人で話しましょう。』
「是非。」
にっこりと笑い合うと、隣に居るレイが私を引き寄せ肩をギュッと抱き締めてきた。
「ちょっと、僕の事は僕に聞いてくれてもいいんだよ?」
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