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しおりを挟むゲイルからも、アレンからもプレゼントを貰ってしまった。
2人でゲイルが作ったご飯を食べて、皆で笑いあった。
お互いお酒に強かったのか、ワイン1本では酔いもしなかったが。
自分は強い事が分かっていたので、ゲイルの酔い顔が見たいとかいう思いが少しだけ有りました。すみません。
お腹もいっぱい、胸いっぱいである。
今日はなんて素敵な日だろうか。
きっと、ずっと忘れない。
恩返しをしたいと常々思っているが、本当に沢山貰い過ぎていて返せる気がしなくなってきた。
「そういえば、ゲイルの誕生日はいつなの?」
「…マリーが落ちて来た日だ」
「えぇ!?」
なんと、私が異世界転移した日が愛すべき推しのお誕生日だったらしい。
ゲイルは漫画では端役、私の知っている段階ではプロフィールは明かされていない。
きっとあの後、公開されていた事だろう。
これ程、後の漫画読者を恨んだ日は無い。
知っていたら、携帯の暗証番号等はそれになっていたはずだ。
完璧に空で言える筈だったのに。
今だからこそ恋愛感情が有るが、推しな事には変わりない。
どう考えても来てから聞かなかった自分が悪いのに、しようも無い事を思う。
「まさかのあの日だったんだね…、何かごめんね」
「何故、謝る?マリーと出会った記念すべき日だろう?」
そう言ってから、気付いたんだろう。
ゲイルが耳を赤くしている。
もう、なんだろう。めっちゃ好き
有り得ない。
生まれてきてくれて、ありがとうございます。
「ありがとう、ゲイル。私も拾ってくれたのがゲイルで本当に良かった」
感謝を伝えると、ゲイルは嬉しそうに微笑んでくれる。
食後にはデザートとしてパウンドケーキも出てきた。
どうやら最近ケーキ作りにハマっているらしい。
懲りだすと止まらない人だと知っているので、運動しようと心に誓った。
食べない、という選択肢は勿論無い。
美味しく食べ終わり、片付けをして
ゲイルとアレンに再びお礼をいって夜のルーティンをこなしベッドに入った。
「嫌われてはいない…んだよね」
嫌われてはいない。
なんなら、好かれている気さえする。
だが、確信が持てない。
言われたい、という気持ちが有る事も事実だ。
今が幸せで後回しにしている状況なのは分かっている。
だが、ゲイルと一緒に居られるのにはタイムリミットがある。
ゲイルの誕生日をお祝いして、その時に私の想いを伝えよう。
駄目だったら、ゴーダ商会かミレーヌ大図書館にでも雇って貰おう。
カレンの嫁ぎ先で使用人として働くのも良いかもしれない。
ファミーユ様と相談して面倒にならないようにしよう。
カレンとエディも居るなら国に仕える事も良いのかもしれない。
寝転んだまま横に置いていた漫画を取る。
パラパラと捲ると、少年が動き出す
懐かしくて、心が温かくなる。
きっと、これも何処かの落ち人さんが書いたのであろう。
手放しに上手い、と褒める事は無いけれどとても特徴のある可愛らしい絵だ。
著者なのであろう【リラ】と書かれていた。
何処かに居る、もしくは居ただろう【リラ】という落ち人さんが私のように幸せだったら良いな。と思いながら抱き締めた。
その日の夢では、異世界を大冒険をする私とゲイルとアレンがいた。
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