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第4章 学園生活
第8話 イーラロマン
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ルーズハルトが教室に戻ると、案の定ハリーはお怒りモードであった。
まあ、当然と言えば当然だが、無言の圧力によりルーズハルトは何も言い訳出来ないまま自分の席へ着いたのだった。
「では、カリキュラムについての説明に入ります。一部の生徒は例外として、ほとんどの皆さんは魔法についてまだ知らないことが多いと思います。Eクラスはそんな生徒を中心として集められたいわば初心者組と言えばいいんでしょうか。つまり、基礎を学ぶ場だと考えてください。」
ハリーはそう言うと、手元を操作していた。
すると、ルーズハルトのPOINTの画面端でランプが明滅していた。
「皆さんのPOINTにカリキュラムについての資料を送信しました。それでは一緒に使ってみましょう。」
ハリーは後ろのモニターを指示棒を使って指示した。
いろいろな機能が付いているようで、まさにスマホやタブレットといったもので、ルーズハルトにはなじみ深いものだった。
その為特に苦労もなく指定の機能を呼び出すことが出来た。
だがまだ慣れない生徒もいるようで、その生徒には補助講師が数名教室を歩き回って説明をしていた。
「では皆さん、資料が見れましたか?では説明をしていきます。まずは先ほども言ったように、Eクラスは初心者の為、座学が中心となります。今配った資料を基にまずは魔法についての基礎を学んでもらいます。そしてその基礎を実技で練習してもらう。そういった流れになります。その他にも一般教養や、歴史、語学なども幅広く学んでいってもらいます。ここまでで質問はありますか?」
ハリーの声に反応を示したものが居た。
「イーラロマン君、どうしました?」
「先生、どうして自分はEクラスなのでしょうか?自分でいうのもなんですが、Aは無理でもB・Cクラスでやっていける自信はあります!!」
イーラロマンは勢いよく立ち上がり、直談判を行っていた。
その姿に何か切羽詰まった感じを受けたルーズハルトは、事の成り行きを見守ることにした。
「その件については入学前にお話ししたと思いますが?」
「納得できません!!自分は学科と実技両方に自信があります!!試験の時だって試験官に問題ないと言われました……しかし、入学の際にいきなりEクラスと言われて納得できるはずがありません!!」
イーラロマンは怒りと焦りと憤りをごちゃまぜにした感情を爆発させた。
それに異を唱えたのがハリーだ。
「イーラロマン君。君よりも上位の成績でこのEクラスに入って子もいます。その意味が分かりますか?」
「そんな……なぜ上位者がここにいるんです!!学園は何か圧力でも受けているんですか⁈」
やはり納得がいかない様子のイーラロマン。
深いため息をつきハリーは再度イーラロマンを諭すように、声をかける。
「いいですか。この学園は卒業時の成績が全てです。入学の成績など何の価値もありません。あくまでも1年次は基礎を学び、その使い方を学ぶ時間です。それぞれの生徒にあったクラスに編入し、力の使い方を学んでほしいのです。それにですね、君よりも上位者といったのはそこに居るルーズハルト君です。彼は座学も実技も上位……というよりも第3位でした。しかし本人が申告した通り魔力制御に難があったためこのクラスに編入となったのです。それについて彼は不満を言いましたか?」
「いえ……何も……」
自分の話がなぜか話題に上がったことに困惑を示す、ルーズハルト。
ハリーも少し申し訳なさそうにルーズハルトに視線を投げる。
だが、イーラロマンからしたら到底納得できない話であった。
あくまでも実力主義。
それが学園だと考えていたからだ。
家柄でもなく己の実力で主席を狙える。
そう思っていたからだ。
それには訳があった。
その理由についてルーズハルトもまたかかわりを持っていた。
ルーズハルトの父、ルーハスもまた1年次はEクラスであった。
それが卒業時には当時最強と謳われた〝勇者ウェルズ〟を追い抜き王立魔導学園【アグニス】の主席として卒業するまでになっていた。
これはある意味伝説ともいえるもので、知っているものからすれば憧れに近いものがあった。
だからこそイーラロマンは上に上がるためにも、一分一秒無駄にしたくないという思いがあったのだ。
だが、イーラロマンは入学前にハリーと話し合っており、しぶしぶといった様子で当時は引き下がっていた。
しかし火種は燻っており、ついに爆発してしまったのだ。
「イーラロマン君。君の向上心は感嘆に値します。しかし、物事には何においても基礎が必要です。一足飛びに駆け上がるにしても、今は力をつける時期です。わかりましたね?」
「はい……」
一応の納得を示し、イーラロマンは自分の席へ戻っていった。
その際ルーズハルトと目が合い、その視線は何か突き刺すように鋭いものがあったのをルーズハルトは感じ取っていた。
「これ絶対に何かひと悶着あるパターンだよな……」
ルーズハルトの独り言は誰に聞かれるわけでもなく、ただ虚空へと消えていったのであった。
まあ、当然と言えば当然だが、無言の圧力によりルーズハルトは何も言い訳出来ないまま自分の席へ着いたのだった。
「では、カリキュラムについての説明に入ります。一部の生徒は例外として、ほとんどの皆さんは魔法についてまだ知らないことが多いと思います。Eクラスはそんな生徒を中心として集められたいわば初心者組と言えばいいんでしょうか。つまり、基礎を学ぶ場だと考えてください。」
ハリーはそう言うと、手元を操作していた。
すると、ルーズハルトのPOINTの画面端でランプが明滅していた。
「皆さんのPOINTにカリキュラムについての資料を送信しました。それでは一緒に使ってみましょう。」
ハリーは後ろのモニターを指示棒を使って指示した。
いろいろな機能が付いているようで、まさにスマホやタブレットといったもので、ルーズハルトにはなじみ深いものだった。
その為特に苦労もなく指定の機能を呼び出すことが出来た。
だがまだ慣れない生徒もいるようで、その生徒には補助講師が数名教室を歩き回って説明をしていた。
「では皆さん、資料が見れましたか?では説明をしていきます。まずは先ほども言ったように、Eクラスは初心者の為、座学が中心となります。今配った資料を基にまずは魔法についての基礎を学んでもらいます。そしてその基礎を実技で練習してもらう。そういった流れになります。その他にも一般教養や、歴史、語学なども幅広く学んでいってもらいます。ここまでで質問はありますか?」
ハリーの声に反応を示したものが居た。
「イーラロマン君、どうしました?」
「先生、どうして自分はEクラスなのでしょうか?自分でいうのもなんですが、Aは無理でもB・Cクラスでやっていける自信はあります!!」
イーラロマンは勢いよく立ち上がり、直談判を行っていた。
その姿に何か切羽詰まった感じを受けたルーズハルトは、事の成り行きを見守ることにした。
「その件については入学前にお話ししたと思いますが?」
「納得できません!!自分は学科と実技両方に自信があります!!試験の時だって試験官に問題ないと言われました……しかし、入学の際にいきなりEクラスと言われて納得できるはずがありません!!」
イーラロマンは怒りと焦りと憤りをごちゃまぜにした感情を爆発させた。
それに異を唱えたのがハリーだ。
「イーラロマン君。君よりも上位の成績でこのEクラスに入って子もいます。その意味が分かりますか?」
「そんな……なぜ上位者がここにいるんです!!学園は何か圧力でも受けているんですか⁈」
やはり納得がいかない様子のイーラロマン。
深いため息をつきハリーは再度イーラロマンを諭すように、声をかける。
「いいですか。この学園は卒業時の成績が全てです。入学の成績など何の価値もありません。あくまでも1年次は基礎を学び、その使い方を学ぶ時間です。それぞれの生徒にあったクラスに編入し、力の使い方を学んでほしいのです。それにですね、君よりも上位者といったのはそこに居るルーズハルト君です。彼は座学も実技も上位……というよりも第3位でした。しかし本人が申告した通り魔力制御に難があったためこのクラスに編入となったのです。それについて彼は不満を言いましたか?」
「いえ……何も……」
自分の話がなぜか話題に上がったことに困惑を示す、ルーズハルト。
ハリーも少し申し訳なさそうにルーズハルトに視線を投げる。
だが、イーラロマンからしたら到底納得できない話であった。
あくまでも実力主義。
それが学園だと考えていたからだ。
家柄でもなく己の実力で主席を狙える。
そう思っていたからだ。
それには訳があった。
その理由についてルーズハルトもまたかかわりを持っていた。
ルーズハルトの父、ルーハスもまた1年次はEクラスであった。
それが卒業時には当時最強と謳われた〝勇者ウェルズ〟を追い抜き王立魔導学園【アグニス】の主席として卒業するまでになっていた。
これはある意味伝説ともいえるもので、知っているものからすれば憧れに近いものがあった。
だからこそイーラロマンは上に上がるためにも、一分一秒無駄にしたくないという思いがあったのだ。
だが、イーラロマンは入学前にハリーと話し合っており、しぶしぶといった様子で当時は引き下がっていた。
しかし火種は燻っており、ついに爆発してしまったのだ。
「イーラロマン君。君の向上心は感嘆に値します。しかし、物事には何においても基礎が必要です。一足飛びに駆け上がるにしても、今は力をつける時期です。わかりましたね?」
「はい……」
一応の納得を示し、イーラロマンは自分の席へ戻っていった。
その際ルーズハルトと目が合い、その視線は何か突き刺すように鋭いものがあったのをルーズハルトは感じ取っていた。
「これ絶対に何かひと悶着あるパターンだよな……」
ルーズハルトの独り言は誰に聞かれるわけでもなく、ただ虚空へと消えていったのであった。
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