近接魔導騎士の異世界無双～幼馴染の賢者と聖女を護る為、勇者を陰から支えます!!～

第４章 学園生活

第６話 義兄上!!

「全員登録は完了しましたね。それでは時間ですので一時限目はこれで終了とします。休憩の後、学園生活の注意点などを説明しますので、遅れないように。いいですね？」
「はい!!」

　やはり子供といったところであろうか、現金なもので休憩だとわかると急に元気を取り戻していた。
　ルーズハルトはＡクラスとなったバイトとエミリアが少し少し心配となっていた。
　Ａクラスは特に貴族籍の子供が多く在籍していた。
　これは貴族同士での血縁関係によるもので、魔法的因子の密度が一般市民に比べて高いことが起因していた。
　つまり、貴族籍でもないのに高い資質を示していたバイトやエミリアなどはかなりの例外で、Ａクラスにはあまり在籍していなかった。
　むしろ、Ｂ・Ｃクラスがその受け皿となっていた。
　Ｄ・Ｅは一般市民や貴族籍の生徒の中で素質があまり高くなかった物たちが集められていた。
　そのため、例年に漏れずＥクラスは階級至上主義の格好のカモとなっていた。
　学園としては１年次のクラス分けはたいして重要視をしてはいなかった。
　なぜならば、実家での教育の度合いによって変わってきてしまうからだ。
　それに一年次のＥクラスは才能で劣っているからというわけではなく、魔・法・の・初・心・者・が集められているに過ぎなかった。
　その為実質的に一番実力が低いのはＤクラスだったりするが、その辺はまだ子供であるのだろうか、理解には及んではいなかった。

———閑話休題———

「あ、ルー君!!」

　ルーズハルトが教室から出ると、同じくＡクラスの教室から顔を出したのはエミリアであった。
　それに続くようにしてバイトも姿を現し、何やら疲れ切った様子がうかがえた。

「エミーは元気だね。それに引き換えバイトは……どうしたのさ？」
「いや、さすがにここまでとは思いもしなかったよ。」

　うんざりとした様子のバイトになんとなく理解を示したルーズハルト。
　漏れることなく集まった貴族籍の子供たち。
　その中心人物というべきものが一団を率いてＡクラスから出てきた。
　それを見たエミリアはものすごく嫌そうな顔を浮かべていた。

「誰かと思ったら……バイト君、君も僕らと一緒にいるべきだ。それにエミリアさん……あなたのような人は僕の隣にいるのがふさわしい。」

　いかにもという感じで現れた少年。
　まさに傲慢。
　絵に描いたような態度であった。

「すまないルンデルハイム君。僕はそういった付き合いはしたくない。それに誰かを虐げるような事を平気で言える神経が僕には理解できない。」

　やれやれと言った感じのバイト。
　その言葉にピクリと眉を動かし反応を示すルンデルハイム。
　その周囲の取り巻きたちが一気に騒ぎ始めた。
　その中心にいたのは……

「おい!!｜ル・ン・デ・ル・ハ・イ・ム・様・だろ!!」

　いきり立つフェンガーに、バイトは全く興味を示している様子はなかった。
　その態度にさらに怒りをあらわにするフェンガー。
　だが当の本人は全く意に介していなかった。
　そんなバイトの態度をたいそう気に入ったようで、ルンデルハイムはくすくすと笑い始めた。

「うん、やっぱり君はいい。イエスマンなんて何の価値もないからね。それに僕をラスアータ公爵家の人間と知ってなおその態度。うん、君は最高に良い!!」

　何やらルンデルハイムのお眼鏡にかなったようで、バイトは微妙に不快感を見せていた。
　隣にいたエミリアも同様に、その気持ち悪さにバイトの陰に隠れてしまった。

「ところでその隣にいる人間は誰だい？君にふさわしくない人間だと思うんだが？」

　全く悪びれる様子もなく、さも当たり前のような態度を見せるルンデルハイム。
　やはり住む世界も主義主張も全く合わないと思うバイトであった。

「ルンデルハイム様!!あいつです!!朝の問題児です!!」

　ルンデルハイムの言った意味など全く理解していないフェンガーは、ルーズハルトを見つけるなり声を荒げた。
　フェンガーはルーズハルトとの一軒のあと、講師陣からこってりと搾り上げられていた。
　そのせいもあり逆恨み的にルーズハルトを目の敵にしていたのだ。

「ほう、すると彼が……うん!!面白い!!えっとルーズハルト君といったかい？エミリア嬢をかけて僕と決闘しないか？」

　突如湧いて出た話についていけず、唖然としているルーズハルト。
　自分をかけた決闘と聞き、いやんいやんとくねりだすエミリア。
　バイトは胃の痛くなる思いだった。

「エミーをかけるも何も、エミーは俺の妹だぞ？」

　ルーズハルトは少しの空白のあとで、やっと事態を理解したのか、そもそもかける以前の話であると思っていた。
　その言葉で現実に戻ったエミリアは、少しだけ不満がをだったのは言うまでもない。

「義兄上!!」

　キラキラとした瞳でルーズハルトを見つめるルンデルハイム。
　もう話が飛躍過ぎて、誰もついていける状況になかった。
　取り巻きの生徒ですらついていけず、言葉一つ発する事が出来ずにいた。
　そんな中、フェンガーも自分が話の外に追いやられていることに気が付き、ギリギリと奥歯を噛み締めていた。
　そして睨み付ける先にいるのはもちろんルーズハルトであった。