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第3章 いざ王都へ!!
第6話 暴走するバイト
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「お坊ちゃまはこちらのお部屋でお休みください」
ハウエル家の居住区である4階に着くと、階段を上がった突き当り手前の部屋にハロルドは足を止める。
すると、その部屋の扉をゆっくりと開くと、バイトを中に案内する。
中は華美にならない程度の家具で統一されており、落ち着くことが出来ると確信できるほどであった。
バイトが中に入るのを確認したハロルドは、バイトに何やら耳打ちを行っていた。
ルーズハルトには距離があったため聞き取れなかったが、それを聞いたバイトが驚いていた。
「ありがとうございます、ハロルドさん。」
「いけませんよ坊ちゃま。私はあくまでも従業員。周りにどう思われるかお考えください。」
その話の感謝として頭を下げたバイト。
しかしそれを良しとしなかったのはハロルドであった。
どうやら使用人と主人家の関係があるためで、外聞を考えての教えであった。
「すまない。よろしく頼みますハロルド。」
「かしこまりました。」
それをすぐに理解したバイトは言葉を言いなおしていた。
ハロルドも理解の早いバイトにニコリと微笑むと、一礼をして部屋を後にした。
残されたバイトはというと、すぐに動き出したかったのかそそくさと部屋の奥へきていったのだった。
「それではお二人はゲストルームにご案内いたします。」
部屋から出てきたハロルドはルーズハルトとエミリアを連れて別の部屋へと案内を行った。
バイトの部屋からも少し離れており、どちらかと言えば階段により近くなったような印象だ。
「ではこちらのお部屋をお使いください。」
「ありがとうございます。」
案内された部屋に入ると、そこは自宅とは大違いな立派な造りとなっていた。
エミリアは喜びを爆発させたように、天蓋付きのベッドへダイブした。
そのベッドの反発力はかなりのもので、エミリアを優しく受け止めるように沈み込むと、すぐにボヨンと反発して見せた。
それがかなり面白かったのか、エミリアは何度もベッドの上で動いて見せた。
そのたびにベッドは包んでは反発するを繰り返していた。
それを見ていたルーズハルトはとても気まずい思いとなってしまい、ありがとうの言葉もどこか申し訳なさを含んでいた。
「何かあればそちらのボタンを押してください。屋敷の者が対応いたします。それでは失礼いたします。」
ハロルドも慣れたもので、特に咎める様子はなかった。
だが一言だけ、ケガをしないように窘められていたエミリア。
自分のテンションが爆上がりしていたことに気が付くと、顔を真っ赤にして膝を抱えてしまった。
そしてハロルドに示された物は一つの魔道具であった。
その魔道具を触ると、すぐに2階の事務所に連絡がいくようになっており、ゲストルーム専属の使用人が対応することになっていた。
「すごいねルー君。」
「ホントだな。こうやって見るとバイトが有力商会の息子だって理解できるね。」
調度品といい、部屋といい、非の打ちようがない仕上がりにルーズハルトたちは感嘆の声を上げるほかできなかった。
にも関わらずハロルドは満足していない様子であった。
ハロルドは今一度二人に頭を下げると、そのまま部屋を出ていった。
部屋に残された二人が漏らした言葉が、どれほどバイトが高い注目を集めているのが分かる。
コンコンコン
ルーズハルトとエミリアは歓迎の意味を込めた豪華な夕食に舌鼓を打ったあと、自室でゆっくりと時間を潰していた。
流石に二人とも食べすぎた自覚はあるのか、少しお腹のあたりをさすっていた。
すると、自室のドイの外からノックの音が聞こえてきた。
「はい、どうぞ。」
「やあ、ルーズハルト。部屋はどう?」
ルーズハルトたちのもとに訪れたのはバイトであった。
未だ緊張感が抜けないルーズハルトに対し、バイトはどこか満足している様子だった。
「快適だよ……って言いたいけど、家とは大違いでおっかなびっくりさ。それよりバイト、なんかいいことあったの?にやけ過ぎだよ?」
ルーズハルトの指摘どおり、バイトの顔は綻んでいた。
正直、今の顔を街のの奥様方に見られたら、恐らく狂喜乱舞するのではないかと思えるほどであった。
「それがさ、ハロルドが用意してくれた書庫なんだけど……僕には天国だった。辞書や歴史書、魔導書なんかも今まで見たことのないものばかりだったよ。しかも書庫全体に不壊の刻印式魔法陣が書かれていて、僕がどれだけ実験してもびくともしなかった……。もうここは天国だよ。」
トリップしたかのように目を輝かせ饒舌に語りだした。
現代日本ならバイトのことを残念イケメンっていうんだろうなとルーズハルトは思ってしまった。
バイトはこの世界に転生してから、タガが外れたように己の欲求に正直になっていた。
その魔法に対する高い適性も相まって、バイトはブレーキが壊れてしまったかのように〝洗礼の儀〟から勉学に没頭していた。
しかもただ机にかじりついているのではなく、実験と称して町外れの丘の上で魔法の発動実験を行うほどであった。
その為魔導書の記載の誤りなどいくつもの発見をしていた。
どっからどうみても普通の幼児とは程遠い生活を送ってきていたのだ。
そして王都の屋敷にある書庫のまだ見ぬ書物を前にして、その暴走に拍車がかかりそうになっていたのだった。
「ねぇ、バイト君。無理はしちゃためだよ?」
クリッとした目をバイトに向けるエミリア。
そのあどけなさの中に垣間見える、オーフェリアを彷彿とさせるような女性としての笑みに、バイトもルーズハルトも面食らってしまったのだった。
それから3人は他愛のない話をして王都初日の夜を過ごしたのだった。
「じゃあゆっくり休んで明後日の入学試験頑張ろう!!」
「そうだねぇ~」
そして夜も更け王都初日は終わりを告げたのだった。
このときルーズハルトは知る由もなかった。
自分の人生を変える出来事が学園で起こるということを……
ハウエル家の居住区である4階に着くと、階段を上がった突き当り手前の部屋にハロルドは足を止める。
すると、その部屋の扉をゆっくりと開くと、バイトを中に案内する。
中は華美にならない程度の家具で統一されており、落ち着くことが出来ると確信できるほどであった。
バイトが中に入るのを確認したハロルドは、バイトに何やら耳打ちを行っていた。
ルーズハルトには距離があったため聞き取れなかったが、それを聞いたバイトが驚いていた。
「ありがとうございます、ハロルドさん。」
「いけませんよ坊ちゃま。私はあくまでも従業員。周りにどう思われるかお考えください。」
その話の感謝として頭を下げたバイト。
しかしそれを良しとしなかったのはハロルドであった。
どうやら使用人と主人家の関係があるためで、外聞を考えての教えであった。
「すまない。よろしく頼みますハロルド。」
「かしこまりました。」
それをすぐに理解したバイトは言葉を言いなおしていた。
ハロルドも理解の早いバイトにニコリと微笑むと、一礼をして部屋を後にした。
残されたバイトはというと、すぐに動き出したかったのかそそくさと部屋の奥へきていったのだった。
「それではお二人はゲストルームにご案内いたします。」
部屋から出てきたハロルドはルーズハルトとエミリアを連れて別の部屋へと案内を行った。
バイトの部屋からも少し離れており、どちらかと言えば階段により近くなったような印象だ。
「ではこちらのお部屋をお使いください。」
「ありがとうございます。」
案内された部屋に入ると、そこは自宅とは大違いな立派な造りとなっていた。
エミリアは喜びを爆発させたように、天蓋付きのベッドへダイブした。
そのベッドの反発力はかなりのもので、エミリアを優しく受け止めるように沈み込むと、すぐにボヨンと反発して見せた。
それがかなり面白かったのか、エミリアは何度もベッドの上で動いて見せた。
そのたびにベッドは包んでは反発するを繰り返していた。
それを見ていたルーズハルトはとても気まずい思いとなってしまい、ありがとうの言葉もどこか申し訳なさを含んでいた。
「何かあればそちらのボタンを押してください。屋敷の者が対応いたします。それでは失礼いたします。」
ハロルドも慣れたもので、特に咎める様子はなかった。
だが一言だけ、ケガをしないように窘められていたエミリア。
自分のテンションが爆上がりしていたことに気が付くと、顔を真っ赤にして膝を抱えてしまった。
そしてハロルドに示された物は一つの魔道具であった。
その魔道具を触ると、すぐに2階の事務所に連絡がいくようになっており、ゲストルーム専属の使用人が対応することになっていた。
「すごいねルー君。」
「ホントだな。こうやって見るとバイトが有力商会の息子だって理解できるね。」
調度品といい、部屋といい、非の打ちようがない仕上がりにルーズハルトたちは感嘆の声を上げるほかできなかった。
にも関わらずハロルドは満足していない様子であった。
ハロルドは今一度二人に頭を下げると、そのまま部屋を出ていった。
部屋に残された二人が漏らした言葉が、どれほどバイトが高い注目を集めているのが分かる。
コンコンコン
ルーズハルトとエミリアは歓迎の意味を込めた豪華な夕食に舌鼓を打ったあと、自室でゆっくりと時間を潰していた。
流石に二人とも食べすぎた自覚はあるのか、少しお腹のあたりをさすっていた。
すると、自室のドイの外からノックの音が聞こえてきた。
「はい、どうぞ。」
「やあ、ルーズハルト。部屋はどう?」
ルーズハルトたちのもとに訪れたのはバイトであった。
未だ緊張感が抜けないルーズハルトに対し、バイトはどこか満足している様子だった。
「快適だよ……って言いたいけど、家とは大違いでおっかなびっくりさ。それよりバイト、なんかいいことあったの?にやけ過ぎだよ?」
ルーズハルトの指摘どおり、バイトの顔は綻んでいた。
正直、今の顔を街のの奥様方に見られたら、恐らく狂喜乱舞するのではないかと思えるほどであった。
「それがさ、ハロルドが用意してくれた書庫なんだけど……僕には天国だった。辞書や歴史書、魔導書なんかも今まで見たことのないものばかりだったよ。しかも書庫全体に不壊の刻印式魔法陣が書かれていて、僕がどれだけ実験してもびくともしなかった……。もうここは天国だよ。」
トリップしたかのように目を輝かせ饒舌に語りだした。
現代日本ならバイトのことを残念イケメンっていうんだろうなとルーズハルトは思ってしまった。
バイトはこの世界に転生してから、タガが外れたように己の欲求に正直になっていた。
その魔法に対する高い適性も相まって、バイトはブレーキが壊れてしまったかのように〝洗礼の儀〟から勉学に没頭していた。
しかもただ机にかじりついているのではなく、実験と称して町外れの丘の上で魔法の発動実験を行うほどであった。
その為魔導書の記載の誤りなどいくつもの発見をしていた。
どっからどうみても普通の幼児とは程遠い生活を送ってきていたのだ。
そして王都の屋敷にある書庫のまだ見ぬ書物を前にして、その暴走に拍車がかかりそうになっていたのだった。
「ねぇ、バイト君。無理はしちゃためだよ?」
クリッとした目をバイトに向けるエミリア。
そのあどけなさの中に垣間見える、オーフェリアを彷彿とさせるような女性としての笑みに、バイトもルーズハルトも面食らってしまったのだった。
それから3人は他愛のない話をして王都初日の夜を過ごしたのだった。
「じゃあゆっくり休んで明後日の入学試験頑張ろう!!」
「そうだねぇ~」
そして夜も更け王都初日は終わりを告げたのだった。
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