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第2章 転生したらしい
第9話 これからの選択
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「そう、〝洗礼の儀〟。教会で毎年この時期になると、その年に5歳を迎える子全てに受けさせるものなんだ。ただ、この国の国教とは言え、宗教の自由も認めている国だから、しない子供もいるのは事実だけどね。」
「だけど、この世界で宗教の自由を認めるとか、すごいなこの国。」
バイトの説明にルーズハルトは一人うなりを上げる。
それもそのはずで、こういった世界を舞台にしたライトノベルでは大概一神教が話に出てきていた。
ルーズハルトたちもそういうものだと思っており、まさか一国で複数の宗教が混在するとは思いもしなかったのだ。
「それで、その〝洗礼の儀〟を受けるメリットは?」
「特性の把握ってことらしいよ。」
バイトからもたらされた情報に、ルーズハルトは首をかしげていた。
エミリアはあまり興味がないのか、うんうんと聞くだけで話に入ろうとはしなかった。
「つまり〝ステータス〟的な?」
「いや、そこまでは分からない。記録を調べても意外とみんな口が堅いみたいなんだ。強いて言えば、自分の魔力の性質・方向性が示されるっと事みたいだね。」
軽く肩を竦めるバイト。
ルーズハルトもさほどその情報は重要視しておらず、そうなんだ程度に話を納めた。
「当面の問題はこの世界で生きていくかの選択……か。」
「え?そうじゃないの?」
ルーズハルトが真剣な面持ちでバイトの目を見つめた。
だが、エミリアは違っていたようだった。
おそらく帰ることは不可能だと思っていたからだ。
「ねぇ綾。僕たちにもとには戻れないって言ったのは誰だい?」
「え?女神……様?」
なぜ疑問形なのかは置いておいて、バイトの問にエミリアは、首をひねっていた。
「そうだね、フェイルノルドは僕たちに地球へは戻れないといった。フェイルノルドはね。じゃあ、この世界の神様はそういうと思う?」
追加された問にまたも首をひねり考え込むエミリア。
「ん~ん。わからないね。」
出た答えは分からないだった。
「そう、わからないんだ。だから真一はどうしていくかと問いかけたんだよ。」
「なるほど~」
ようやく内容を理解できたのか、エミリアはウンウンと頷いてみせた。
「さて、綾も理解したことだし伊織はどうする?」
「それを僕に聞くのかい?」
二人はニヤリと笑い合う。
「「この世界で!!」」
二人の声は見事にハモっていた。
「ホント男子は……」
呆れ顔の綾を尻目に二人の笑い声が部屋全体を包み込んでいた。
コンコンコン
そんな空気を変えるように、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
慌てた三人は咳払いをすると子供モードへ意識を切り替える。
そう、この部屋にいるのは4歳児3人なのだから。
「あら、3人とも楽しそうね?」
部屋に現れたのはオーフェリアとケイトだった。
二人の手にはお盆があり、その上にはジュースとお貸しが準備されていた。
「そろそろ御茶の時間だったからこっちにも持ってきたわよ。エミー、手伝ってちょうだい。」
「はーい。」
エミリアは元気よく立ち上がり、片手を目一杯上に挙げていた。
これはいいと考えたバイトはルーズハルトを部屋の隅に連れけむ。
「なぁ、真一……。これって絶対フェイルノルドのいやがらせだよね?」
「伊織もそう思うか?やっぱりそうだよな。次あったら絶対に許さない!!」
バイトとルーズハルトの意見は一致しており、互いに頷きあうとガシリと握手を交わす。
見た目4歳児がやる行動とは思えないが、中身がすでに20歳を超えている二人からすれば、何らおかしいことではなかった。
「ほら二人ともこっちにおいで、お茶にしましょう。」
オーフェリアの呼びかけで二人はテーブルへと向かう。
テーブルにはクッキーなどのお茶請けと、搾りたてと思われるジュースが並んでいた。
オーフェリアとケイトは自分たちようにお茶を用意していたようだった。
「そうだケイト。今度の〝洗礼の儀〟どうするか決めているの?」
「そうね……。王都の商業ギルドからは王都の聖堂でやるようにって話が来てるけど、正直面倒で……。絶対にうちの子を引き抜こうとしてくる奴らが出てくるんだもの。いくら私が貴族の出で、あの人が商才に優れているからって、露骨に足を引っ張ろうとしているのが見え見えよ。」
楽しいお茶会を期待していたルーズハルトだったが、そこには女性の愚痴大会が開かれていた。
男二人は昼間からお酒を呑み始め、いろいろと面倒なことになっていた。
オーフェリアたちは扱いに面倒と感じ、おやつの準備と称して逃げ出してきていた状態だった。
だったら子供たちのためのお茶会にすればいいのにと思うルーズハルトだったが、言わぬが華であることを肌で感じていたのだった。
「オーフェリアのところは町の教会で済ませるつもりでしょ?」
「そうね、わざわざ王都に行ってまですることじゃないわ。それに畑もあるし、あの人が行くとは思えないわ。」
一瞬王都に行けるのでは?と期待していたルーズハルトの淡い期待は一瞬にして消し飛んでい行った。
母親たちの言葉にルーズハルトが一喜一憂していると、話は子供たちの成長の話へと移っていった。
「だけど、この世界で宗教の自由を認めるとか、すごいなこの国。」
バイトの説明にルーズハルトは一人うなりを上げる。
それもそのはずで、こういった世界を舞台にしたライトノベルでは大概一神教が話に出てきていた。
ルーズハルトたちもそういうものだと思っており、まさか一国で複数の宗教が混在するとは思いもしなかったのだ。
「それで、その〝洗礼の儀〟を受けるメリットは?」
「特性の把握ってことらしいよ。」
バイトからもたらされた情報に、ルーズハルトは首をかしげていた。
エミリアはあまり興味がないのか、うんうんと聞くだけで話に入ろうとはしなかった。
「つまり〝ステータス〟的な?」
「いや、そこまでは分からない。記録を調べても意外とみんな口が堅いみたいなんだ。強いて言えば、自分の魔力の性質・方向性が示されるっと事みたいだね。」
軽く肩を竦めるバイト。
ルーズハルトもさほどその情報は重要視しておらず、そうなんだ程度に話を納めた。
「当面の問題はこの世界で生きていくかの選択……か。」
「え?そうじゃないの?」
ルーズハルトが真剣な面持ちでバイトの目を見つめた。
だが、エミリアは違っていたようだった。
おそらく帰ることは不可能だと思っていたからだ。
「ねぇ綾。僕たちにもとには戻れないって言ったのは誰だい?」
「え?女神……様?」
なぜ疑問形なのかは置いておいて、バイトの問にエミリアは、首をひねっていた。
「そうだね、フェイルノルドは僕たちに地球へは戻れないといった。フェイルノルドはね。じゃあ、この世界の神様はそういうと思う?」
追加された問にまたも首をひねり考え込むエミリア。
「ん~ん。わからないね。」
出た答えは分からないだった。
「そう、わからないんだ。だから真一はどうしていくかと問いかけたんだよ。」
「なるほど~」
ようやく内容を理解できたのか、エミリアはウンウンと頷いてみせた。
「さて、綾も理解したことだし伊織はどうする?」
「それを僕に聞くのかい?」
二人はニヤリと笑い合う。
「「この世界で!!」」
二人の声は見事にハモっていた。
「ホント男子は……」
呆れ顔の綾を尻目に二人の笑い声が部屋全体を包み込んでいた。
コンコンコン
そんな空気を変えるように、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
慌てた三人は咳払いをすると子供モードへ意識を切り替える。
そう、この部屋にいるのは4歳児3人なのだから。
「あら、3人とも楽しそうね?」
部屋に現れたのはオーフェリアとケイトだった。
二人の手にはお盆があり、その上にはジュースとお貸しが準備されていた。
「そろそろ御茶の時間だったからこっちにも持ってきたわよ。エミー、手伝ってちょうだい。」
「はーい。」
エミリアは元気よく立ち上がり、片手を目一杯上に挙げていた。
これはいいと考えたバイトはルーズハルトを部屋の隅に連れけむ。
「なぁ、真一……。これって絶対フェイルノルドのいやがらせだよね?」
「伊織もそう思うか?やっぱりそうだよな。次あったら絶対に許さない!!」
バイトとルーズハルトの意見は一致しており、互いに頷きあうとガシリと握手を交わす。
見た目4歳児がやる行動とは思えないが、中身がすでに20歳を超えている二人からすれば、何らおかしいことではなかった。
「ほら二人ともこっちにおいで、お茶にしましょう。」
オーフェリアの呼びかけで二人はテーブルへと向かう。
テーブルにはクッキーなどのお茶請けと、搾りたてと思われるジュースが並んでいた。
オーフェリアとケイトは自分たちようにお茶を用意していたようだった。
「そうだケイト。今度の〝洗礼の儀〟どうするか決めているの?」
「そうね……。王都の商業ギルドからは王都の聖堂でやるようにって話が来てるけど、正直面倒で……。絶対にうちの子を引き抜こうとしてくる奴らが出てくるんだもの。いくら私が貴族の出で、あの人が商才に優れているからって、露骨に足を引っ張ろうとしているのが見え見えよ。」
楽しいお茶会を期待していたルーズハルトだったが、そこには女性の愚痴大会が開かれていた。
男二人は昼間からお酒を呑み始め、いろいろと面倒なことになっていた。
オーフェリアたちは扱いに面倒と感じ、おやつの準備と称して逃げ出してきていた状態だった。
だったら子供たちのためのお茶会にすればいいのにと思うルーズハルトだったが、言わぬが華であることを肌で感じていたのだった。
「オーフェリアのところは町の教会で済ませるつもりでしょ?」
「そうね、わざわざ王都に行ってまですることじゃないわ。それに畑もあるし、あの人が行くとは思えないわ。」
一瞬王都に行けるのでは?と期待していたルーズハルトの淡い期待は一瞬にして消し飛んでい行った。
母親たちの言葉にルーズハルトが一喜一憂していると、話は子供たちの成長の話へと移っていった。
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