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第2章 転生したらしい

第5話 「「ひみつ!!」」

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「そうだオーフェリア。例の件どうなってる?」

 食事を終えて暫しのんびりと食後のお茶を楽しんでいるとき、ルーハスは思い出したかのようにオーフェリアに訪ねた。
  
「それだったらいつでも良いそうよ?こちらの都合に合わせるって言っていたわ。」

 オーフェリアの返答にルーハスは「そうか」と言うと、少し考え込むように黙りそんでしまった。

「よし、じゃあ今日にでも顔合わせに行くか。」
「わかったわ。あちらにもそう伝えておくから。」

 ルーハスたちの会話を傍目に聞いていたルーズハルトたちは、二人がなんの会話をしているのか分からなかった。
 キョトンとした二人を見て、ルーハスはしまったと言う顔を見せてから慌てで二人に説明を始めた。

「二人にはまだ話していなかったけど、俺とオーフェリアには懇意にしている商人がいるんだ。」
「あなた、それじゃ分かりづらいわ。」

 説明を開始したルーハスをオーフェリアが待ったをかける。
 直ぐにオーフェリアが話を引き継いだ。

「私達にはエルモンド・ハウエルという幼馴染の商人が居るんだけど、ルー君とエミーが産まれた同じ時間に生まれた子がいるの。それで落ち着いたら顔合わせをしましょうって話になってたの。それでその時期を何時にしましょうか?ってなったのよ。」

 その話を聞いてルーズハルトはドキリとした。
 転生の際に伊織と綾は近くに転生させると女神フェイルノルドは明言していた。
 そして同日同時刻に産まれた子供。
 否が応でも考えてしまう。
 もしそれが正しく履行されていたら……
 
 ルーズハルトはエミリアに視線を送ると、互に見つめ合う形となった。
 互いに考えてることは同じだったようで、二人は少し涙を浮かべて笑い合っていた。

「どうしたんだい、ふたりとも?」

 そんな二人を不思議に思ったルーハス。

「「ひみつ!!」」

 二人揃って満面の笑みで言われてしまっては、これ以上追求はできないなと肩を竦めさせたルーハスだった。



 それからオーフェリアは善は急げと、ハウエル商会に連絡を取り、段取りを進める。
 この世界でも通話機と呼ばれる魔導具が普及しており、連絡手段に事欠かなかった。
 技術の進歩により携帯版の魔導具も近々売り出されるのではと商人の間でもっぱらの噂であった。

 ――閑話休題――

「エルモンドは今日でも良いそうよ。遅くなってもいけないから、伺いましょう。」
「よし、じゃあ今から行くか。歩いても10分かからないだろうし、ルーズハルトとエミリアは着替えておいで。」

 連絡を終えたオーフェリアの話で、行くことが決定した。
 ルーハスも同意見だったようで、ルーズハルトたちに着替えるよう促した。



「ねぇ、ルー君。これから会う子って男の子かな?女の子かな?」
「無理しなくていいよ。十中八九伊織だから。」

 自室に戻ったエミリアは、どこかソワソワしていた。
 新たな友達との出合いに心躍らせる、そんな空気感だった。
 だが、ルーズハルトはそれが作られたものだとすぐに気がついた。
 両親の手前子供を装う必要があったからだ。

「もう、わかってるよ。だって、伊織くんに間違いないし。何と言っても私の伊織君センサーがそうだって言ってるもの!!」

 何故か自信満々のエミリアに、どこからくる自信なのか問いただしたい衝動に駆られるも、なんとか抑え込んだルーズハルト。

「まずは会ってからだね。違ったら恥ずかしいよ?」
「ルー君のイジワル!!」

 恥ずかしさで赤くなった頬をプクリとふくらませるエミリア。
 その様子は年相応と言って良いのか、可愛らしいものであった。
 小動物を見ている気になってしまったルーズハルトは、和みきった顔付きになっていた。

「おっと、早く着換えないで父さんたちに怒られるね。」
「うん、そうだね……。ねぇルー君……覗いたらメだからね!!」

 そう言うとエミリアは、自分の着替え用にとルーハスに準備してもらった場所に駆けこむと勢いよくカーテンを締めた。

「だめだからね!!」

 カーテンの隙間からヒョコリと顔を出したエミリアは、顔を真っ赤に染めていた。

「恥ずかしいならやらなきゃいいのに……」

 そんなエミリアの行動に少し困惑してしまったルーズハルトなのであった。



「おまたせ!!」
「お、やっぱりエミリアは何を着てもかわいいなぁ~。」

 エミリアは着替えが終わると待ちきれなかったのか、すぐに部屋を飛び出していった。
 その後を服の後片付けを終えたルーズハルトが追いかける。
 ダイニングには先に準備を終えたルーハスがのんびりとお茶を飲んでいた。

「エミー、ちゃんとかたづけなきゃだめだよ。」
「む~、だっでぇ~まちきれなかったんだもん……」

 しばし幼児タイムの二人はぎこちない言葉遣いで会話を進める。
 本来であればお小言を言いたい気分のルーズハルトだったが、流石に無理があるだろうと思い、子供らしい注意で収めていた。

「ハッハッハッ!!エミリアは片付けが苦手か。その点ルーズハルトはお兄ちゃんしてるみたいだな。偉いぞ!!」

 ルーハスは問答無用でルーズハルトの頭をワシャワシャとか撫でる。
 その乱暴さに少し痛みを感じるものの、けっして嫌いではないルーズハルトなのであった。

「お持たせ、それじゃあ行きましょうか。」

 最後に準備を終えたオーフェリアが合流し、ハウエル商会に向けで移動を開始したのだった。
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