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第1章 最強の近距離魔導騎士
第6話 撤退作戦
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「ルーズハルト殿……そなたは……」
ラインバッハからの小さな声の問いかけに、ルーズハルトは少しだけ困ったように笑っていた。
それを察したラインバッハは頭を振ると、その推測を頭の隅から追いやることにした。
今は部下の手当を優先しようと。
「動けるものは負傷者にポーションを!!回復職直ちにマナポーションを服用、重症者の処置に当たれ!!一秒も無駄にするな!!」
ラインバッハの覇気の乗った声に、騎士たちは一斉に反応する。
誰からも否はなく、迅速に行動を始めたのだ。
「いや~、人徳だねぇ~。」
ルーズハルトはその光景に舌を巻いた。
ここにいるのはほとんど寄せ集めに近い部隊だということは装備品の印を見れば一目瞭然だ。
騎士たちの装備には部隊識別のため、各隊の数字が刻まれている。
ラインバッハの部隊で言えば【335○】のように。
今いるものたちの装備も同じで、○には各小隊の部隊番号が刻まれている。
その番号がバラバラなのだから寄せ集めと言っても差し支えなかった。
その寄せ集め部隊がラインバッハの号令を受けて、一つの目的のために迅速に動く。
これは並大抵の指揮官にできるものではないのだ。
「ルーズハルト様には無理ですね。」
あら方物資譲渡が完了したイザベルが、ルーズハルトのつぶやきに返答をした。
だがその表情は若干冷たいものであった。
「イザベルさんよ……君一応は俺の部下だよね?」
「部下だからこその忠言です。これを機に少しは上司らしくなってください。」
イザベルの返しに顔を背けるルーズハルト。
そのやり取りはあまりにも自然で、普段からこの様な関係性であることが伺い知れた。
ラインバッハたちが治療に当たっている頃、後方から数人の男女が姿を表した。
「隊長、おまたせ。いやぁ~途中で嫌味な騎士とすれ違って散々でしたよ。」
「ご苦労さま。早速ですが、物資をあの方たちに渡してください。終わり次第リズとケリーは炊き出しの用意を、ライガー達は周囲の警戒に出てください。」
疲れた疲れたという感じを出しつつ、身体を解し始めた男女に、イザベルが指示を出していく。
ライガー達もその指示に従って行動を開始する。
そこには違和感などなくあたかもイザベルが隊長だと言わんばかりであった。
「さすがイザベル隊長。指示が迅速ですな。」
ルーズハルトは若干の皮肉を込めてイザベルに向けてつぶやく。
イザベルは特段気にした様子は見せなかった。
その様子にライガー達は肩を竦めてその場を後にしたのだった。
「助かりました。なんと感謝を述べていいのか。」
あら方治療を終えたラインバッハは、改めて例を述べにルーズハルトの元を訪れていた。
傍らには一人の青年を連れて。
「気にしないでください。我々は任務でこちらに来ているのですから。」
ルーズハルトの言葉を否定するように、ラインバッハは頭を振る。
「この場に来ていただいたのがあなたのような方で大いに助かりました。こうして隊員一同無事にこの場を切りるけたのです。感謝しても感謝しきれない。」
ラインバッハは人目をはばからずルーズハルトに頭を下げた。
それに呼応するように隣の青年騎士も頭を下げる。
更に近くの騎士に伝播し、最後は皆ルーズハルトに頭を下げていた。
ルーズハルトは若干の居心地の悪さをかんじ、頭を上げるように迫った。
ラインバッハはそれでは気が済まないと、逆に迫ってきていた。
「これ以上の礼は不要です。それにまだ終わってないでしょ?日が暮れるまでにはこの場から撤退しましょう。もう少し戻れば野営に使えそうな高台がありますから。」
「重ね重ね感謝いたす。」
一度上げた頭を再度軽く下げてその場をあとにするラインバッハ。
若干疲れた様子を見せるルーズハルトを横目に、イザベルは不服そうであった。
「どうして素直に礼を受けなかったのです?」
「ん?あぁ、あれね。俺は今第3騎士団の第3大隊大隊長から依頼で来てるからね。あのまま騎士の礼を受け取れなかったってわけさ。」
肩をすくめてをめんどくさいだろう?と言いたげなルーズハルト。
イザベルに向けても騎士団の人間であるためにそれはすぐに理解できた。
人とはなんと面倒くさい生き物なのだろうか。
それがイザベルの率直な感想であった。
それからの行動は迅速であった。
ポーション類の効き目は抜群で、先程までの苦しんでいた負傷兵も今は落ち着きを取り戻していた。
中には自力移動も可能になったものも多く、行軍には問題なさそうな状況であった。
「自力で歩けるものは持てる荷物を持て!!負傷者は使用可能な馬車を使う!!」
こうしてフェンガーの無謀な作戦で死を間近に感じていたラインバッハの部隊は命からがら戦場を離脱することが出来た。
離れる前にその戦場脇に作られた簡素な墓に向かい回復職が祈をお捧げた。
回復職のその大半が教会にも所属しており、今居る回復職たちも下位とはいえれっきとしたシスターであった。
シスターたちの祈りに合わせ、騎士たちも一同に騎士の礼を行った。
ここが戦場跡で荒れ果てた地だとは思えないほどの荘厳な空気が辺りを包み込んでいた。
「お主たちの命……無駄ではなかったぞ!!出発だ!!」
祈りのあと高らかに宣言するラインバッハ。
今ここに劣化龍種の襲撃に端を発した撤退戦は、集結を迎えたのだった。
ラインバッハからの小さな声の問いかけに、ルーズハルトは少しだけ困ったように笑っていた。
それを察したラインバッハは頭を振ると、その推測を頭の隅から追いやることにした。
今は部下の手当を優先しようと。
「動けるものは負傷者にポーションを!!回復職直ちにマナポーションを服用、重症者の処置に当たれ!!一秒も無駄にするな!!」
ラインバッハの覇気の乗った声に、騎士たちは一斉に反応する。
誰からも否はなく、迅速に行動を始めたのだ。
「いや~、人徳だねぇ~。」
ルーズハルトはその光景に舌を巻いた。
ここにいるのはほとんど寄せ集めに近い部隊だということは装備品の印を見れば一目瞭然だ。
騎士たちの装備には部隊識別のため、各隊の数字が刻まれている。
ラインバッハの部隊で言えば【335○】のように。
今いるものたちの装備も同じで、○には各小隊の部隊番号が刻まれている。
その番号がバラバラなのだから寄せ集めと言っても差し支えなかった。
その寄せ集め部隊がラインバッハの号令を受けて、一つの目的のために迅速に動く。
これは並大抵の指揮官にできるものではないのだ。
「ルーズハルト様には無理ですね。」
あら方物資譲渡が完了したイザベルが、ルーズハルトのつぶやきに返答をした。
だがその表情は若干冷たいものであった。
「イザベルさんよ……君一応は俺の部下だよね?」
「部下だからこその忠言です。これを機に少しは上司らしくなってください。」
イザベルの返しに顔を背けるルーズハルト。
そのやり取りはあまりにも自然で、普段からこの様な関係性であることが伺い知れた。
ラインバッハたちが治療に当たっている頃、後方から数人の男女が姿を表した。
「隊長、おまたせ。いやぁ~途中で嫌味な騎士とすれ違って散々でしたよ。」
「ご苦労さま。早速ですが、物資をあの方たちに渡してください。終わり次第リズとケリーは炊き出しの用意を、ライガー達は周囲の警戒に出てください。」
疲れた疲れたという感じを出しつつ、身体を解し始めた男女に、イザベルが指示を出していく。
ライガー達もその指示に従って行動を開始する。
そこには違和感などなくあたかもイザベルが隊長だと言わんばかりであった。
「さすがイザベル隊長。指示が迅速ですな。」
ルーズハルトは若干の皮肉を込めてイザベルに向けてつぶやく。
イザベルは特段気にした様子は見せなかった。
その様子にライガー達は肩を竦めてその場を後にしたのだった。
「助かりました。なんと感謝を述べていいのか。」
あら方治療を終えたラインバッハは、改めて例を述べにルーズハルトの元を訪れていた。
傍らには一人の青年を連れて。
「気にしないでください。我々は任務でこちらに来ているのですから。」
ルーズハルトの言葉を否定するように、ラインバッハは頭を振る。
「この場に来ていただいたのがあなたのような方で大いに助かりました。こうして隊員一同無事にこの場を切りるけたのです。感謝しても感謝しきれない。」
ラインバッハは人目をはばからずルーズハルトに頭を下げた。
それに呼応するように隣の青年騎士も頭を下げる。
更に近くの騎士に伝播し、最後は皆ルーズハルトに頭を下げていた。
ルーズハルトは若干の居心地の悪さをかんじ、頭を上げるように迫った。
ラインバッハはそれでは気が済まないと、逆に迫ってきていた。
「これ以上の礼は不要です。それにまだ終わってないでしょ?日が暮れるまでにはこの場から撤退しましょう。もう少し戻れば野営に使えそうな高台がありますから。」
「重ね重ね感謝いたす。」
一度上げた頭を再度軽く下げてその場をあとにするラインバッハ。
若干疲れた様子を見せるルーズハルトを横目に、イザベルは不服そうであった。
「どうして素直に礼を受けなかったのです?」
「ん?あぁ、あれね。俺は今第3騎士団の第3大隊大隊長から依頼で来てるからね。あのまま騎士の礼を受け取れなかったってわけさ。」
肩をすくめてをめんどくさいだろう?と言いたげなルーズハルト。
イザベルに向けても騎士団の人間であるためにそれはすぐに理解できた。
人とはなんと面倒くさい生き物なのだろうか。
それがイザベルの率直な感想であった。
それからの行動は迅速であった。
ポーション類の効き目は抜群で、先程までの苦しんでいた負傷兵も今は落ち着きを取り戻していた。
中には自力移動も可能になったものも多く、行軍には問題なさそうな状況であった。
「自力で歩けるものは持てる荷物を持て!!負傷者は使用可能な馬車を使う!!」
こうしてフェンガーの無謀な作戦で死を間近に感じていたラインバッハの部隊は命からがら戦場を離脱することが出来た。
離れる前にその戦場脇に作られた簡素な墓に向かい回復職が祈をお捧げた。
回復職のその大半が教会にも所属しており、今居る回復職たちも下位とはいえれっきとしたシスターであった。
シスターたちの祈りに合わせ、騎士たちも一同に騎士の礼を行った。
ここが戦場跡で荒れ果てた地だとは思えないほどの荘厳な空気が辺りを包み込んでいた。
「お主たちの命……無駄ではなかったぞ!!出発だ!!」
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