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第6章 富士攻略編
122 ひとまずのゴール
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ゴゴゴゴ
軽い揺れを感じるほど、屋敷は揺れていた。
カイリは、何事かと思い部屋を出ようとドアノブに手をかけるも、びくともしなかった。
念の為と窓のサッシを動かそうとしてみるも、ハメ殺し窓のようで動く気配はなかった。
情報もなく、ただただ微振動が繰り返される。
コンコンコン
不意に来客を付けるノックの音がドアから聞こえてきた。
「はい。どちら様ですか?」
念の為と誰何を行うカイリ。
そこには懐かしいとさえ思える声が聞こえてきた。
「カイリ、大丈夫?!」
聞こえてきた声の主はカレンであった。
「カレンちゃん!?」
「良かった!!カイリ、危ないからドアから離れて!!」
カレンの声に従い、カイリは入り口ドアから離れる。
それと同時にドアが切り裂かれた。
カレンの魔法によるものだ。
「カイリ、無事でよかった!!」
部屋に飛び込むなりカイリに抱き着くカレン。
そのあとから遅れて入って来たアスカもまたカイリに抱き着く。
「早くここを出るよ。準備して。」
外を警戒しつつ、カイリ達に気を向けている歩に一つ頭を下げカイリは準備を始める。
本来の装備品は全て奪われてしまっていたので、予備の物を装着。
性能は一段劣るものの、それでも今はないよりましと考えて行動を開始した。
「歩さん!!」
「きなさったね。三人とも戦闘用意!!」
普段の気楽そうな態度とは打って変わって真剣そのものの歩の姿に、少し違和感を覚えつつも戦闘態勢に移行する3人。
「姉さん!!後方の援護を頼む、前方は俺が抑える!!歩さんも頼みます!!」
「龍之介、任せたわ!!」
由貴乃と龍之介も戦闘態勢に移行し、襲い来るモンスターたちの襲撃に備える。
しかし姿を現したものに6人全員が愕然としてしまった。
確かに気配はモンスターそのものだった。
そこにいたのは……自衛官であった。
「自衛隊!?どうして?!って【ウォークライ】!!【シールドマグニフィケーション】!!」
驚きつつも咄嗟に自分へヘイトを向けさせる龍之介。
この辺りは歴戦の探索者とでもいえばいいのだろうか。
早い判断により、すべての攻撃が龍之介へと集まっていく。
前に掲げられたタワーシールドは【シールドマグニフィケーション】のスキル効果によってその大きさを広げていった。
透明に拡大したシールドにぶつかる無数の弾丸。
弾丸は龍之介に対しては大して脅威とならなかったが、数が数だけにその衝撃は蓄積されていく。
「どうして自衛隊が俺たちを攻撃してくるんだ?!」
龍之介の疑問はもっともな物であった。
自分たちを守るはずの自衛隊が、自分たちの敵として立ち塞がる。
しかもその手には銃火器をもって。
「どうもこうもそう言う事なんじゃない?そもそもあたしたちが監禁された時点でそうだって事でしょ?」
若干の憤りを交えながら歩は答える。
この状況をどう乗り切るべきか思案するも全く答えが浮かばずにいた。
「【スロータイム】!!」
カレンが魔法を発動させる。
するとどうだろうか、突如として自衛官の動きが緩慢になったのだ。
むしろ、放たれた弾丸もまたゆっくりと動き出した。
「それほど持ちません、一気に突破しましょう!!」
カレンが声をかけると、皆一斉に走り出した。
由貴乃は殿に金属人形を出現させて、走り出す。
タワーシールドを前方に構えシールドチャージをかける龍之介。
ゆっくりと押しのけられて吹き飛ばされるという状況に何とも言えない気持ちになりながらも包囲網を崩していく。
突破し終えてもなお勢いそのままで走り抜ける。
6人の姿を視界に収める事が叶わなくなった自衛隊は、魔法が解けた瞬間に追跡を開始したのだった。
「こっちだ!!」
カイリ達が包囲網を突破してしばらく走ると、前方から声をかけられる。
見つかったかと思い、緊張感が否が応でも高まっていく。
「カイリちゃん!!こっちだ!!」
「谷浦さん!?」
カイリ達を呼んだのは、同じく捕まっていた谷浦であった。
谷浦はカイリ達を一室に引き入れると、周辺警戒をしつつそのドアをそっと閉じたのだった。
「こっちへ。」
「無事だったんですね。」
谷浦が先導するように部屋を進んでいく。
その後ろからアスカが谷浦に声をかける。
それは仲間の無事に安堵したからだ。
「その話はあとで。今はここを切り抜ける方が先だからね。」
そして部屋の隅に来ると、今度は壁の一部がゆっくりと動き始める。
音もなく壁が動くとそこにはさらに奥に続く道が現れた。
「着いてきて。」
そう言うと奥へ進んでいく谷浦。
その姿を見失わないようにと足早に奥へと足を踏み入れていった。
——————
「これはさすがと言えばいいのでしょうか……」
「黙れ……」
何度目かの打ち合いの末、一度仕切り直しとばかりに距離を開ける。
俺は乱れた呼吸を整えようと、ゆっくりと深呼吸をした。
岸和田総理も同様で、肩で息をしていた。
「さすがは中村さん。亜神になっただけはある。こちらも本気を出さざるを得ないようですな。」
「何を言ってるんだ?さっさと終わらせるぞ?」
感心したように頷く岸和田総理に、俺は苛立ちが止まらなかった。
そこ感情は声になり、岸和田総理に突き刺さっていく。
そしてまた俺たちの打ち合いが始まる。
ガキンガキンと元始天王の安置所内に金属音があちらこちらで聞こえてくる。
俺たちが高速戦闘をあまり、その一挙手一投足毎に衝撃波が発生していた。
それがダンジョンの壁にぶつかり地面を揺らす。
「やはり素晴らしい……素晴らしい肉体だ。依り代としてこれほどの物は準備できません。さすがとしか言いようがない。」
「黙れ!!」
俺の怒りのボルテージはガンガン急上昇していく。
俺たちの打ち合いはさらに続いていく。
既に何度切り結んだことか。
ついに互いの剣が悲鳴を上げる。
パギャン!!
今まで聞いた事の無い音と共に、両者の剣がついに砕け散ったのだ。
「これはすごい。初めての体験だ。まさかこの剣が砕けるとは……」
それでもまだ余裕を見せる岸和田総理。
対照的に俺の中に去来するのは、カイリへの思いだった。
少しでも早くカイリの元へ。
わかってはいる……
だが止まらない……
思えば思うほど俺の心が悲鳴を上げる。
そのたびに焦りが強くなってしまっていた。
「ではこれで最後としましょう。中村さん、その身体もらい受ける!!」
それまで本気では無かったと言わんばかりに駆け出す岸和田総理。
あまりの速さに一瞬その姿がぶれてしまうほどであった。
何処からともなく現れた剣を片手に握り切りかかる岸和田総理。
キン……
くるくると舞う切っ先。
トサン……
岸和田総理の握りしめていた剣は柄を残してすでに存在していなかった。
俺にはなぜか岸和田総理の動きが予測できた。
どういう攻撃を仕掛けてくるのか。
どのタイミングで攻めてくるの。
どの太刀筋で……
どの位の力で……
それらがすべて見えた時に俺は急に身体の力が抜けていたのが分かった。
そしてそれらの攻撃をすべていなし、最後の仕上げと、岸和田総理の剣を切り落とした。
「な、なぜ……?」
いまだ信じられないのか、岸和田総理は自分の武器に視線を送りそう呟いていた。
俺は手にした剣を岸和田総理に向けて振り下ろす。
右肩から左腰に向けて振り下ろされた剣は、吸い込まれるように岸和田総理の身体を切り開いていく。
それはまるで初めから用意されていた殺陣を演じていたかのように。
「【レベルドレイン】」
俺は命尽きかける岸和田総理に、スキルを発動する。
なぜかそうしなければならないと思ってしまった。
恐らく薄れ行く意識の中、岸和田総理は満足そうに笑みを浮かべていた。
死の間際に笑みを浮かべるってどんな心境なんだろうか……
俺には分からなかった。
「これで、やっと解放される……」
それが岸和田の最後の言葉だった。
『コングラッチレ~~~~~~ション!!素晴らしい!!やはりあなたがこの物語を完結させたのですね!!私の目に狂いはなかった!!』
突如聞こえるたのは苛立ちを感じさせる声。
忘れもしない……奴の声だ。
「【プロメテウス】……」
『おや?あぁ、そうですか。彼を吸収したのですね?ならば私の事も分かるはずですね。』
ゆっくりと【元始天王】の周りが歪み始める。
人一人通れるであろう大きさまでゆがみが広がると、中から一人の人物が姿を現した。
「改めまして。僕は~~~~~~~~~~!!神デス!!」
軽い揺れを感じるほど、屋敷は揺れていた。
カイリは、何事かと思い部屋を出ようとドアノブに手をかけるも、びくともしなかった。
念の為と窓のサッシを動かそうとしてみるも、ハメ殺し窓のようで動く気配はなかった。
情報もなく、ただただ微振動が繰り返される。
コンコンコン
不意に来客を付けるノックの音がドアから聞こえてきた。
「はい。どちら様ですか?」
念の為と誰何を行うカイリ。
そこには懐かしいとさえ思える声が聞こえてきた。
「カイリ、大丈夫?!」
聞こえてきた声の主はカレンであった。
「カレンちゃん!?」
「良かった!!カイリ、危ないからドアから離れて!!」
カレンの声に従い、カイリは入り口ドアから離れる。
それと同時にドアが切り裂かれた。
カレンの魔法によるものだ。
「カイリ、無事でよかった!!」
部屋に飛び込むなりカイリに抱き着くカレン。
そのあとから遅れて入って来たアスカもまたカイリに抱き着く。
「早くここを出るよ。準備して。」
外を警戒しつつ、カイリ達に気を向けている歩に一つ頭を下げカイリは準備を始める。
本来の装備品は全て奪われてしまっていたので、予備の物を装着。
性能は一段劣るものの、それでも今はないよりましと考えて行動を開始した。
「歩さん!!」
「きなさったね。三人とも戦闘用意!!」
普段の気楽そうな態度とは打って変わって真剣そのものの歩の姿に、少し違和感を覚えつつも戦闘態勢に移行する3人。
「姉さん!!後方の援護を頼む、前方は俺が抑える!!歩さんも頼みます!!」
「龍之介、任せたわ!!」
由貴乃と龍之介も戦闘態勢に移行し、襲い来るモンスターたちの襲撃に備える。
しかし姿を現したものに6人全員が愕然としてしまった。
確かに気配はモンスターそのものだった。
そこにいたのは……自衛官であった。
「自衛隊!?どうして?!って【ウォークライ】!!【シールドマグニフィケーション】!!」
驚きつつも咄嗟に自分へヘイトを向けさせる龍之介。
この辺りは歴戦の探索者とでもいえばいいのだろうか。
早い判断により、すべての攻撃が龍之介へと集まっていく。
前に掲げられたタワーシールドは【シールドマグニフィケーション】のスキル効果によってその大きさを広げていった。
透明に拡大したシールドにぶつかる無数の弾丸。
弾丸は龍之介に対しては大して脅威とならなかったが、数が数だけにその衝撃は蓄積されていく。
「どうして自衛隊が俺たちを攻撃してくるんだ?!」
龍之介の疑問はもっともな物であった。
自分たちを守るはずの自衛隊が、自分たちの敵として立ち塞がる。
しかもその手には銃火器をもって。
「どうもこうもそう言う事なんじゃない?そもそもあたしたちが監禁された時点でそうだって事でしょ?」
若干の憤りを交えながら歩は答える。
この状況をどう乗り切るべきか思案するも全く答えが浮かばずにいた。
「【スロータイム】!!」
カレンが魔法を発動させる。
するとどうだろうか、突如として自衛官の動きが緩慢になったのだ。
むしろ、放たれた弾丸もまたゆっくりと動き出した。
「それほど持ちません、一気に突破しましょう!!」
カレンが声をかけると、皆一斉に走り出した。
由貴乃は殿に金属人形を出現させて、走り出す。
タワーシールドを前方に構えシールドチャージをかける龍之介。
ゆっくりと押しのけられて吹き飛ばされるという状況に何とも言えない気持ちになりながらも包囲網を崩していく。
突破し終えてもなお勢いそのままで走り抜ける。
6人の姿を視界に収める事が叶わなくなった自衛隊は、魔法が解けた瞬間に追跡を開始したのだった。
「こっちだ!!」
カイリ達が包囲網を突破してしばらく走ると、前方から声をかけられる。
見つかったかと思い、緊張感が否が応でも高まっていく。
「カイリちゃん!!こっちだ!!」
「谷浦さん!?」
カイリ達を呼んだのは、同じく捕まっていた谷浦であった。
谷浦はカイリ達を一室に引き入れると、周辺警戒をしつつそのドアをそっと閉じたのだった。
「こっちへ。」
「無事だったんですね。」
谷浦が先導するように部屋を進んでいく。
その後ろからアスカが谷浦に声をかける。
それは仲間の無事に安堵したからだ。
「その話はあとで。今はここを切り抜ける方が先だからね。」
そして部屋の隅に来ると、今度は壁の一部がゆっくりと動き始める。
音もなく壁が動くとそこにはさらに奥に続く道が現れた。
「着いてきて。」
そう言うと奥へ進んでいく谷浦。
その姿を見失わないようにと足早に奥へと足を踏み入れていった。
——————
「これはさすがと言えばいいのでしょうか……」
「黙れ……」
何度目かの打ち合いの末、一度仕切り直しとばかりに距離を開ける。
俺は乱れた呼吸を整えようと、ゆっくりと深呼吸をした。
岸和田総理も同様で、肩で息をしていた。
「さすがは中村さん。亜神になっただけはある。こちらも本気を出さざるを得ないようですな。」
「何を言ってるんだ?さっさと終わらせるぞ?」
感心したように頷く岸和田総理に、俺は苛立ちが止まらなかった。
そこ感情は声になり、岸和田総理に突き刺さっていく。
そしてまた俺たちの打ち合いが始まる。
ガキンガキンと元始天王の安置所内に金属音があちらこちらで聞こえてくる。
俺たちが高速戦闘をあまり、その一挙手一投足毎に衝撃波が発生していた。
それがダンジョンの壁にぶつかり地面を揺らす。
「やはり素晴らしい……素晴らしい肉体だ。依り代としてこれほどの物は準備できません。さすがとしか言いようがない。」
「黙れ!!」
俺の怒りのボルテージはガンガン急上昇していく。
俺たちの打ち合いはさらに続いていく。
既に何度切り結んだことか。
ついに互いの剣が悲鳴を上げる。
パギャン!!
今まで聞いた事の無い音と共に、両者の剣がついに砕け散ったのだ。
「これはすごい。初めての体験だ。まさかこの剣が砕けるとは……」
それでもまだ余裕を見せる岸和田総理。
対照的に俺の中に去来するのは、カイリへの思いだった。
少しでも早くカイリの元へ。
わかってはいる……
だが止まらない……
思えば思うほど俺の心が悲鳴を上げる。
そのたびに焦りが強くなってしまっていた。
「ではこれで最後としましょう。中村さん、その身体もらい受ける!!」
それまで本気では無かったと言わんばかりに駆け出す岸和田総理。
あまりの速さに一瞬その姿がぶれてしまうほどであった。
何処からともなく現れた剣を片手に握り切りかかる岸和田総理。
キン……
くるくると舞う切っ先。
トサン……
岸和田総理の握りしめていた剣は柄を残してすでに存在していなかった。
俺にはなぜか岸和田総理の動きが予測できた。
どういう攻撃を仕掛けてくるのか。
どのタイミングで攻めてくるの。
どの太刀筋で……
どの位の力で……
それらがすべて見えた時に俺は急に身体の力が抜けていたのが分かった。
そしてそれらの攻撃をすべていなし、最後の仕上げと、岸和田総理の剣を切り落とした。
「な、なぜ……?」
いまだ信じられないのか、岸和田総理は自分の武器に視線を送りそう呟いていた。
俺は手にした剣を岸和田総理に向けて振り下ろす。
右肩から左腰に向けて振り下ろされた剣は、吸い込まれるように岸和田総理の身体を切り開いていく。
それはまるで初めから用意されていた殺陣を演じていたかのように。
「【レベルドレイン】」
俺は命尽きかける岸和田総理に、スキルを発動する。
なぜかそうしなければならないと思ってしまった。
恐らく薄れ行く意識の中、岸和田総理は満足そうに笑みを浮かべていた。
死の間際に笑みを浮かべるってどんな心境なんだろうか……
俺には分からなかった。
「これで、やっと解放される……」
それが岸和田の最後の言葉だった。
『コングラッチレ~~~~~~ション!!素晴らしい!!やはりあなたがこの物語を完結させたのですね!!私の目に狂いはなかった!!』
突如聞こえるたのは苛立ちを感じさせる声。
忘れもしない……奴の声だ。
「【プロメテウス】……」
『おや?あぁ、そうですか。彼を吸収したのですね?ならば私の事も分かるはずですね。』
ゆっくりと【元始天王】の周りが歪み始める。
人一人通れるであろう大きさまでゆがみが広がると、中から一人の人物が姿を現した。
「改めまして。僕は~~~~~~~~~~!!神デス!!」
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