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第5章 首都圏解放戦線
102 馬場 良治という男
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「いや~愉快愉快!!ある程度金は目減りしたが、あいつらがやられるんだったら安いもんだ!!」
ここは第29駐留部隊駐屯地の探索者キャンプ地。
ある程度の自主管理が求められる成果、アンダーグラウンドな探索者も交じっていたりする。
通称、闇ギルドである。
犯罪者でも探索者になれるように、違法に探索者証の作成なども請け負っている。
また、それ以外にも犯罪ギリギリの行為や、犯罪行為も行われていたりする。
そしてここに一人の男がやって来た。
元【ボルテージ】リーダーの馬場 良治だ。
馬場は、ケントたちに絡むもあっさり撃退され、元居たパーティーからも追い出されたのであった。
件の【ボルテージ】は馬場の一強独裁であったために、グループのメンバーはやむを得ず従っていたにすぎなかったのであった。
馬場が抜けた後、グループを率いた佐藤 一馬の元、今までの過ちを償う為に探索者ギルドで頭を下げ、自ら未踏破ダンジョンへ足を運ぶようになっていた。
それにより今は【ボルテージ】と言えば、名の知れたグループに成長していた。
馬場は一人放り出され、行き場をなくしていた。
馬場が酒場で一人飲んだくれていると、近寄ってきたのが、自衛官の工藤 誠であった。
工藤は加賀谷の協力者で、闇ギルドの一員でもあった。
馬場は工藤に言われるがまま、闇ギルドの一員となったのであった。
それからというもの、馬場はタガが外れたように悪事に加担するようになっていった。
ダンジョン内の盗賊行為もそのうちの一つだ。
また、自分の手駒となる探索者の確保にも余念がなかった。
腐っても上位探索者。
ケントたちには敵わなかったものの、一人でグループをまとめるほどの力量は持ち合わせていたのだ。
徐々にその勢力を拡大させていき、闇ギルド内でも中位につけるまでにのし上がっていた。
「それにしても、楽なもんだな。最初から俺はこっちでやってりゃよかったんだよ。ちまちまちまちまダンジョン潜るより快適ってもんだ!!なぁ~~~~~~っッはッは!!」
高笑いが外に聞こえるのも気にせず、酒を豪快に煽りながら両手に女の侍らしていた。
その女性もまた、馬場の恐怖政治の犠牲者の一人である。
彼女たちは肉親を馬場に抑えられ、命令に従うしかない状況にあったのだ。
「それにしてもあいつら……どんだけかかってんだ?すでに月単位で時間が過ぎてるだろうに……。まあ、逃げるってったってそんな度胸は有るわけねぇ~わな?お前も思うだろ?」
馬場は、隣に抱えてる女性に声をかける。
そう、彼女の肉親はまさにそのケントたちへの攻撃を仕掛けに行っていたのだ。
怯えて返事が出来ない女性に向かって馬場は、心底つまらなそうにしていた。
反抗の一つも期待していたが、全くその様子を見せなかったのだ。
「つまんねぇ~な、くそが!!あぁ~もいい!!俺は出るぞ!!」
馬場はそう言うと、おもむろに自身の上着を着用し、駐屯地内へと繰り出した。
中央付近まで行くと、何やら自衛隊の面々が慌ただしく動き回っていた。
何があったか分からなかった馬場は、取り巻きの一人に事情確認を指示した。
それからすぐに戻って来た取り巻きから事情を聴いた馬場は、大して気にしている様子は見られなかった。
馬場もまた、自衛隊が処理するだろうと考えていたからだ。
南から飛来する飛竜種を。
それからほどなくして迎撃が終わり、飛竜種の死骸が駐屯地内に運び込まれてきたのが見えた。
「なかなかいい素材が取れそうじゃねぇか。俺の装備に使えるように手配するか……おい今すぐ工藤さんに連絡を取れ。金に糸目付けずに素材を調達してこい!!」
馬場の指示を受けた取り巻きの一人が、猛ダッシュで自衛隊宿舎へと走っていった。
それを見た馬場は既に興味が無いようで、食事処兼酒場を目指して歩き始める。
丁度探索者ギルドのそばを通った時、馬場は驚きを隠せなかった。
忘れもしない男がそこにいたからだ。
そう、ケントの存在を確認したのだ。
馬場は狼狽えていた。
それはそうだろう、ケントは既に死んでいると思っていたからだ。
「なんであいつがいやがんだよ!!」
馬場は近くにいた取り巻きの一人を、八つ当たりのように蹴り飛ばした。
その蹴りの威力は凄まじく、蹴られた男性は苦悶の表情を浮かべている。
その足はあらぬ方向を向いており、一目で骨折していることが分かる状況だ。
それでも馬場は蹴ることをやめず、うずくまったままの男性は既にぼろ雑巾のようにぼろぼろになり薄汚れていた。
やっと気が済んだようで、馬場はその場を後にしたのだった。
一人路上に残されたその男性は、だれからも助けられることもなく息を引き取った。
——————
「懐かしいねぇ~。確かこの前もここにテント張ったっけな。今回もここでいいか。」
俺は前にテントを張った場所に改めて足を運んだ。
キャンプ地の端の端。
だいぶいなかった為か、下草が伸び放題伸びていた。
俺はそれを無駄に洗練された無駄な風魔法を使い、5分もかからず必要分の下草を刈り終えていた。
そのあと自分のテントを立てていくのだが、これもまたダンジョンに長く潜っていた為か、慣れたもので10分もかからず組み立て終わってしまった。
うん、なれとは恐ろしい物だね。
後は必要な物を準備して……と、数日間の拠点としては十分なものが出来上がった。
俺は、流れてすらいない汗を拭くような仕草をしながら、ふぅ~と一息ついた。
ただ、ここまで来ても、やはり何やら嫌な空気を感じが拭えない。
それは探索者ギルドを出てからずっと感じていた、監視するような視線だ。
『ケントさん、見られてますね。』
「そうだね。でもまぁ、それほど強い輩ではないから問題ないかな?」
タケシ君もその気配を感じ取っていたようで、俺に忠告をしてくれた。
俺としては大したことないとだろうと思っていたので、特段気にしてはいなかった。
むしろ気にしたところで下っ端なんだろうから、意味が無いと考えていた。
『なんぞ、お主はビビり過ぎだ。ケントに勝てる奴がここにいると思うてか?』
タクマもその気配の弱さを感じていたようで、ついでとばかりにタケシ君をからかいだした。
またも俺の精神内で、取っ組み合いを始めた二人。
仲が良いのは良いんだけど、出来れば外でやってくれるかな?
それからある程度夕食の準備も終わり、ゆっくりしていいると一人の男性が近寄って来た。
どこかで見た気がするが誰だったろうか?
その男性はさほど背は高いとは言えず、俺より少し低いくらいに見えた。
しかしその体つきはがっしりとしており、刈上げた短髪に目を向けると、額から左頬にかけて3本の切り傷が見えていた。
恐らく、獣系のモンスターにつけられた傷である事は間違いはなかった。
その雰囲気からも、それなりの修羅場をくぐっている事も伺えた。
「中村剣斗さんですね?初めまして……ではないですが、きちんと話をするのは初めてですね。俺は佐藤 一馬と言います。以前あなたにご迷惑をかけた【ボルテージ】のリーダーをやってます。」
佐藤さんはそう言うと、俺に向かって頭を下げた。
「その節は、誠に申し訳ありませんでした!!」
佐藤さんは、とてもよく通る声の持ち主のようで、そこら一帯にその声が響き渡っていた。
俺は【ボルテージ】と聞いてやっと思い出した。
「あぁ、あの時の……。でも、絡んできたの君じゃないよね?そいつはどうしたの?」
「おそらく馬場の事だと思います。馬場は即日【ボルテージ】より追放しました。俺たちは馬場の一強独裁に……恐怖政治に怯えていました。ですが、ケントさんのおかげで目が覚めました。ですので謝罪と感謝を伝えに来ました。」
またも頭を下げた佐藤に対し、俺は思うところは特になかった。
彼が悪いわけではなく、あの絡んできてたマッチョが悪いのだから。
「別に気にしていないから良いよ?この件はこれで終わりにしましょう。それに周りの目も気になるし出来ればやめてもらっていいかな?」
苦笑い交じりに俺がそう言うと、自分が迷惑を改めてかけていることに気が付いたようで、佐藤さんはバツの悪そうな顔をしていた。
俺はついでとばかりに、その馬場という男について話を聞いていた。
恐らく自分たちを襲ってきたパーティーへの依頼者であるからだ。
佐藤さんは自分が知り得る情報を教えてくれ。
その情報をもとに考えると、おそらくいまだにこちらを見張っている奴は 馬場の手下の【探索者】か、はたまた加賀谷の部下の自衛隊員か……
まあ、近いうちに行動を起こすのは明白だった。
ここは第29駐留部隊駐屯地の探索者キャンプ地。
ある程度の自主管理が求められる成果、アンダーグラウンドな探索者も交じっていたりする。
通称、闇ギルドである。
犯罪者でも探索者になれるように、違法に探索者証の作成なども請け負っている。
また、それ以外にも犯罪ギリギリの行為や、犯罪行為も行われていたりする。
そしてここに一人の男がやって来た。
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馬場は、ケントたちに絡むもあっさり撃退され、元居たパーティーからも追い出されたのであった。
件の【ボルテージ】は馬場の一強独裁であったために、グループのメンバーはやむを得ず従っていたにすぎなかったのであった。
馬場が抜けた後、グループを率いた佐藤 一馬の元、今までの過ちを償う為に探索者ギルドで頭を下げ、自ら未踏破ダンジョンへ足を運ぶようになっていた。
それにより今は【ボルテージ】と言えば、名の知れたグループに成長していた。
馬場は一人放り出され、行き場をなくしていた。
馬場が酒場で一人飲んだくれていると、近寄ってきたのが、自衛官の工藤 誠であった。
工藤は加賀谷の協力者で、闇ギルドの一員でもあった。
馬場は工藤に言われるがまま、闇ギルドの一員となったのであった。
それからというもの、馬場はタガが外れたように悪事に加担するようになっていった。
ダンジョン内の盗賊行為もそのうちの一つだ。
また、自分の手駒となる探索者の確保にも余念がなかった。
腐っても上位探索者。
ケントたちには敵わなかったものの、一人でグループをまとめるほどの力量は持ち合わせていたのだ。
徐々にその勢力を拡大させていき、闇ギルド内でも中位につけるまでにのし上がっていた。
「それにしても、楽なもんだな。最初から俺はこっちでやってりゃよかったんだよ。ちまちまちまちまダンジョン潜るより快適ってもんだ!!なぁ~~~~~~っッはッは!!」
高笑いが外に聞こえるのも気にせず、酒を豪快に煽りながら両手に女の侍らしていた。
その女性もまた、馬場の恐怖政治の犠牲者の一人である。
彼女たちは肉親を馬場に抑えられ、命令に従うしかない状況にあったのだ。
「それにしてもあいつら……どんだけかかってんだ?すでに月単位で時間が過ぎてるだろうに……。まあ、逃げるってったってそんな度胸は有るわけねぇ~わな?お前も思うだろ?」
馬場は、隣に抱えてる女性に声をかける。
そう、彼女の肉親はまさにそのケントたちへの攻撃を仕掛けに行っていたのだ。
怯えて返事が出来ない女性に向かって馬場は、心底つまらなそうにしていた。
反抗の一つも期待していたが、全くその様子を見せなかったのだ。
「つまんねぇ~な、くそが!!あぁ~もいい!!俺は出るぞ!!」
馬場はそう言うと、おもむろに自身の上着を着用し、駐屯地内へと繰り出した。
中央付近まで行くと、何やら自衛隊の面々が慌ただしく動き回っていた。
何があったか分からなかった馬場は、取り巻きの一人に事情確認を指示した。
それからすぐに戻って来た取り巻きから事情を聴いた馬場は、大して気にしている様子は見られなかった。
馬場もまた、自衛隊が処理するだろうと考えていたからだ。
南から飛来する飛竜種を。
それからほどなくして迎撃が終わり、飛竜種の死骸が駐屯地内に運び込まれてきたのが見えた。
「なかなかいい素材が取れそうじゃねぇか。俺の装備に使えるように手配するか……おい今すぐ工藤さんに連絡を取れ。金に糸目付けずに素材を調達してこい!!」
馬場の指示を受けた取り巻きの一人が、猛ダッシュで自衛隊宿舎へと走っていった。
それを見た馬場は既に興味が無いようで、食事処兼酒場を目指して歩き始める。
丁度探索者ギルドのそばを通った時、馬場は驚きを隠せなかった。
忘れもしない男がそこにいたからだ。
そう、ケントの存在を確認したのだ。
馬場は狼狽えていた。
それはそうだろう、ケントは既に死んでいると思っていたからだ。
「なんであいつがいやがんだよ!!」
馬場は近くにいた取り巻きの一人を、八つ当たりのように蹴り飛ばした。
その蹴りの威力は凄まじく、蹴られた男性は苦悶の表情を浮かべている。
その足はあらぬ方向を向いており、一目で骨折していることが分かる状況だ。
それでも馬場は蹴ることをやめず、うずくまったままの男性は既にぼろ雑巾のようにぼろぼろになり薄汚れていた。
やっと気が済んだようで、馬場はその場を後にしたのだった。
一人路上に残されたその男性は、だれからも助けられることもなく息を引き取った。
——————
「懐かしいねぇ~。確かこの前もここにテント張ったっけな。今回もここでいいか。」
俺は前にテントを張った場所に改めて足を運んだ。
キャンプ地の端の端。
だいぶいなかった為か、下草が伸び放題伸びていた。
俺はそれを無駄に洗練された無駄な風魔法を使い、5分もかからず必要分の下草を刈り終えていた。
そのあと自分のテントを立てていくのだが、これもまたダンジョンに長く潜っていた為か、慣れたもので10分もかからず組み立て終わってしまった。
うん、なれとは恐ろしい物だね。
後は必要な物を準備して……と、数日間の拠点としては十分なものが出来上がった。
俺は、流れてすらいない汗を拭くような仕草をしながら、ふぅ~と一息ついた。
ただ、ここまで来ても、やはり何やら嫌な空気を感じが拭えない。
それは探索者ギルドを出てからずっと感じていた、監視するような視線だ。
『ケントさん、見られてますね。』
「そうだね。でもまぁ、それほど強い輩ではないから問題ないかな?」
タケシ君もその気配を感じ取っていたようで、俺に忠告をしてくれた。
俺としては大したことないとだろうと思っていたので、特段気にしてはいなかった。
むしろ気にしたところで下っ端なんだろうから、意味が無いと考えていた。
『なんぞ、お主はビビり過ぎだ。ケントに勝てる奴がここにいると思うてか?』
タクマもその気配の弱さを感じていたようで、ついでとばかりにタケシ君をからかいだした。
またも俺の精神内で、取っ組み合いを始めた二人。
仲が良いのは良いんだけど、出来れば外でやってくれるかな?
それからある程度夕食の準備も終わり、ゆっくりしていいると一人の男性が近寄って来た。
どこかで見た気がするが誰だったろうか?
その男性はさほど背は高いとは言えず、俺より少し低いくらいに見えた。
しかしその体つきはがっしりとしており、刈上げた短髪に目を向けると、額から左頬にかけて3本の切り傷が見えていた。
恐らく、獣系のモンスターにつけられた傷である事は間違いはなかった。
その雰囲気からも、それなりの修羅場をくぐっている事も伺えた。
「中村剣斗さんですね?初めまして……ではないですが、きちんと話をするのは初めてですね。俺は佐藤 一馬と言います。以前あなたにご迷惑をかけた【ボルテージ】のリーダーをやってます。」
佐藤さんはそう言うと、俺に向かって頭を下げた。
「その節は、誠に申し訳ありませんでした!!」
佐藤さんは、とてもよく通る声の持ち主のようで、そこら一帯にその声が響き渡っていた。
俺は【ボルテージ】と聞いてやっと思い出した。
「あぁ、あの時の……。でも、絡んできたの君じゃないよね?そいつはどうしたの?」
「おそらく馬場の事だと思います。馬場は即日【ボルテージ】より追放しました。俺たちは馬場の一強独裁に……恐怖政治に怯えていました。ですが、ケントさんのおかげで目が覚めました。ですので謝罪と感謝を伝えに来ました。」
またも頭を下げた佐藤に対し、俺は思うところは特になかった。
彼が悪いわけではなく、あの絡んできてたマッチョが悪いのだから。
「別に気にしていないから良いよ?この件はこれで終わりにしましょう。それに周りの目も気になるし出来ればやめてもらっていいかな?」
苦笑い交じりに俺がそう言うと、自分が迷惑を改めてかけていることに気が付いたようで、佐藤さんはバツの悪そうな顔をしていた。
俺はついでとばかりに、その馬場という男について話を聞いていた。
恐らく自分たちを襲ってきたパーティーへの依頼者であるからだ。
佐藤さんは自分が知り得る情報を教えてくれ。
その情報をもとに考えると、おそらくいまだにこちらを見張っている奴は 馬場の手下の【探索者】か、はたまた加賀谷の部下の自衛隊員か……
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