90 / 131
第5章 首都圏解放戦線
086 予想外のモンスター
しおりを挟む
「やっぱりそうくるよ……な!!」
俺は空中から飛び降りる形で、ディフェンダーに向けて剣を振り下ろした。
ディフェンダーも来ることを予測していたようで、上方に盾を構えて受け止めて見せた。
「だったらこれでどうだ!!」
俺がディフェンダーに向けて連続で攻撃を仕掛けていると、俺の死角に回り込むようにしてナイトが接近してきた。
俺が対処できないと踏んでの行動だろうな。
「【結界】」
俺は、すぐさまナイトに向けて結界を複数枚張りなおす。
隙を伺って飛び掛かってきたナイトの顔面に見事ヒットし、ナイトはもんどりうって倒れ込んでしまった。
旨い事ナイトとディフェンダーが、俺に食いついてくれた。
どうやら、ナイトのプライドを刺激してしまったらしい。
思いっきり殺気が漏れていた。
俺は、それをお構いなしに次の行動に移った。
俺への攻撃を仕掛けるために、ナイトとディフェンダーが後衛から離れてくれていた。
その隙を逃すほど俺は甘くはない。
俺は一気に加速すると、ゴブリンの後衛組に攻撃を仕掛ける。
それに焦ったナイトとディフェンダーもつられて俺の方へ駆け出した。
よし釣れた!!
俺はゴブリンたちとの距離を測り、一撃離脱を繰り返す。
ゴブリンたちは、たまらず陣形を整え始めていた。
そしてついには、後衛を守るためにその陣形は密集形態に変わっていた。
——————
多田野はその陣形状態を見て、ケントが何をするつもりか理解した。
おそらく一気に倒しきった場合を知りたいのだろうと。
多田野もそれに答えようと武装を変える。
現在待機中の全ての砲身を一度キャンセルし、新たな砲身を作り出す。
6連装ミサイルランチャ―を6門。
多田野が扱える限界量だ。
多田野の作り出したミサイルランチャーは、タダのミサイルランチャーではない。
スキル【魔銃作成】によって作り出され、ミサイルはスキル【魔弾作成】によって作り出される。
つまり多田野次第で、いくらでも撃ち出せるということだ。
——————
タケシ君は俺の意図を理解したようで、戦闘準備を始めた。
しかも、きちんと牽制射撃はしてくれる有能っぷり。
何とかタケシ君の砲撃範囲に収まってくれた。
タケシ君に視線を送ると、小さくOKの合図をしてくれた。
というわけで、準備は完了かな?
俺はいまだ動き続けるゴブリンたちの足元に、ばれないように【結界】を配置した。
俺が一気に近づくと、マジシャンとヒーラーを守るように後退するゴブリンたち。
「足元注意。」
横目で多田野がやろうとしていることを察したケントは、5匹の足元に瞬時に【結界】を展開する。
動こうとした5匹は足元に急に出現した障害物に足を取られ、つんのめって地面とキスをすることになった。
それを確認する前にその場から俺は離脱した。
次の瞬間。
パシュ~ン、パシュ~ンっという気の抜けた発射音が連続で響き渡った。
少しの静寂の後、さっきまで俺が居た場所は火の海と化した。
それでも容赦なく撃ち込まれるミサイル群に、ゴブリン達も成す術が無かったようだ。
タケシ君が撃ち込みを止めると、そこには何も残っていなかった。
そう、何もだ。
綺麗に魔法陣が消え去っていたのだ。
ただ、消えたのはマジシャンとヒーラーが出現した2つのみだが。
これは嬉しい誤算だった。
何かのはずみで、魔法陣が消えてしまったようだった。
これは紛れもない事実。
俺は心の中で歓喜した。
おそらくこれが、このボス部屋の正しい攻略方法だからだ。
タケシ君は一気呵成に攻め立てた。
ジェネラルもまた群れのリーダーだった。
ジェネラルは大声で叫んだ。
その叫びにつられて、ワンテンポ早く召喚されたゴブリン達。
しかし、それでもミサイル群をどうこうすることも出来ずに、魔法陣と共に消滅してしまった。
「ギュギョギョギョギャ!!!!」
怒りを増して叫ぶジェネラル。
これで何とかなると思い、一瞬気を抜いていた。
ざくり……
タケシ君の足が突如として切り裂かれたのだ。
いつ誰にどうやって!!
タケシ君は今の状況を理解できないでいるようだった。
今現在ジェネラルは剣を振っていない。
スキルも発動した形跡も見られない。
ならなぜ……
すぐに手持ちのポーションで傷を回復したタケシ君は、周辺警戒を行った。
だがそこには何もいなかった。
俺もまた正体不明の攻撃に、少しだけ焦りを感じていた。
もし今の攻撃が首元に来ていたら、一瞬にしてアウトだ。
見えない敵、見えない攻撃……
ただ見えないというだけどこれほどまでに恐ろしい相手へと変貌するとは。
ってあれ?
どうして魔法陣は5個だと思ったんだ?
俺たち探索者の様に、こいつらは縛られていないはずでは?
俺は慌てて周囲の魔素の流れを確認した。
ヒーラーたちを倒した魔素は……
上か?!
「タケシ君上だ!!魔法陣がもう一個!!」
「くそ!!やられた!!」
タケシ君は叫ぶと同時に、展開中のミサイルランチャーを天井に向けて、全弾射出しようと試みた。
しかしその攻撃も未遂で終わってしまった。
「ぐわぁ!!」
タケシ君は太ももを切り裂かれ一瞬バランスを崩してしまう。
それほど深くはないだろうけど、隙を作りには十分すぎる。
そしてその攻撃を受けた瞬間に俺が見たものは……
「ゴブリンアサシンか!!」
そう、不可視の攻撃を仕掛けていたのは、天井に設置された魔法陣から出現したゴブリンアサシンだった。
ジェネラルの派手な演出も、全ては天井のゴブリンアサシンの魔法陣から俺たちの注意をそらすためだった。
ジェネラルはその隙に、天井の魔法陣からアサシンを呼び出して潜ませていた。
決定的なスキを突くために。
その決定的な隙とは、残り5匹の眷属が倒された瞬間……
俺たちはまんまとジェネラルの策に引っ掛かってしまったみたいだ。
攻撃した後すぐに姿を消そうとしたアサシンに、俺は特攻を仕掛けた。
手にした盾を使い盛大に吹き飛ばす。
吹き飛ばされたアサシンは空中で態勢を整えて、きれいに着地した。
タケシ君は俺とアサシンのやり取りの最中に、すぐにポーションを傷口にぶっかけて問題はなさそうだった。
その間ジェネラルはその場を動かなかった。
もしかしたら、その場から動けなかったのかもしれない。
考えてみればあの場所に来てからジェネラルはほとんど動いていない。
何かしらの制約があるのかもしれないが、今はアサシンをどうにかしないといけないな。
アサシンは着地後すぐにその姿を消した。
スキル【気配遮断】よりも優れた効果の様だった。
何せ俺たちのみている目の前でその姿を消して見せたんだから。
タケシ君は再度【ミサイルランチャー】を魔法陣に向けて発射した。
しかも切れたせいかその数がさっきの比ではなかった。
これに焦ったのか、アサシンは姿を現しタケシ君に攻撃を仕掛けてきた。
だけどタケシ君は焦った様子はなく、薄っすらと笑みを浮かべていた。
「そう来ると思ってたよ。」
タケシ君がそう言うと、ミサイルの一部がジェネラルとアサシンに向かって飛翔した。
それに慌てたジェネラルとアサシンは、すべての行動をキャンセルして回避行動を始めた。
俺はタケシ君が作った隙を見逃さずにアサシンに斬りかかる。
タケシ君の放ったミサイルは俺をことごとく避けてアサシンに命中させた。
何発かを回避したアサシンだったが、ついにその時が訪れる。
俺はアサシンの足元に気付かれないように結界を展開した。
それに気づくとなくアサシンは見事にバランスを崩してくれた。
一瞬体勢が崩されかけたアサシンは、無防備に姿を晒してしまった。
そこに狙いすましたかのように、タケシ君がライフルで見事に心臓部分を撃ち抜いてくれた。
見事に撃ち抜かれた心臓部分を手で触り、そのまま消えていくアサシン。
その表情には悔しさが見て取れた……
気のせいだよな?
残されたジェネラルは……
それでもまだ余裕の表情を浮かべていた。
「あいつはさすがに倒せる自信はありませんよ……」
タケシ君の言葉は、今の現状を鮮明に物語っていた。
度重なる魔弾の使用で、SPが切れかけたのか息も絶え絶えだった。
その状況を見て、俺はこの戦いを終わらせることを決めた。
「わかった。ジェネラルは俺がもらう。」
俺はそう言うと、ジェネラルに向けて左手を突き出した。
「【レベルドレイン】」
無情な宣告がボス部屋に響き渡る。
ジェネラルは何が起こるのかわからず、まだニヤニヤとうすら笑みを浮かべている。
そして俺が突き出した左手を握りしめる。
ドサリ……
ジェネラルはそのまま前のめりで倒れこんだ。
そしてぴくりとも動かず、ただ静かに横たわっている。
ほんの一瞬の出来事だ。
俺からしたら当たり前すぎる結果だった。
それだけこのスキルは異常すぎるから。
次第にジェネラルの身体は消えてゆき、そこにはドロップアイテムだけが残されていたのだ。
「ケントさん……。そのスキル、チートじゃないですか……」
「ん?まぁ、そうだね。動かれると面倒臭いけど、ああやって止まっている奴はもろに鴨だからね。」
呆れ顔のタケシ君と共に、ジェネラルが居た場所へ移動していた。
床に散らばるドロップアイテムを集め、ボス部屋中央でその確認を行っていた。
「ケントさん、意外と豊作じゃないですか?」
「そうだね。おそらく魔法陣もモンスターだったんだと思うよ。そうじゃないと数が合わないから。」
タケシ君の手には大きな魔石が1つと、中小の魔石が13個集められていた。
ジェネラルとナイト、ディフェンダーにヒーラーとマジシャン、最後にアサシンの計7匹。
ヒーラーとマジシャンは2回倒しているが、次が出現する前に魔法陣を壊してしまったからおそらく1匹分しか出てこなかったのだろうね。
つまり魔法陣自体がゴブリンを生み出すモンスターだったみたいだ。
完全に初見殺しだよな。
魔法陣を壊せるって知らなければ、ずっと戦い続ける羽目になるんだから。
「こんなモンスター見たことなかったですよ……。こいつが増えたらと思うと、いい気持ちはしないですね。」
「まったくだ……」
俺は空中から飛び降りる形で、ディフェンダーに向けて剣を振り下ろした。
ディフェンダーも来ることを予測していたようで、上方に盾を構えて受け止めて見せた。
「だったらこれでどうだ!!」
俺がディフェンダーに向けて連続で攻撃を仕掛けていると、俺の死角に回り込むようにしてナイトが接近してきた。
俺が対処できないと踏んでの行動だろうな。
「【結界】」
俺は、すぐさまナイトに向けて結界を複数枚張りなおす。
隙を伺って飛び掛かってきたナイトの顔面に見事ヒットし、ナイトはもんどりうって倒れ込んでしまった。
旨い事ナイトとディフェンダーが、俺に食いついてくれた。
どうやら、ナイトのプライドを刺激してしまったらしい。
思いっきり殺気が漏れていた。
俺は、それをお構いなしに次の行動に移った。
俺への攻撃を仕掛けるために、ナイトとディフェンダーが後衛から離れてくれていた。
その隙を逃すほど俺は甘くはない。
俺は一気に加速すると、ゴブリンの後衛組に攻撃を仕掛ける。
それに焦ったナイトとディフェンダーもつられて俺の方へ駆け出した。
よし釣れた!!
俺はゴブリンたちとの距離を測り、一撃離脱を繰り返す。
ゴブリンたちは、たまらず陣形を整え始めていた。
そしてついには、後衛を守るためにその陣形は密集形態に変わっていた。
——————
多田野はその陣形状態を見て、ケントが何をするつもりか理解した。
おそらく一気に倒しきった場合を知りたいのだろうと。
多田野もそれに答えようと武装を変える。
現在待機中の全ての砲身を一度キャンセルし、新たな砲身を作り出す。
6連装ミサイルランチャ―を6門。
多田野が扱える限界量だ。
多田野の作り出したミサイルランチャーは、タダのミサイルランチャーではない。
スキル【魔銃作成】によって作り出され、ミサイルはスキル【魔弾作成】によって作り出される。
つまり多田野次第で、いくらでも撃ち出せるということだ。
——————
タケシ君は俺の意図を理解したようで、戦闘準備を始めた。
しかも、きちんと牽制射撃はしてくれる有能っぷり。
何とかタケシ君の砲撃範囲に収まってくれた。
タケシ君に視線を送ると、小さくOKの合図をしてくれた。
というわけで、準備は完了かな?
俺はいまだ動き続けるゴブリンたちの足元に、ばれないように【結界】を配置した。
俺が一気に近づくと、マジシャンとヒーラーを守るように後退するゴブリンたち。
「足元注意。」
横目で多田野がやろうとしていることを察したケントは、5匹の足元に瞬時に【結界】を展開する。
動こうとした5匹は足元に急に出現した障害物に足を取られ、つんのめって地面とキスをすることになった。
それを確認する前にその場から俺は離脱した。
次の瞬間。
パシュ~ン、パシュ~ンっという気の抜けた発射音が連続で響き渡った。
少しの静寂の後、さっきまで俺が居た場所は火の海と化した。
それでも容赦なく撃ち込まれるミサイル群に、ゴブリン達も成す術が無かったようだ。
タケシ君が撃ち込みを止めると、そこには何も残っていなかった。
そう、何もだ。
綺麗に魔法陣が消え去っていたのだ。
ただ、消えたのはマジシャンとヒーラーが出現した2つのみだが。
これは嬉しい誤算だった。
何かのはずみで、魔法陣が消えてしまったようだった。
これは紛れもない事実。
俺は心の中で歓喜した。
おそらくこれが、このボス部屋の正しい攻略方法だからだ。
タケシ君は一気呵成に攻め立てた。
ジェネラルもまた群れのリーダーだった。
ジェネラルは大声で叫んだ。
その叫びにつられて、ワンテンポ早く召喚されたゴブリン達。
しかし、それでもミサイル群をどうこうすることも出来ずに、魔法陣と共に消滅してしまった。
「ギュギョギョギョギャ!!!!」
怒りを増して叫ぶジェネラル。
これで何とかなると思い、一瞬気を抜いていた。
ざくり……
タケシ君の足が突如として切り裂かれたのだ。
いつ誰にどうやって!!
タケシ君は今の状況を理解できないでいるようだった。
今現在ジェネラルは剣を振っていない。
スキルも発動した形跡も見られない。
ならなぜ……
すぐに手持ちのポーションで傷を回復したタケシ君は、周辺警戒を行った。
だがそこには何もいなかった。
俺もまた正体不明の攻撃に、少しだけ焦りを感じていた。
もし今の攻撃が首元に来ていたら、一瞬にしてアウトだ。
見えない敵、見えない攻撃……
ただ見えないというだけどこれほどまでに恐ろしい相手へと変貌するとは。
ってあれ?
どうして魔法陣は5個だと思ったんだ?
俺たち探索者の様に、こいつらは縛られていないはずでは?
俺は慌てて周囲の魔素の流れを確認した。
ヒーラーたちを倒した魔素は……
上か?!
「タケシ君上だ!!魔法陣がもう一個!!」
「くそ!!やられた!!」
タケシ君は叫ぶと同時に、展開中のミサイルランチャーを天井に向けて、全弾射出しようと試みた。
しかしその攻撃も未遂で終わってしまった。
「ぐわぁ!!」
タケシ君は太ももを切り裂かれ一瞬バランスを崩してしまう。
それほど深くはないだろうけど、隙を作りには十分すぎる。
そしてその攻撃を受けた瞬間に俺が見たものは……
「ゴブリンアサシンか!!」
そう、不可視の攻撃を仕掛けていたのは、天井に設置された魔法陣から出現したゴブリンアサシンだった。
ジェネラルの派手な演出も、全ては天井のゴブリンアサシンの魔法陣から俺たちの注意をそらすためだった。
ジェネラルはその隙に、天井の魔法陣からアサシンを呼び出して潜ませていた。
決定的なスキを突くために。
その決定的な隙とは、残り5匹の眷属が倒された瞬間……
俺たちはまんまとジェネラルの策に引っ掛かってしまったみたいだ。
攻撃した後すぐに姿を消そうとしたアサシンに、俺は特攻を仕掛けた。
手にした盾を使い盛大に吹き飛ばす。
吹き飛ばされたアサシンは空中で態勢を整えて、きれいに着地した。
タケシ君は俺とアサシンのやり取りの最中に、すぐにポーションを傷口にぶっかけて問題はなさそうだった。
その間ジェネラルはその場を動かなかった。
もしかしたら、その場から動けなかったのかもしれない。
考えてみればあの場所に来てからジェネラルはほとんど動いていない。
何かしらの制約があるのかもしれないが、今はアサシンをどうにかしないといけないな。
アサシンは着地後すぐにその姿を消した。
スキル【気配遮断】よりも優れた効果の様だった。
何せ俺たちのみている目の前でその姿を消して見せたんだから。
タケシ君は再度【ミサイルランチャー】を魔法陣に向けて発射した。
しかも切れたせいかその数がさっきの比ではなかった。
これに焦ったのか、アサシンは姿を現しタケシ君に攻撃を仕掛けてきた。
だけどタケシ君は焦った様子はなく、薄っすらと笑みを浮かべていた。
「そう来ると思ってたよ。」
タケシ君がそう言うと、ミサイルの一部がジェネラルとアサシンに向かって飛翔した。
それに慌てたジェネラルとアサシンは、すべての行動をキャンセルして回避行動を始めた。
俺はタケシ君が作った隙を見逃さずにアサシンに斬りかかる。
タケシ君の放ったミサイルは俺をことごとく避けてアサシンに命中させた。
何発かを回避したアサシンだったが、ついにその時が訪れる。
俺はアサシンの足元に気付かれないように結界を展開した。
それに気づくとなくアサシンは見事にバランスを崩してくれた。
一瞬体勢が崩されかけたアサシンは、無防備に姿を晒してしまった。
そこに狙いすましたかのように、タケシ君がライフルで見事に心臓部分を撃ち抜いてくれた。
見事に撃ち抜かれた心臓部分を手で触り、そのまま消えていくアサシン。
その表情には悔しさが見て取れた……
気のせいだよな?
残されたジェネラルは……
それでもまだ余裕の表情を浮かべていた。
「あいつはさすがに倒せる自信はありませんよ……」
タケシ君の言葉は、今の現状を鮮明に物語っていた。
度重なる魔弾の使用で、SPが切れかけたのか息も絶え絶えだった。
その状況を見て、俺はこの戦いを終わらせることを決めた。
「わかった。ジェネラルは俺がもらう。」
俺はそう言うと、ジェネラルに向けて左手を突き出した。
「【レベルドレイン】」
無情な宣告がボス部屋に響き渡る。
ジェネラルは何が起こるのかわからず、まだニヤニヤとうすら笑みを浮かべている。
そして俺が突き出した左手を握りしめる。
ドサリ……
ジェネラルはそのまま前のめりで倒れこんだ。
そしてぴくりとも動かず、ただ静かに横たわっている。
ほんの一瞬の出来事だ。
俺からしたら当たり前すぎる結果だった。
それだけこのスキルは異常すぎるから。
次第にジェネラルの身体は消えてゆき、そこにはドロップアイテムだけが残されていたのだ。
「ケントさん……。そのスキル、チートじゃないですか……」
「ん?まぁ、そうだね。動かれると面倒臭いけど、ああやって止まっている奴はもろに鴨だからね。」
呆れ顔のタケシ君と共に、ジェネラルが居た場所へ移動していた。
床に散らばるドロップアイテムを集め、ボス部屋中央でその確認を行っていた。
「ケントさん、意外と豊作じゃないですか?」
「そうだね。おそらく魔法陣もモンスターだったんだと思うよ。そうじゃないと数が合わないから。」
タケシ君の手には大きな魔石が1つと、中小の魔石が13個集められていた。
ジェネラルとナイト、ディフェンダーにヒーラーとマジシャン、最後にアサシンの計7匹。
ヒーラーとマジシャンは2回倒しているが、次が出現する前に魔法陣を壊してしまったからおそらく1匹分しか出てこなかったのだろうね。
つまり魔法陣自体がゴブリンを生み出すモンスターだったみたいだ。
完全に初見殺しだよな。
魔法陣を壊せるって知らなければ、ずっと戦い続ける羽目になるんだから。
「こんなモンスター見たことなかったですよ……。こいつが増えたらと思うと、いい気持ちはしないですね。」
「まったくだ……」
95
お気に入りに追加
525
あなたにおすすめの小説
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる