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第2章 リベンジ!!
016 再会
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とりあえず現実逃避的に睡眠をとってみたが、やっぱり解決策が上手く浮かばない。
いまだにきちんと醒めていない頭を無理やり起こして、身体を布団から這い出させた。
やっぱり布団の魔力はかなり高いものだと思う。
おそらく高ランク探索者でも抗うことは難しいのではないか。
何て、無駄なことを考えていたら、少しずつ思考がクリアになってきた。
ひとまず今後の目標を立てよう。
今のままだと、スキルとレベルがどっちつかずになってしまう。
特に、今後上位ダンジョンへ向かうためには、探索者ランクを上げないといけない。
でも、レベルが上がらないとランクアップの条件すらクリアできない。
まずは僕が取れる選択肢。
1・スキルをいったん棚上げしてレベル上げに専念する。
2・今まで同様にスキル習得とスキルレベル上昇とレベル上げを並行していく。
3・探索者をやめる。
とりあえず3は無しで。
ダンジョンバブルと言えばいいのか、落ち込んだ景気が一気に上昇に転じていた。
それもそのはずで、ダンジョン資源によって、いろいろな問題が一気に解決していったからだ。
だけど、だからと言ってすぐに就職先が見つかるとは限らないのが世の中なんだよね。
簡単な話、ダンジョンでレベル上げをすると、ステータスが伸びる。
その中には知力や体力といった、仕事でそのまま役に立つステータスが存在している。
つまり、仕事の能力も同時に上がっていくということみたいだった。
そこにセンスが付随されていないから、アートとかではあまり役に立つ場面が少ないらしいけど。
2に至っては恐らく生活が破綻する。
ただでさえ現行で貯金を切り崩しているのに、これ以上はさすがに耐えきれる自信が無い。
しかも装備品の整備にもお金がかかる。
もたもたしている暇は全くない。
よし、まずは今行ってるGランクダンジョンの最下層の第十層を目指そう。
スキルについてはいったん保留で、レベル上げを優先。
危険と判断したらスキルを新たに習得するか、スキルレベルを上げて再挑戦。
おそらくここが一番の落し所だと思う。
良し、この方向性で今後は進んでいこう。
朝食の時間になり居間に降りると、すでに家族が朝食をとっていた。
僕は少し寝坊したこともあり、遅れてしまったようだ。
「おはよう、お兄ちゃん。今日もダンジョンに潜るの?」
美鈴は寝ぐせにメガネと、外行きとは全く違うだらしない格好で食事をとっていた。
さすがに家族しかいないからとだらけすぎではないかと、兄として心配になってしまった。
「あぁ、少しでも稼がないとさすがに生活が難しいからね。それに、装備の整備の事を考えると少々こころもとないし。今はまだ蓄えがあるからいいものの、今後はそうもいってられないから。」
僕の言葉を聞いた美鈴の肩が一瞬ビクリとはねた。
うん、美鈴も貯金がやばくなってきているようだ。
父さんと母さんは特に問題ないようだ。
父さんに至っては大工スキルもあって、仕事は順調のようだ。
それに、建物がダンジョン化してしまったり、ダンジョン周辺に家があった人は退去を命じられている。それに伴って、いたるところで建築ラッシュが始まっているそうだ。
母さんは、ずっと専業主婦だからあまり気にしてないようだけど、美鈴の将来には頭を痛めていた。
どうやら、探索者をやめていい相手を探してほしいのが本音らしい。
ただ、食料調達しているのが美鈴なので、あまり強く言えないと愚痴っていた。
うん、食材すごくおいしいんだよね。
そんなこんなで、美鈴も友人たちと近場のダンジョンへ向かっていった。
どうやら、レアドロップが高値で取引されているらしく、モンスターの争奪戦が起こり始めているらしい。
美鈴たちは下層をメインにしているので、早めに出ないと狩りの時間が取れなくなるそうだ。
僕も準備が終わるといつものダンジョンへ向かった。
訓練施設行きのバスに乗りこむと、席がほとんど埋まってしまっていた。
空いている席をさがしていると、見知った二人と目が合った。
團姉弟も同じバスに乗っていたようだ。
「お久しぶりです、中村さん。」
「えぇ~っと、確か…由貴乃さんに、龍之介君だったかな?しばらくぶりですね。元気でしたか?」
礼儀正しく頭を下げたのは、姉の由貴乃さんだった。
僕は、何でもないふりをしながら返事を返した。
内心は……正直あまり会いたくはなかった。
團姉弟の後ろの座席には遠藤君、福田君、廚さんの姿も見えた。
三人ともなぜが申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
おそらく、僕を抜いてパーティーを組んだことに負い目を感じているのだろうと思う。
僕としてはあまり気にしてはいなかったりする。
僕のスキルがあまりにも異質過ぎるから。
僕が由貴乃さんと話をしていると、廚さんと話をしていた少女が、僕を見るなりニヤニヤと笑い始めた。
「あなたが、中村さんですか~?お話は聞きました~。それにしても中村さんも大変ですね?スキルレベル上がりずらいんですって?お気の毒に。」
少女は僕を下から見上げながら、蔑むような眼で見つめてきた。
ただただからかって楽しんでいる、そんな感情が見て取れた。
「それに先輩たちも気にしすぎですよ。中村さんもソロで頑張ってらっしゃるみたいですし。」
遠藤君たちに振り返り、肩をすくめながら呆れたような声で話しかけていた。
遠藤君たちはそれに納得はしていないようだが、あえて反論はしてこなかった。
それが彼らの答えなのだろう。
改めて僕の方を振り返りさらに話を続けた。
正直話を聞いていて気分がいいものではなかった。
「中村さん、安心してください。先日私たちはFランクに昇格いたしました。中村さんのそ…」
「いい加減にしないか!!」
突然怒りをあらわにしたのは由貴乃さんだった。
その声に驚いて、少女は顔を青くしていた。
おびえた表情で由貴乃さんの見つめていたが、怒気を孕んだ由貴乃さんの視線に耐えかねて自分の席へと戻っていった。
「すみません中村さん。うちの梁井が失礼をしました。」
そうか、彼女梁井っていうのか。
梁井と呼ばれた少女を睨みつけていた由貴乃さんは、一度深く呼吸をすると僕に向かって頭を下げてきた。
「気にしないで大丈夫ですよ。それと、ランクアップおめでとうございます。あれからそんなに経ってないようですが、順調そうですね?」
「お気遣い感謝します。そうですね……。その、パーティーについては申し訳なく思っています。私としてはパーティー編成上補助役が必要と判断しました。その責は私にあります。」
由貴乃さんの表情には申し訳なさでいっぱいになっていた。
それが嘘ではないことを信じるしかないかなと思う。
「それについては怒ったりしませんよ?それにあなたがリーダーであるならば、年の離れた僕がいては指揮がしづらいでしょうし。僕も同じ立場なら同じ判断をしましたよ。」
「重ね重ねお気遣いに感謝します。」
何度も頭を下げる由貴乃さんに頭を上げるようお願いした。
さすがに周りの目が痛い。
「ほら、ほかの方々にも迷惑ですし、これで終わりにしましょう。これからもお互い頑張っていきましょう。最後に……、皆さん死なないでくださいね。一時でも同じメンバーでしたので、それだけが気がかりです。」
「はい。中村さんも無理をなさらないでください。」
由貴乃さんも感情が落ち着いたようで、その表情は柔らかいものとなっていた。
遠藤君たちも最初の申し訳なさそうな表情は形を潜め、真剣な表情で僕を見ていた。
梁井と呼ばれた少女は相変わらず僕を睨みつけていたが、なんだか小動物みたいでかわいかったのは内緒だ。
僕は空いている席に腰を下ろし、一息ついた。
しばらくしてバスは目的地の訓練施設へと走り出したのだった。
いまだにきちんと醒めていない頭を無理やり起こして、身体を布団から這い出させた。
やっぱり布団の魔力はかなり高いものだと思う。
おそらく高ランク探索者でも抗うことは難しいのではないか。
何て、無駄なことを考えていたら、少しずつ思考がクリアになってきた。
ひとまず今後の目標を立てよう。
今のままだと、スキルとレベルがどっちつかずになってしまう。
特に、今後上位ダンジョンへ向かうためには、探索者ランクを上げないといけない。
でも、レベルが上がらないとランクアップの条件すらクリアできない。
まずは僕が取れる選択肢。
1・スキルをいったん棚上げしてレベル上げに専念する。
2・今まで同様にスキル習得とスキルレベル上昇とレベル上げを並行していく。
3・探索者をやめる。
とりあえず3は無しで。
ダンジョンバブルと言えばいいのか、落ち込んだ景気が一気に上昇に転じていた。
それもそのはずで、ダンジョン資源によって、いろいろな問題が一気に解決していったからだ。
だけど、だからと言ってすぐに就職先が見つかるとは限らないのが世の中なんだよね。
簡単な話、ダンジョンでレベル上げをすると、ステータスが伸びる。
その中には知力や体力といった、仕事でそのまま役に立つステータスが存在している。
つまり、仕事の能力も同時に上がっていくということみたいだった。
そこにセンスが付随されていないから、アートとかではあまり役に立つ場面が少ないらしいけど。
2に至っては恐らく生活が破綻する。
ただでさえ現行で貯金を切り崩しているのに、これ以上はさすがに耐えきれる自信が無い。
しかも装備品の整備にもお金がかかる。
もたもたしている暇は全くない。
よし、まずは今行ってるGランクダンジョンの最下層の第十層を目指そう。
スキルについてはいったん保留で、レベル上げを優先。
危険と判断したらスキルを新たに習得するか、スキルレベルを上げて再挑戦。
おそらくここが一番の落し所だと思う。
良し、この方向性で今後は進んでいこう。
朝食の時間になり居間に降りると、すでに家族が朝食をとっていた。
僕は少し寝坊したこともあり、遅れてしまったようだ。
「おはよう、お兄ちゃん。今日もダンジョンに潜るの?」
美鈴は寝ぐせにメガネと、外行きとは全く違うだらしない格好で食事をとっていた。
さすがに家族しかいないからとだらけすぎではないかと、兄として心配になってしまった。
「あぁ、少しでも稼がないとさすがに生活が難しいからね。それに、装備の整備の事を考えると少々こころもとないし。今はまだ蓄えがあるからいいものの、今後はそうもいってられないから。」
僕の言葉を聞いた美鈴の肩が一瞬ビクリとはねた。
うん、美鈴も貯金がやばくなってきているようだ。
父さんと母さんは特に問題ないようだ。
父さんに至っては大工スキルもあって、仕事は順調のようだ。
それに、建物がダンジョン化してしまったり、ダンジョン周辺に家があった人は退去を命じられている。それに伴って、いたるところで建築ラッシュが始まっているそうだ。
母さんは、ずっと専業主婦だからあまり気にしてないようだけど、美鈴の将来には頭を痛めていた。
どうやら、探索者をやめていい相手を探してほしいのが本音らしい。
ただ、食料調達しているのが美鈴なので、あまり強く言えないと愚痴っていた。
うん、食材すごくおいしいんだよね。
そんなこんなで、美鈴も友人たちと近場のダンジョンへ向かっていった。
どうやら、レアドロップが高値で取引されているらしく、モンスターの争奪戦が起こり始めているらしい。
美鈴たちは下層をメインにしているので、早めに出ないと狩りの時間が取れなくなるそうだ。
僕も準備が終わるといつものダンジョンへ向かった。
訓練施設行きのバスに乗りこむと、席がほとんど埋まってしまっていた。
空いている席をさがしていると、見知った二人と目が合った。
團姉弟も同じバスに乗っていたようだ。
「お久しぶりです、中村さん。」
「えぇ~っと、確か…由貴乃さんに、龍之介君だったかな?しばらくぶりですね。元気でしたか?」
礼儀正しく頭を下げたのは、姉の由貴乃さんだった。
僕は、何でもないふりをしながら返事を返した。
内心は……正直あまり会いたくはなかった。
團姉弟の後ろの座席には遠藤君、福田君、廚さんの姿も見えた。
三人ともなぜが申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
おそらく、僕を抜いてパーティーを組んだことに負い目を感じているのだろうと思う。
僕としてはあまり気にしてはいなかったりする。
僕のスキルがあまりにも異質過ぎるから。
僕が由貴乃さんと話をしていると、廚さんと話をしていた少女が、僕を見るなりニヤニヤと笑い始めた。
「あなたが、中村さんですか~?お話は聞きました~。それにしても中村さんも大変ですね?スキルレベル上がりずらいんですって?お気の毒に。」
少女は僕を下から見上げながら、蔑むような眼で見つめてきた。
ただただからかって楽しんでいる、そんな感情が見て取れた。
「それに先輩たちも気にしすぎですよ。中村さんもソロで頑張ってらっしゃるみたいですし。」
遠藤君たちに振り返り、肩をすくめながら呆れたような声で話しかけていた。
遠藤君たちはそれに納得はしていないようだが、あえて反論はしてこなかった。
それが彼らの答えなのだろう。
改めて僕の方を振り返りさらに話を続けた。
正直話を聞いていて気分がいいものではなかった。
「中村さん、安心してください。先日私たちはFランクに昇格いたしました。中村さんのそ…」
「いい加減にしないか!!」
突然怒りをあらわにしたのは由貴乃さんだった。
その声に驚いて、少女は顔を青くしていた。
おびえた表情で由貴乃さんの見つめていたが、怒気を孕んだ由貴乃さんの視線に耐えかねて自分の席へと戻っていった。
「すみません中村さん。うちの梁井が失礼をしました。」
そうか、彼女梁井っていうのか。
梁井と呼ばれた少女を睨みつけていた由貴乃さんは、一度深く呼吸をすると僕に向かって頭を下げてきた。
「気にしないで大丈夫ですよ。それと、ランクアップおめでとうございます。あれからそんなに経ってないようですが、順調そうですね?」
「お気遣い感謝します。そうですね……。その、パーティーについては申し訳なく思っています。私としてはパーティー編成上補助役が必要と判断しました。その責は私にあります。」
由貴乃さんの表情には申し訳なさでいっぱいになっていた。
それが嘘ではないことを信じるしかないかなと思う。
「それについては怒ったりしませんよ?それにあなたがリーダーであるならば、年の離れた僕がいては指揮がしづらいでしょうし。僕も同じ立場なら同じ判断をしましたよ。」
「重ね重ねお気遣いに感謝します。」
何度も頭を下げる由貴乃さんに頭を上げるようお願いした。
さすがに周りの目が痛い。
「ほら、ほかの方々にも迷惑ですし、これで終わりにしましょう。これからもお互い頑張っていきましょう。最後に……、皆さん死なないでくださいね。一時でも同じメンバーでしたので、それだけが気がかりです。」
「はい。中村さんも無理をなさらないでください。」
由貴乃さんも感情が落ち着いたようで、その表情は柔らかいものとなっていた。
遠藤君たちも最初の申し訳なさそうな表情は形を潜め、真剣な表情で僕を見ていた。
梁井と呼ばれた少女は相変わらず僕を睨みつけていたが、なんだか小動物みたいでかわいかったのは内緒だ。
僕は空いている席に腰を下ろし、一息ついた。
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