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第6章 落日
第67話 1000年のお伽噺 追話①
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「次から次へと鬱陶しいわい!!」
「文句言っている場合じゃないでしょう!!」
帝都周辺に広がる台地には、各地に散らばっていた防衛隊が集結していた。
彼らは地方領地の騎士や狩猟者たちと共に、住民の退避にあたっていた。
そして、住民の帝都への収容を確認し、防衛隊へと合流していた。
合流後は野営陣地を築き、来たるスタンビードの防衛に備えたのだ。
それから程なくして……大規模なスタンビードが訪れた。
リヒテル小隊もまたその戦線に加わり、帝都への機械魔の侵入を阻止していた。
倒しても倒しても押し寄せる機械魔に辟易していたクリストフから漏れ出る愚痴。
いつもの調子でエイミーがクリストフを諫める。
その様子を見てまだ大丈夫と、少しだけリヒテルは安心した。
だが、前方を見るといまだ押し寄せる機械魔の波に、やはり精神的に追い詰められていく閉塞感が否めなかった。
リヒテルをはじめとした防衛隊に所属する魔砲使いは、さほど多いとは言えない。
そんな中でも魔石を惜しみなく使い、機械魔の波を蹴散らしていく。
「いつまで続くんだよ。さすがにこれはきっついぞ。」
「仕方ないでしょう。ここを突破されれば帝都にいる市民に抵抗する力など無いんですから。」
リチャードもまた愚痴をこぼしていた。
リチャードの技能は、対象に触れていないと発動させることができず、結果自身もしくは装備品に限定される。
そのためリチャードは何度も何度も前線へ飛び込む羽目になった。
そのたびに負傷を負い、アレックスの手当てを受けていた。
アレックスの技能【手当】は、今となっては奇跡とまで言われるまでになっていた。
〝傷以外治す事が出来ない技能〟。
裏を返せば〝傷ならばどんな傷であろうと治してしまう〟のだ。
それが四肢切断であろうとも、命がある限り再生してしまうのだ。
詰まるところ、死なない限り戦線復帰が可能となっているのだ。
それに気が付いたリチャードは、無茶な特攻を仕掛け続ける。
本人曰く〝死ななければどうということはない〟と言い、アレックスの静止を聞かずに突撃をしていくのだった。
アドリアーノは中隊長として指揮を執りつつも、技能【風神・雷神】と【魔道具封印された鎖の悪魔】を巧みに使い、戦線の維持に努めていた。
北部を守護する第一大隊は、それなりに善戦をしていた。
人員不足は否めないものの、曲者ぞろいの大隊だけあって、それぞれが連携することによって何とかしのいで見せた。
——————
「きりがないな……。清十郎、ゴールドラッドの探索は進んでいないのか?」
「人使いが荒すぎやしませんか?まぁ、いいや。それについてはいまだ音沙汰なしだな。左之助や右京も動いているがダメかもしれん。情報が錯綜しすぎて、整理だけでも時間が足りない。」
清十郎が報告書とともに、現状の説明を行った。
辰之進は渡された報告書の束を見ながら、深いため息をついていた。
本来であれば前線に立ちたいものの、立場上本部を離れることができなくなっていた。
今は防衛隊の中でも帝都守備隊を率いて、帝都の治安に当たっていた。
守備隊といっても戦闘経験の浅い者たちが多く、市民の不安を取り除くための活動が思となっていた。
そんな辰之進のもとに、一人の男性が姿を現した。
「久しいな辰之進。」
「威張殿。こちらには何用で?」
執務室へ現れたのは、元総隊長のロレンツィオであった。
現在は皇帝付きの役職のため、ほとんど顔を合わせることはなくなっていた。
「陛下より伝達。これより帝都を放棄し、東国の中立国【ジャポニシア】へと臣民を避難させる。帝都防衛隊は、帝都の防衛及び臣民の避難時の護衛の任務を言い渡す。」
「帝都を放棄するだと!?つまり皇帝はこの国を終わらせるつもりか!?」
ロレンツィオの表情が強張る。
ロレンツィオもまた、悔しい気持ちでいっぱいだったのだ。
この選択肢しか出来ないことを、どれほど悔やんだことか。
強く握りしめられたロレンツィオの拳から鮮血がしたたり落ち、絨毯に深紅のシミをつくる。
「西門の掃討作戦を優先し、退路の確保。西方海岸沿いの交易防衛都市【ブレイスト】を最終目標とする。途中防衛都市【ルーマン】にて物資補給を行う。質問は?」
それでも気丈に話を続けるロレンツィオ。
辰之進は、いまだ納得がいかなかった。
放棄したところで逃げ延びられる可能性は低いからである。
ならばどこに行こうとも同じなのではないかという思いもあったからだ。
おそらくそれは、故郷に対する思い入れも多分に含まれていた。
「勝算は?」
辰之進は、震える声でロレンツィオに問いかける。
答えなどとうにわかっている。
分の悪すぎる賭けに出ようとしているのだから。
しかし帰ってきた答えは意外なものであった。
「約8割。」
「え?」
ロレンツィオからもたらされた答えは、あまりにも突拍子のないものであった。
まさかと思う反面、その勝率の高さに違和感を感じざるを得なかった。
訝し気にロレンツィオをにらみつけると、ロレンツィオは観念したように大きなため息をついた。
「陛下は秘宝を使う決心をなされたのだ。そもそも機械魔どもがこの帝都に侵入したことなどあったか?それをなぜ不思議だと思わなかったのだ?」
「それは我々防衛隊と狩猟者連合協同組合の努力の賜物でしょう!!」
辰之進の答えに、ロレンツィオは頭を横に振った。
その態度に辰之進の矜持は傷付けられたのか、わなわなと怒りが込み上げてくる。
あまりにも小馬鹿にしたような態度に、我慢の限界が近づいていた。
「私も最近知ったのだ。これは歴代皇帝のみに言い伝えられていることだからな。有事のために情報を解禁してくださったのだ。」
「人を馬鹿にするのはやめてもらおうか!!」
ついに我慢の限界を迎える辰之進。
そのあまりの剣幕にまずいと思ったのか、清十郎が割って入り、どうにか辰之進を抑えることに成功する。
「落ち着けって、な?それよりまだ話は続くんだろう?」
「うむ。この帝都にはある防衛機構が備わっている。これは世界の10の国々に備わっているものだ。そしてそのうちの一つが、この帝都の地下に安置されている。その名は魔道具【元始天王】。はるか昔から受け継がれてきたものだ。その効力は設定した範囲の掌握。」
「なっ?!」
ロレンツィオのもたらした情報に、驚きを隠せなかった辰之進。
清十郎も辰之進を抑え込んでいた手の力が緩んでしまった。
清十郎の手からずり落ちた辰之進は勢いのまま転んでしまう。
清十郎は「あっ」っと声を上げた時にはすでに遅く、辰之進は見事に床に顔を打ち付けてしまった。
「続けていもいいか?」
そんなやり取りを見ていたロレンツィオだったが、話を先に進める気でいたようだった。
打ち付けた鼻を抑えながら立ち上がった辰之進。
その衝撃からか少し気持ちが落ち着き、ロレンツィオの話を聞ける心情になっていた。
「つまりは自分の意志でその範囲までならば出入りを制限できるというものだ。ただし、本来は違う目的で使われていたもののようだが。」
「ならなぜそれを先に使わなかったのです!!そうすれば死なずに死んだ命もあったでしょう!!」
辰之進の言葉に間違いはなかった。
誰しもが思うことである。
そのリスクを知らないがために。
「佐々木総隊長……そんな都合の良い物が何のリスクもなく使えると考えているのか?」
「っ!!」
言葉に詰まる辰之進。
その内容に浮かれ気味になっていたが、よく考えると確かにそうだった。
リスクなしで使えるのならば、ためらう必要などどこにもないからだ。
だが実際はそれが使われることはなかった。
「リスクは主の登録。登録されたものは〝人間〟ではなくなるというものだ。」
「人を辞めるということか?」
訝し気に質問をする清十郎だったが、ある種の核心をもって話をしていた。
清十郎は中隊長を担っていたが、情報部の人間でもあった。
そのために巷に流れる噂や他国の情報なども耳にする機会が多かった。
その中でもやはり多いのはお伽噺の類の話だった。
辰之進も興味を持ったお伽噺は、まことしやかに受け継がれていった。
そしてふと清十郎が何かの違和感に気が付いた。
その御伽噺に登場する人物についてだ。
確かにプロメテウスという名が登場する。
しかしもう一人、登場人物が存在した。
〝中村 剣斗〟という人物が。
だがその人物についての詳細は、話の中では受け継がれていなかった。
ある者は大男とも言っていた。
ある者は小柄な人物だと言っていた。
ある者は少年のような人物だとも。
一貫性のないものだったが、1000年も受け継がれていればどこかで編纂が行われてもおかしくはないと判断していた。
そして、あくまでもお伽噺であるのだから、それほど気にする必要はないだろうとも思っていた。
しかし、ここで語られた【元始天王】の名前に聞き覚えがあったのだ。
それは、紛れもなくお伽噺の一節に登場するものだからだ。
「文句言っている場合じゃないでしょう!!」
帝都周辺に広がる台地には、各地に散らばっていた防衛隊が集結していた。
彼らは地方領地の騎士や狩猟者たちと共に、住民の退避にあたっていた。
そして、住民の帝都への収容を確認し、防衛隊へと合流していた。
合流後は野営陣地を築き、来たるスタンビードの防衛に備えたのだ。
それから程なくして……大規模なスタンビードが訪れた。
リヒテル小隊もまたその戦線に加わり、帝都への機械魔の侵入を阻止していた。
倒しても倒しても押し寄せる機械魔に辟易していたクリストフから漏れ出る愚痴。
いつもの調子でエイミーがクリストフを諫める。
その様子を見てまだ大丈夫と、少しだけリヒテルは安心した。
だが、前方を見るといまだ押し寄せる機械魔の波に、やはり精神的に追い詰められていく閉塞感が否めなかった。
リヒテルをはじめとした防衛隊に所属する魔砲使いは、さほど多いとは言えない。
そんな中でも魔石を惜しみなく使い、機械魔の波を蹴散らしていく。
「いつまで続くんだよ。さすがにこれはきっついぞ。」
「仕方ないでしょう。ここを突破されれば帝都にいる市民に抵抗する力など無いんですから。」
リチャードもまた愚痴をこぼしていた。
リチャードの技能は、対象に触れていないと発動させることができず、結果自身もしくは装備品に限定される。
そのためリチャードは何度も何度も前線へ飛び込む羽目になった。
そのたびに負傷を負い、アレックスの手当てを受けていた。
アレックスの技能【手当】は、今となっては奇跡とまで言われるまでになっていた。
〝傷以外治す事が出来ない技能〟。
裏を返せば〝傷ならばどんな傷であろうと治してしまう〟のだ。
それが四肢切断であろうとも、命がある限り再生してしまうのだ。
詰まるところ、死なない限り戦線復帰が可能となっているのだ。
それに気が付いたリチャードは、無茶な特攻を仕掛け続ける。
本人曰く〝死ななければどうということはない〟と言い、アレックスの静止を聞かずに突撃をしていくのだった。
アドリアーノは中隊長として指揮を執りつつも、技能【風神・雷神】と【魔道具封印された鎖の悪魔】を巧みに使い、戦線の維持に努めていた。
北部を守護する第一大隊は、それなりに善戦をしていた。
人員不足は否めないものの、曲者ぞろいの大隊だけあって、それぞれが連携することによって何とかしのいで見せた。
——————
「きりがないな……。清十郎、ゴールドラッドの探索は進んでいないのか?」
「人使いが荒すぎやしませんか?まぁ、いいや。それについてはいまだ音沙汰なしだな。左之助や右京も動いているがダメかもしれん。情報が錯綜しすぎて、整理だけでも時間が足りない。」
清十郎が報告書とともに、現状の説明を行った。
辰之進は渡された報告書の束を見ながら、深いため息をついていた。
本来であれば前線に立ちたいものの、立場上本部を離れることができなくなっていた。
今は防衛隊の中でも帝都守備隊を率いて、帝都の治安に当たっていた。
守備隊といっても戦闘経験の浅い者たちが多く、市民の不安を取り除くための活動が思となっていた。
そんな辰之進のもとに、一人の男性が姿を現した。
「久しいな辰之進。」
「威張殿。こちらには何用で?」
執務室へ現れたのは、元総隊長のロレンツィオであった。
現在は皇帝付きの役職のため、ほとんど顔を合わせることはなくなっていた。
「陛下より伝達。これより帝都を放棄し、東国の中立国【ジャポニシア】へと臣民を避難させる。帝都防衛隊は、帝都の防衛及び臣民の避難時の護衛の任務を言い渡す。」
「帝都を放棄するだと!?つまり皇帝はこの国を終わらせるつもりか!?」
ロレンツィオの表情が強張る。
ロレンツィオもまた、悔しい気持ちでいっぱいだったのだ。
この選択肢しか出来ないことを、どれほど悔やんだことか。
強く握りしめられたロレンツィオの拳から鮮血がしたたり落ち、絨毯に深紅のシミをつくる。
「西門の掃討作戦を優先し、退路の確保。西方海岸沿いの交易防衛都市【ブレイスト】を最終目標とする。途中防衛都市【ルーマン】にて物資補給を行う。質問は?」
それでも気丈に話を続けるロレンツィオ。
辰之進は、いまだ納得がいかなかった。
放棄したところで逃げ延びられる可能性は低いからである。
ならばどこに行こうとも同じなのではないかという思いもあったからだ。
おそらくそれは、故郷に対する思い入れも多分に含まれていた。
「勝算は?」
辰之進は、震える声でロレンツィオに問いかける。
答えなどとうにわかっている。
分の悪すぎる賭けに出ようとしているのだから。
しかし帰ってきた答えは意外なものであった。
「約8割。」
「え?」
ロレンツィオからもたらされた答えは、あまりにも突拍子のないものであった。
まさかと思う反面、その勝率の高さに違和感を感じざるを得なかった。
訝し気にロレンツィオをにらみつけると、ロレンツィオは観念したように大きなため息をついた。
「陛下は秘宝を使う決心をなされたのだ。そもそも機械魔どもがこの帝都に侵入したことなどあったか?それをなぜ不思議だと思わなかったのだ?」
「それは我々防衛隊と狩猟者連合協同組合の努力の賜物でしょう!!」
辰之進の答えに、ロレンツィオは頭を横に振った。
その態度に辰之進の矜持は傷付けられたのか、わなわなと怒りが込み上げてくる。
あまりにも小馬鹿にしたような態度に、我慢の限界が近づいていた。
「私も最近知ったのだ。これは歴代皇帝のみに言い伝えられていることだからな。有事のために情報を解禁してくださったのだ。」
「人を馬鹿にするのはやめてもらおうか!!」
ついに我慢の限界を迎える辰之進。
そのあまりの剣幕にまずいと思ったのか、清十郎が割って入り、どうにか辰之進を抑えることに成功する。
「落ち着けって、な?それよりまだ話は続くんだろう?」
「うむ。この帝都にはある防衛機構が備わっている。これは世界の10の国々に備わっているものだ。そしてそのうちの一つが、この帝都の地下に安置されている。その名は魔道具【元始天王】。はるか昔から受け継がれてきたものだ。その効力は設定した範囲の掌握。」
「なっ?!」
ロレンツィオのもたらした情報に、驚きを隠せなかった辰之進。
清十郎も辰之進を抑え込んでいた手の力が緩んでしまった。
清十郎の手からずり落ちた辰之進は勢いのまま転んでしまう。
清十郎は「あっ」っと声を上げた時にはすでに遅く、辰之進は見事に床に顔を打ち付けてしまった。
「続けていもいいか?」
そんなやり取りを見ていたロレンツィオだったが、話を先に進める気でいたようだった。
打ち付けた鼻を抑えながら立ち上がった辰之進。
その衝撃からか少し気持ちが落ち着き、ロレンツィオの話を聞ける心情になっていた。
「つまりは自分の意志でその範囲までならば出入りを制限できるというものだ。ただし、本来は違う目的で使われていたもののようだが。」
「ならなぜそれを先に使わなかったのです!!そうすれば死なずに死んだ命もあったでしょう!!」
辰之進の言葉に間違いはなかった。
誰しもが思うことである。
そのリスクを知らないがために。
「佐々木総隊長……そんな都合の良い物が何のリスクもなく使えると考えているのか?」
「っ!!」
言葉に詰まる辰之進。
その内容に浮かれ気味になっていたが、よく考えると確かにそうだった。
リスクなしで使えるのならば、ためらう必要などどこにもないからだ。
だが実際はそれが使われることはなかった。
「リスクは主の登録。登録されたものは〝人間〟ではなくなるというものだ。」
「人を辞めるということか?」
訝し気に質問をする清十郎だったが、ある種の核心をもって話をしていた。
清十郎は中隊長を担っていたが、情報部の人間でもあった。
そのために巷に流れる噂や他国の情報なども耳にする機会が多かった。
その中でもやはり多いのはお伽噺の類の話だった。
辰之進も興味を持ったお伽噺は、まことしやかに受け継がれていった。
そしてふと清十郎が何かの違和感に気が付いた。
その御伽噺に登場する人物についてだ。
確かにプロメテウスという名が登場する。
しかしもう一人、登場人物が存在した。
〝中村 剣斗〟という人物が。
だがその人物についての詳細は、話の中では受け継がれていなかった。
ある者は大男とも言っていた。
ある者は小柄な人物だと言っていた。
ある者は少年のような人物だとも。
一貫性のないものだったが、1000年も受け継がれていればどこかで編纂が行われてもおかしくはないと判断していた。
そして、あくまでもお伽噺であるのだから、それほど気にする必要はないだろうとも思っていた。
しかし、ここで語られた【元始天王】の名前に聞き覚えがあったのだ。
それは、紛れもなくお伽噺の一節に登場するものだからだ。
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